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在日が「商品」になる時代 自ら売り出す意欲を(04.8.18)
演劇・映画界にも進出するソニン
各界に逸材・素材あまた
TVドラマが社会現象にも

 「全日本美少女コンテスト」というイベントの優勝者が、賞金で何をしたいかと聞かれ、「母親がヨン様の大ファンなので、韓国へ『冬ソナ』ツアーに連れて行きたい」と殊勝に答えていた。そういう普通の母親世代に火が点いた韓流は、いまだとどまることを知らない。韓国への旅行者も中高年女性を中心に大幅に増え、SARS騒ぎでやや落ち込んだ昨年の40パーセント増しの勢いだという。

 一人でも多くの普通の日本人が韓国を訪れ、普通の韓国人と直接出会い、韓国文化の一端に触れることは大変けっこうである。韓国への関心が持続してくれれば、日韓関係の将来にとってもさらに喜ばしい。

 それにしても、02年のFIFAワールドカップ共催でも起こらなかった、ミーハー的な「ヨン様」ブームや「韓国イケメン四天王」ブームなどが、火山の噴火のように突然勃発したのはなぜなのだろうか。韓流は中国・台湾・香港や東南アジアの華僑社会にまず広まり、ペ・ヨンジュンやチェ・ジウなどはすでに人気者になっていた。最近の韓国オタクや古くからの韓国通でも、日本でこれほどまでに韓流が受け入れられるとは予想できなかったはずである。

 韓国文化は映画を中心に、韓国での日本文化開放とリンクしつつ、韓国での日本文化受容を大きく上回るペースで広がった。それが今日の大ブームの下地にはなっていたにせよ、テレビドラマがこれほどフィーバーするとは驚きである。

 文化という枠組みのなかでテレビドラマは、最もイージーだが最もシビアなジャンルだ。リモコンひとつで簡単に見てもらえても、つまらなければすぐにチャンネルを変えられてしまう。韓国や中国などとは比較にならないほど競争が激しい日本のテレビ界で、人気をさらい社会現象にまでなってしまったということは、単に「韓国文化の受け入れ」という一般論にとどまらない、とんでもない事態なのだ。

 事実、日本経済新聞の「上半期人気者番付」で「ヨン様」は西の大関に上げられた。関連商品の売り上げ効果は、現時点までで少なくとも数十億円と見込まれている。『冬ソナ』を商品と見た場合、サムスンのIT機器や現代自動車より先に、幅広く認知されたということでもある。

同質と異質を楽しむ日本人

 韓国テレビドラマが日本で突然、大噴火した最大の理由は何なのか。

 韓国のドラマといえば、十年前ほどまでは「ダサイ、ヤボッタイ、わざとらしい」というのが通り相場であった。『冬ソナ』その他の人気ドラマもまだその残滓を引きずっているものの、びっくりするほどアカ抜けた。俳優、カメラワーク、物語構成ももちろん、映し出されている韓国の都市風景や韓国人の表情そのものがおおきく変貌したのだ。

 ドラマの描写は実際よりきれいごとに流れるとしても、リアルな日常風景を随所に描き出す。日本の視聴者は、ドラマが映す韓国の日常にほとんど違和感を持っていない。むしろ、日本との同質性のなかにある異質性が楽しいのだ。

 「ヨン様」ブームとは、韓国のドラマづくりの進化やペ・ヨンジュン個人の魅力はあったとしても、そこに集約された韓国社会の「アカ抜けぶり」を見事に「商品化」し、それを普通の日本人(特に今まで韓国とまったく接点がなかった中高年女性)が抵抗なく受け入れたというのが最大の理由だろう。

 世界企業のサムスンや現代もなし得なかった、最新の韓国(人及び社会事情)を商品として日本で認知させ、社会現象にまで高めた功績ははかり知れない。ブームが「突然」起こったのは、「最新の韓国事情」がそれまでちゃんと商品化されていなかったからだ。

頭越しの韓流ライバル視も

 韓流は、在日が韓日の架け橋としての役割を長年果たし続け、閉鎖的な日本社会で民団などの在日組織が、在日そのもの及び韓国認知のために地道な努力を積み重ねてきた「成果」だといえる。大衆文化の中から社会現象や流行が突然飛び出すとき、火山を噴火させるマグマのように、それを醸成してきた確かな力があるはずだ。

 しかし、在日にとって韓流は、手放しで喜べるものだろうか。むしろ、ライバル視すべきものではないのか、との思いが消えない。なぜなら韓流は、日本社会に埋没しまい、かすむまいと生きてきた在日を頭越しにしたブームだからだ。そこから、「ヨン様」自身が商品であるように、在日自身が商品として認知され、「売れる」こと、これが当然の課題になってくる。

 言うまでもなく、芸能界やプロスポーツ界などの人気稼業で多数の在日が活躍している。それらキラ星のごとき存在を一般の日本人は正しく認知していない。その栄光は、それぞれの業界や在日社会などで囁かれているだけだ。今やそれは、とても「もったいないこと」だと思う。

 在日であることを堂々と公表し、並々ならぬ向上心を武器に歌や演技で大活躍中のアイドル・ソニンをはじめ、有名な大投手や大打者、超人気サッカー選手、優勝監督、IT産業やタクシー業界の旗手、オピニオン・リーダーなど、各界で在日が華々しく活躍している、しかもトップクラスに数多く存在しているという事実は、在日社会には「売れ筋商品」になる逸材・素材がごろごろしていることを示すものだ。

 人気稼業の在日のほとんどが出自を明かさないそれぞれの理由はともかく、そうした呪縛からそろそろ解き放たれてもいいはずである。在日をテーマにした『月はどっちに出ている』や『GO』などの映画がヒットし、連続テレビドラマが登場するようになった。こうした流れを在日は積極的にものにすべきだ。

勇気と共感で先制取り組み

 韓国映画が急速にレベルアップし、国際的な商品として通用するようになった一つの要因に、韓国政府の肝いりがあった。歌謡界を中心に沖縄出身者の活躍が目立つようになったのも、天性をはぐくむ土壌はさることながら、県民一人当たりの所得が最も低い現状からボトムアップを図ろうとする地域ぐるみの取り組みによる。

 繰り返し言って、在日には逸材や素材が豊かである。しかも、それを商品化する自力は十分にある。プロダクションやプロデュース業界でも実は、在日が隠然たる力を持っているのだ。この4月には大阪で在日を対象に、韓国語と日本語のバイリンガル俳優を養成するミュージカル・スクールが開設されるなど新しい動きもある。民団が在日の商品化を事業化もしくはバックアップしても何ら不思議はない。

 日本人でさえ生きにくい世のなかにあって、日本人にはないハンディを抱えながら、それを強みに地歩を固めてきた在日の生き方は、多くの日本人に勇気を与え、共感を広げるはずだ。

 バイオリンの「無鑑査マスターメーカー」であり、「東洋のストラディバリウス」とも称される陳昌鉉さんの物語が、『海峡を渡るバイオリン』という本になり、『天上の弦』という人気連載漫画になり、さらには当代の人気タレントが多数出演するテレビドラマになるのは、その象徴と言えるだろう。

 在日は日本人によって商品化されるのを待つのではなく、自ら売り出していく時代になったことを自覚すべきだろう。これまでの生き方を一歩進め、信条を「カウンター」から「先制攻撃」に転換すべきでもあるのだ。

 (吉成繁幸フリーライター)

(2004.8.18 民団新聞)
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