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読書
祈りの美術
【左】日常韓国語会話ネイティブ表現、【右】韓国野球の源流
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祈りの美術 美術への思いが架橋の原動力

 本を開くと、光州市立美術館に収められている伝説の舞姫、崔承喜の写真をはじめ、在日作家の絵画などが飛び込んでくる。著者が01年に終身名誉館長に就任した同美術館には、本人が寄贈してきた2100余の作品が展示されているが、代表的な一部を掲載したものだ。

 著者はもともと事業家である。しかし、美術・芸術とあらば、どこへでも出かける「行動の人」と評した方が、似つかわしい。若い頃、貧困ゆえに断念せざるを得なかった美術への飽くなき思いを、作家や作品を愛し、育むという実践を通して、世に発信し続けてきた。

 その原点は「日本と韓国・二つの祖国を生きる」という在日的な立場である。父母の故郷、全羅南道霊岩郡や芸都・光州をこよなく愛しながらも、軸足を日本に置く著者は、95年に開かれた光州ビエンナーレのテーマ「境界を越えて」に共鳴、秋田県の小学生時代から親しんできたわらび座の舞台を光州で実現させるなど、両国の架け橋として、美術を通した相互理解と交流を深めてきた。

 本書は在日2世の苦闘の半生の記録である。しかし、数多くの人との出会いの中から陽の目を見るにいたった美術作品群についての貴重なエピソード集でもある。偶然ではない必然的な出会いに、岩をも通す一念を感じた。

(河正雄著、イズミヤ出版2500円+税) 0182(42)2130


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日常韓国語会話ネイティブ表現 韓国の日常会話を600フレーズに凝縮

 韓流の影響なのか、韓国語を学ぶ人が増えている。書店にはNHKの「ハングル講座」以外にも様々な教本が陳列されている。どの本を手にするか。正直言って迷うことが多い。

 韓国語をそれなりに学習し、ある程度自信がついた経験者にとって、「韓国ドラマのせりふについていけない。理解できない」と自覚した時のもどかしさは、かなりのショックである。教科書には出てこない言い回しがあふれているからだ。さらに、韓日両国の言葉は文法が似ているため、日本式の思考や表現で事足りるという思い込みが、韓国語の上達を邪魔する場合もある。

 「ありきたりの言葉だけではなく、もっと生き生きした韓国語の表現を身につけたい」。そういう中級者の共通の思いを満たしてくれるのが本書である。

 韓国人がごく普通に使う日常会話を、あいさつ、感情表現、質問と受け答え、コミュニケーションなどを中心に、600フレーズに凝縮して紹介している。日本とは違う敬語の使い方、親しい間柄で使うパンマルを含め、「こんな時にはこう言う」というパターンを、付録のCDを使って丸ごと暗記し、恥を恐れずにどんどん使っていけば、留学しなくても韓国語の達人と言われること請け合いだ。ぜひチャレンジしてほしい。

(今井久美雄著、ツデイブックス2000円+税) 03(3291)3986


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韓国野球の源流 野球に懸けた男たちの熱き思い

 『日韓キックオフ伝説』発刊後、10年目にして世に問う力作である。韓国野球に直球勝負で挑んだ取材の数々が、行間からあふれ出ている。

 今年の野球界は世界の頂点を決める初のWBCで幕を開けたが、優勝国日本を2度破り、ベスト4に進出した韓国の躍進振りの方が、注目されたと言っても過言ではない。

 その韓国野球の発展の基礎をつくったのが、解放前後から韓日国交が結ばれる60年代にかけて祖国に戻った在日野球人だと本書は言う。日本の戦争突入が甲子園出場の夢を断ち、就職差別が日本居住をままならぬものにした。戦争という狂気、差別という凶器が、人生を狂わせた事実はむごい。そのような挫折を乗り越え、在日選手は祖国で野球を続ける道を選んだ。

 韓日議連の文喜相会長夫人の亡父、金永祚氏の両親は朝鮮人参の畑を売ってまで、一人息子を早稲田大学に進学させようとしたという立身出世物語に涙しながら、その彼がプロ初打席をホームランで飾った最初の選手だった事実に拍手した。相手投手は日本を代表する巨人の中上英雄で、帰化した同胞選手だった。こちらも日本プロ野球史上初の完全試合を達成した選手として歴史に名を刻んでいる。

 スポーツを通じた熱い韓日交流の歴史は、野球ファンのみならず、多くの人の胸を打つはずだ。

(大島裕史著、新幹社2000円+税) 03(5689)4070

(2006.12.6 民団新聞)
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