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<社説>差別の残滓に終止符を
 日本国内に60万人以上の在日同胞が存在する理由は、日本が韓国を植民地支配したことにあります。「内鮮一体」「皇国臣民」などというスローガンを掲げ、同胞を日本の侵略戦争遂行のために労働力や戦闘要員として、半ば強制的に組み込んできた結果でした。

 南方戦線では、軍属として駆り出され、捕虜収容所で働かされた同胞も多数います。もちろん戦場ですから、戦闘に巻き込まれて亡くなったり、重傷を負ったりした人は数え切れません。

理不尽な戦後処理

 これらの人々は、多くの日本人とともに、「日本人」として戦争遂行にかり出されたのでした。

 日本は戦後、こうした軍人軍属を対象に戦傷病者戦没者遺族等援護法を制定、戦没者や遺家族への保障を制度化し、犠牲に報いようとしました。ですが、悲しいことにこの法律は、日本国籍を持つ者だけを対象とし、同じ「日本人」として駆り出されながらも、同胞は無惨にも補償対象から外されてしまったのです。

 あまりに理不尽な仕打ちに怒りを覚え、これまでに多くの同胞が裁判に訴えてきました。裁判所は、援護法が同胞らを適用対象外とした事実に対して「合理性がない」と法律を批判し、「差別を生じさせる取り扱いは憲法14条に違反する疑いがある」とまで言い切りました。しかしながら、結局は立法府によって法律が制定されることによって解決されるべきであると、裁判所としての判断を下しませんでした。

正当な処遇こそ発展の礎

 裁判を支援してきた民団は、司法判断で救済するよう求めてきましたが、結局は日本政府が一時金を支払うことで決着を見ました。しかしその代価は、日本人傷病者や遺家族が受けるものよりはるかに小額です。

 現在、法律制定時に国籍要件があったために日本の国民年金に加入できず、また一定の年齢を超えていた人に支給される老齢福祉年金も受けられなかった同胞らが裁判に訴えています。年金問題も、国籍条項が廃止された当時、過去にさかのぼって支払うなどの救済措置は取られず、無年金となった同胞は数多いのです。

 このほど、男女の差を設けて昇任や給与の差を設けたのは違法で、男女雇用機会均等法に基づく調停をしなかったと企業と国を訴えた裁判が和解しました。和解勧告の中で裁判長は「当時の社会情勢では違憲といえない」とした地裁の判決を一蹴し、「過去の社会意識を前提とする差別の残滓(ざんし)を容認することは社会の進歩に背を向ける結果になる」と指摘しました。すばらしい勧告だと思います。

 これこそ、在日同胞が待ち望んでいたものだと言い換えてもよいでしょう。この姿勢が、司法ばかりでなく、様々な社会に浸透していくことを心から願いたいと思います。

(2004.1.14 民団新聞)
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