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学習院大の赤坂憲雄教授グループ 東日本大震災で味わった未曾有の体験と記憶を、いまも被災地で生きる在日同胞から聞き書きしていくプロジェクトが動き出した。とおりいっぺんのインタビューや、聞き取り調査にとどまらない「語り手の人生が透けるような」重厚な聞き書きを目指す。 呼びかけ人は地域学の一つで、民俗学をベースとした民衆からの聞き書きで東北の文化や歴史を掘り起こす「東北学」を提唱した赤坂憲雄さん(学習院大学教授、東日本大震災復興構想会議委員)。そして、仙台市内の出版社で、「赤坂東北学」の成果を雑誌にして発表してきた荒蝦夷(あらえみし)の代表、土方正志さんが現地事務局を担っている。 赤坂さんはこれまで語られてこなかった東北地方における被差別部落や「在日」の問題にも関心を寄せ、研究テーマに含めてきた。たとえば「盛岡冷麺」の歴史もその1つだ。「韓国と東北を結ぶ人たちの歴史」として00年創刊の『別冊東北学』に発表してきた。 それだけに、「在日の人たちが震災をどのように体験したのか。関東大震災のような不幸なできごとが起こらないでほしい」と、震災の直後から「祈るような気持ち」でながめてきたという。赤坂さんは、「ぼくは知りたい。東北地区でなにが起こったのか、あるいは起こらなかったのか。今回の聞き書きは大切なプロジェクトになりそうだ」と期待を込めて語る。 スタッフには同じく被災者で「赤坂東北学」をよく理解する東北地区の同胞大学教員や作家、地域文化研究家など、少なくとも10人(11日現在)が協力を表明している。聞き書きは100人が目標。地域の民団本部や婦人会などにも協力を呼びかけていく。 その成果は韓哲文化財団の助成金をもとに来年3月に出版する。 (2012.5.23 民団新聞) |