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韓食の世界化にむけて〈中〉「焼肉」と「プルコギ」
日本化した焼肉
付加価値つけ多様に 見栄え、味を競い合い進化

 日本の焼肉店は韓国の焼肉店との比較において、以下のような特色がある。

 一つは、メニューの多さである。まず、肉の部位によってメニューが細かく分かれている。韓国ではカルビならカルビ、ロースならロースで、その専門店があり、注文する時にもある一種類に統一する。日本人はさまざまな部位を一度に楽しもうとする傾向が強く、例えば「カルビ3人前、ロース2人前、ミノ1人前」というように注文することが多い。これにあわせてさまざまな部位のメニューが取りそろえられている。

 これは日本の焼き鳥店のメニューとも類似するし、コーヒー店においてさまざまな豆の種類のコーヒーが置かれていることとも関係する。また、同じ部位であっても品質によって「特」と「並」の区別をつけ、値段の差別化をすることが多い。

様々なニーズ豊富な品揃え

 さらに、焼肉店でありながら肉以外のサイド・メニューの数も多い。韓国では、焼肉を注文すれば、ミッパンチャンといいキムチ、サンチュ、ナムルなどの基本的なおかずが付いてくるのに対し、日本ではこれらすべて別注文をしなければならない。そのため、焼肉以外のメニューを取りそろえなければならないが、客のニーズが様々なので、それ以上に周辺料理を豊富に揃えておくことが求められる。

 二つは、料理の提供の仕方である。韓国では客がテーブルで肉を焼く時に、ウエイトレスがハサミで切ってくれる。日本の焼肉店では、肉は調理場で切られてからテーブルに出てくる。

 刺身をはじめとする日本料理の伝統においては、包丁の切れが問われるが、焼肉にしても、同じ大きさ、同じ厚さに包丁で切り分けられる。時には包丁の切れを誇るように薄切りにした肉を目玉商品とする店もある。タンを薄く切って、塩・コショウを振りかけ、レモンだれをつけて食べる「タン塩」は、日本で開発されたメニューであるが、よくもこれだけ薄く切れるものだと感心するほど薄く切られている。

 こうした肉をトウモロコシやピーマンなどの色のある野菜と一緒にきれいに盛りつける。器、盛りつけにも気を配るのは、日本料理の伝統である。

 三つは、店の経営方針である。日本では、タレに「自家製」「特製」などと銘打って他店との違いを強調する店が多い。また、松坂牛、近江牛など特定のブランド肉を使用したり、炭も備長炭を使用するなど、店のこだわり、すなわちヒストリー(物語)を作ったり、店独自の新商品を開発するなどして、それを店の個性として表現するのである。日本では、焼肉のチェーン店、フランチャイズ店も多いが、そこでも店の統一した個性をコーポレート・アイデンティティとして表現している。

 焼肉とは、朝鮮半島に出自をもつものの、在日韓国人によってもたらされ、日本社会において育てられた食べ物である。では、どのように育てられたのであろうか。

 日本では、カレー・ライスにしても、スパゲティにしても、そうであるように、海外から入ってきた食べ物は、まずは日本人の口にあう「和風」にアレンジされたものが紹介、導入される。それが人気を得て定着すると、本場の味も受け入れられる。そして、そこからさらにフュージョン料理というものが考案されるという過程を辿っている。焼肉においても、こうした過程をたどってきた。

ヒット商品の「焼肉のタレ」

 そして、日本では、この過程において、インスタント化、レトルト化、あるいは冷凍技術といった技術の革新によって、より簡便に、より安価に、より多くの消費者にという形で食べ物が供給されるような工夫がなされている。

 「焼肉のタレ」はインスタント・ラーメンにも並ぶヒット食品になっているし、「無煙ロースター」は回転スシとも並ぶ画期的な装置といってもよく、こうした技術の革新によって、焼肉が家庭で簡便に作れる、あるいは焼肉店に誰でも気安く行けるようになってきた。

 また、日本では、多様化することによって付加価値をつけるという戦略がとられている。焼肉においても、焼肉のタレにおいても、焼肉店がそれぞれに新しいメニューを開発したり、食品産業界でもさまざまな味の商品を開発するなど、多様性を追求している。

 こうした意味では、焼肉は見事に「日本化」した食べ物になっているといえよう。

朝倉敏夫(国立民族学博物館教授)

(2010.2.10 民団新聞)
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