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『東医宝鑑』で学位めざす 鍼灸師の吉田和裕さん
 東アジア医史学において朝鮮医学が日本、中国に与えた影響について研究し、学位論文を執筆する吉田和裕さん(44)。特に朝鮮医学の中核をなす『東医宝鑑』と江戸時代の朝鮮通信使との関わりが中心テーマだ。この分野での医史学的研究はほとんど未開拓なだけに、周囲からの期待も大きい。

韓国、中国でも研究

 『東医宝鑑』との本格的な出会いは、順天堂大学大学院医学部医学研究科で医史学を専攻してから。吉田さんは鍼灸で日々、医療の現場に立っているだけに、臨床学的立場から深読みできる。読めば読むほど、「すごいなー。400年前の治療がいまでも実際に使われている」と実感した。いまは「『東医宝鑑』を見るとすかっとする」というほど惚れ込む。

 大学院を2年間、休学してまず南京中医薬大学に国費留学。臨床と研究を重ねるうち、すべてが『東医宝鑑』に行き着くことを知り、「自分のやっていることに間違いはない」と確信した。

 中国での留学生活を終えると、慶煕大学校韓医科大学大学院に留学。ここでも深夜まで研究と調査に没頭した。韓国外国語大学校で語学を学びながらの留学生活は充実したものだった。韓医科大学大学院の指導教授に惜しまれつつ3カ月後、学位論文準備のため帰国した。

 医学を志したのは高校3年生の時。父親を病気で失ったのがきっかけだった。まず、鍼灸の専門学校で学ぶ。ツボの研究のため文献にあたるうち医史学の分野に深入りしていった。鍼灸医療の現場で日々患者の治療にあたり、なんとか生計を維持しながらの学究生活はかなりハードだ。

 研究は土・日曜日を利用して集中して行う。疲れたときは、パソコンの前に掲げた許浚の肖像画に見入る。「許浚先生も心医をめざして大変な回り道をした。それに比べれば、自分の苦労なんかたいしたことない」と。

 今年中か、遅くとも来春までには学位論文を仕上げるのが目標。将来は韓国で研究生活を送ることも考えているという。

よしだ・かずひろ

 66年5月、東京出身。関東鍼灸専門学校、明治大学を卒業。北里大学東洋医学研究所医史学研究部研究生。日本医科大学付属病院東洋医学科医局員。南京中医薬大学に2年間、国費留学。この後、慶煕大学校韓医科大学大学院史学研究室の特別研究員として留学。現在は順天堂大学大学院医学研究科博士課程を単位取得し筑波技術大学保健科学部保健学科研究員、東邦大学医療センター大森病院東洋医学科鍼灸部学術主任。
(2010.11.17 民団新聞)
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