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「第2の創団」へ一丸…金宰淑団長新年辞
民団結成60周年に向け
苦闘の歴史を想起し未来へ基盤整えよう

 親愛なる在日同胞の皆さん!

 2006年の新春を迎え、謹んで新年のごあいさつを申し上げます。

 昨年は、日本がわが国を実効支配した乙巳条約から100年、その支配から解放されて60年、そして日本との国交正常化から40年という歴史的節目の年でした。韓日両国はこの意義深い年を「韓日・日韓友情年」と定め、官民あげてさまざまな交流親善事業の推進に着手しました。

市民と連帯し韓日離間阻止

 ところが、春先に独島の領有権問題で火がつき、夏場に歪曲歴史教科書の採択をめぐるアツレキが再燃し、秋には小泉首相の5度目となる靖国神社参拝によって、韓日関係の冷え込みは深刻なものとなりました。民間交流が政治問題によって阻害されるという悪循環は、残念の極みと言わざるを得ません。

 しかし、誤った歴史観を次世代に植えつけてはならないというねばり強い意志を持つ民団と、良識ある日本の市民運動との連帯した力によって、問題教科書の採択を0・4%に押さえ込むことができました。運動にかかわったすべての同胞、日本市民の方々に心から感謝の意を表する次第です。

 親愛なる在日同胞の皆さん!

「自然の叡智」をテーマに開催された愛知万博では、地元愛知県本部を中心に、民団が全国的に推進した参観団誘致が原動力となり、韓国館に当初目標の150万人をはるかに超える349万人が訪れました。韓国の威信を高める民団の支援と衰えを知らない韓流が追い風になりました。

 その一方で、憂慮すべきは日本における偏狭なナショナリズムの台頭です。韓国理解のすそ野が広がれば広がるほど、それに反発する動きも露骨になりました。特に、靖国神社参拝をめぐる韓国、中国の批判に対して、一部政治家やマスコミが「内政干渉だ」という文言で日本国民を煽り、両国の国民感情に不要な亀裂を生じさせようとする動きもありました。このような感情的な対応は、問題解決を複雑にさせるばかりで、「百害あって一利なし」であります。

 韓日の架け橋を自認する私たち在日同胞は、感情対感情の連鎖に陥ることなく、今後とも民団に結集し、韓日交流の牽引者としての役割を果たしていかなければなりません。

地方参政権は共生に不可欠

 親愛なる在日同胞の皆さん!

 韓国は昨年6月、アジア初の定住外国人地方選挙権を成立させました。民団の働きかけがもたらした韓国国会の英断は、これまで相互主義を持ち出し、反対のための反対論に終始した日本の一部政治家の論拠を失わせました。

 新たな段階に入った地方参政権獲得運動の現場に立ち、私たちは昨年12月に大阪で参政権付与を求める「韓・日・在日ネットワーク」とともに参政権フォーラムを開催しました。韓国と日本の政治家による初のフォーラムは、忌憚のない意見交換と今後の課題を再確認させました。私たちは広範な日本市民と連携しながら風穴を開け、地域社会への参画と日本人との共生の担保となる地方参政権を一日も早く実現するよう、今後とも不退転の覚悟で臨みましょう。

 昨年11月には、在日100年の足跡を一堂に集めた在日韓人歴史資料館が開設されました。この「歴史資料館」は在日の原点を見つめなおし、歴史認識を再構築すると同時に、同胞社会の未来開拓への決意を新たにする場であります。さらに、隣人である日本人には、在日の存在そのものを理解させ、同時代をともに生きてきたし、これからも生きていくパートナーであることを認識させる場ともなるでしょう。

 資料館が韓日の歴史にとって節目となる05年に開館ができたことを喜びあらためて関係者の労苦に感謝しながら、現代を生きる在日同胞と日本人に大いに活用されることを望まずにはいられません。

 親愛なる在日同胞の皆さん!

 北韓の核問題では、昨年9月に開かれた6カ国協議で韓半島の非核化を柱に、平和的な枠組み構築のための模索が続いています。私たちはこの共同声明を受け、12月に大阪で民主平統近畿協議会の主催により、韓国・日本・在日の学者を招いた「平和統一シンポジウム」を開催しました。今後とも韓半島と東北アジアの平和のために、北韓と日本、北韓と米国との関係正常化を強く望むものです。

 一方、在日同胞社会においては、光復60周年と南北共同声明5周年を機に、山口、京都、大阪などの地方本部が朝鮮総連との和合・交流行事を実施しました。北韓を取り巻く厳しい状況も、在日同胞社会の働きで徐々に氷解させるべく、和合・交流事業をいっそう進展させなければなりません。

恩讐を超えて和合一層推進

 親愛なる在日同胞の皆さん!

 私たちは国籍を有する韓国と生活基盤を置く日本のはざまで生活しています。両国の揺るぎない友好関係があってこそ、私たちの自己実現や多文化共生社会の実現も可能になるのは自明の理です。

 とりわけ、創団60周年以降の民団の担い手となる3世や4世以降の子どもたちと日本の子どもたちが、いびつなナショナリズムや先入観でお互いを否定することがないようにとの思いから、昨年の光復節に際して毎年8月を「韓日未来月間」にする構想を打ち出しました。

 解放と敗戦という韓日の歴史が交差する8月に、在日同胞を軸に韓日の青少年を一堂に集め、文化・芸術、スポーツなどの交流と忌憚のない対話を通して、不幸な過去を乗り越え、未来に友情をつなごうというものです。主体となるのは、過去に500人規模のオリニ・ソウルジャンボリーを成功させてきた民団であり、在日同胞です。

 韓日間の懸案である歴史認識の問題を直視しながらも、過去の恩讐を超え、「在日新世紀」を構築していく契機にしていきましょう。

組織活性化で地域とも連携

 親愛なる在日同胞の皆さん!

 今年10月3日、民団は創団60周年を迎えます。「第2の創団」ともいうべき新しい歴史の1ページを切り開くためには、60年の歴史を土台に、さらなる前進を約束する組織力量を整えなければなりません。

 60年前に「全員が帰国するまでの時限的組織」として生まれた民団は、いまや同胞の生活権を守り、同胞のライフサイクルに即したサービスを提供する地方公共団体的な性格を帯びています。民団には同胞の生活レベル向上とそれにともなう価値観の変化を背景に、事業をさらに多様化させていくことが求められています。

 昨年2月の臨時中央大会では、組織の開放性と強靭性を同時に追求するために、韓半島にルーツを置く日本籍同胞に正規団員への道を開き、より多くの一線幹部の意思を反映させるべく選挙人制度を導入し、中央委員会の権能を強化しました。

 さらに、9月の全国団長会議では、創団60周年を「21世紀の時代条件に対応した新たな発展への踏み台」として位置づけ、祝祭・式典の開催や「民団60年史」の発行など各記念事業を準備するほか、組織活性化120日間運動を推進することを決めました。

 すでに一昨年の秋、組織活性化集中活動を3カ月間にわたって全国展開し、中央・地方・支部が一体となった共同活動によって問題意識と実践要領を共有することができました。これらの成果の上に、団員ネットを拡充することで、全国の同胞のニーズに対応するシステムを整えましょう。

 親愛なる在日同胞の皆さん!

 民団は日本の中で、多文化共生を推し進めながら地域社会に貢献すると同時に、本国政府と歩調を合わせながら、至上課題である平和統一への一翼を担っています。民団の「第2の創団」を大きな踏み台に、在日同胞の求心体としてはもちろん、韓日両社会に存在感を示すためにも、完成度の高い組織づくりを目ざしていきます。

 本年が在日同胞の皆さん一人ひとりにとって、実りある年になることを心からお祈りしながら、新春のごあいさつといたします。

(2006.1.1 民団新聞)
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