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色あせた91年「覚書」…「常勤講師」管理職任用の途遠く
参院議員会館での常勤講師問題を考える院内集会
賃金格差生涯1100万円

 91年韓日政府間「覚書」の結果、外国籍者にも各都道府県の実施する公立学校教員採用試験受験への途が開かれた。しかし、採用されてもその職階は「任用の期限を附さない常勤講師」であり、管理職への途は閉ざされたまま。校長(5級職)で退職した日本人との生涯賃金格差は手当も含めると約1100万円にのぼる(神奈川県教育委員会の試算結果)。「覚書」から26年。全国の外国籍教員から「差別処遇」の撤廃を求める声が広がっている。

処遇改善訴える

 4日に全国の市民団体が参議院議員会館で開いた「常勤講師問題を考える市民集会」席上、神戸市の常勤講師第1号として採用された在日同胞教員(52)が憤まんをぶちまけた。

 「この12年間、3年生を担当し、8年が進路担当だ。主任にはなれないが、それに近い仕事をずっと受け持っている。もう慣れたもの。常勤講師としてあれもだめ、これもだめと仕事がなく、モチベーションも上がらない。25年間もこういう制度が続くとは怒りの気持ちでいっぱいだ」。

 中堅からベテランの域に達した外国籍教員でもその能力にふさわしい仕事ができないというのは、学校組織にとっても損失といえそうだ。

 横浜市の市立高校に勤務する40代後半の在日同胞教員は今年で勤務3年目。3年生の担任を受け持ち、進路と人権を担当し、教育課程委員会の委員長も兼務する。毎日会議に追われて忙しいという。翌日の授業準備は家に帰ってから。だからか、つい愚痴が出た。

 「隣にいる日本人教員は定時で帰るのにもかかわらず、いずれ管理職にもなれる。なのに、あたりまえのように誰にも与えられる権利が私にはないのが悔しい。管理職になりたいわけではないが、憤りを感じた」。

 「覚書」をはさんで公立学校での外国籍教員数が全国的に増えたのは事実。中島智子さん(プール学院大学名誉教授)らの調査によれば、1988年段階で33人だったのが、12年4月段階で都道府県156人、政令指定都市で101人。

 一方、「覚書」以前から教諭として採用されてきた大阪の在日同胞たちには「後退した」という不満がくすぶっている。大阪府・市教委は92年、すでに採用した外国籍教員の職名を「教諭(指導専任)」として繕った。ただし、学校教育法上の職は厳然たる「講師」である。結局、従来からの「教諭」任用を堅持してたのは東京都と神奈川県川崎市のみだった。校長は無理でも主任はもとより主幹にもなれる。

 主催団体は院内集会に先だって文科省と外務省の係長クラスとの話し合いに臨み、外国籍教員に対する「差別処遇の撤廃」を訴えた。これに対する政府側の回答は、「当然の法理に基づいている」「原則に従っていると思っている」というものにとどまった。

「当然の法理」に合理的理由なし

 田中宏さん(一橋大学名誉教授)は「『当然の法理』に合理的な理由はない。外国籍者がこの地で何代生きてようとも、未来永劫にわたり国籍条項で差別されるところに日本の典型的な血統主義を感じる」と批判した。

(2017.8.15 民団新聞)
 
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