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京友禅 底辺で支えた在日 調査・研究で立証へ
安田昌史さん
同志社大学大学院生

 【京都】京友禅、西陣織に代表される京都の華やかな和装繊維産業を底辺で支えてきたのは在日同胞たちだ。しかし、こうした歴史的事実は意外と知らされていない。これに懸念を抱いた日本人の研究者が、在日韓国人との関わりを歴史人類学的な視点から学術的に立証していこうと、今年から調査に乗り出した。タイトルは「京友禅・染色産業における在日コリアン‐京都社会地図の検討‐」だ。

「京都社会地図」の見直し迫る

 調査研究にあたっているのは、同志社大学大学院社会研究科に在籍する安田昌史さん(24、京都市)。現在は博士課程前期1年生だ。

 安田さんは京友禅の蒸し工場を家業とする在日韓国人の友人を持っている。友人を通じて、在日韓国人が蒸・水洗工程に関わり、京都の地場産業の繁栄の一翼を担ってきたことは理解していた。だが、京都の「社会地図」ともいうべき観光案内を見ると、京友禅の工芸技術については紹介していても、在日韓国人との関わりについては一切触れていなかった。

 蒸・水洗の工程は京友禅の重要な技術工程の一つ。その良し悪しは製品の色彩、光沢面に直接影響する。それならばと、京友禅と在日韓国人との関わりを研究テーマに設定した。

 今年の1月から本格的な研究に着手。これまでに、京都の伝統産業の近代化を図ったのが韓半島から渡日して京都駅の設置工事や河川工事に就いていた1世たちだったこと、工事が終わると、生きんがために蒸・水洗工程に就き、京友禅の伝統工芸を下支えしてきたことを既存の資料で裏付けてきた。

 いまは、在日韓国人の従事する蒸工場を訪ね、精力的にインタビューを重ねている。民団京都・中京支部支団長の金永哲さん(63)は父親から蒸工場を受け継いだ。1943年に渡日し、仕事を求めて大阪から京都に移り住んだ父親が蒸工場にかかわったのが始まりだったという。金支団長は01年に伝統工芸士の認定を受け、「しごき職人」となった。

 在日韓国人がこの業種に集中するようになったのはなぜか。安田さんは、京都が一時期、「工業都市」の顔を併せ持っていたことから、在日韓国人と日本人との間で「相互作用」が行われたのではないかとの仮説を立てている。「在日韓国人は分業化過程のなかで、重労働のため日本人の嫌う蒸・水洗に多くかかわるようになったのではないか」。

 今後はもう一つの伝統産業である西陣織と在日韓国人との関わりも調べ、京都がいまも昔も在日韓国人と共に生きる街であることを立証していく。さらには京都の「社会地図」に在日韓国人の貢献を書き加えていくよう働きかけていきたいという。そのためにも「一人でも多くの在日韓国人から情報をいただきたい」と話している。

(2008.10.8 民団新聞)
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