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歴史に学ぶことが大切
「加害者が『終わった』と言ってはいけない」
尊敬する国民の皆さん、海外同胞の皆さん。
3・1運動は99周年を迎えました。3・1運動は、今この瞬間、私たちの暮らしに生々しく存続しています。西大門刑務所の煉瓦一つひとつには、苦難と死に立ち向かった崇高な物語が刻まれています。大韓独立万歳の叫びが聞こえてきそうです。
今日私たちは、剥製化された記念式典ではなく、独立運動の現場で歴史の息吹が感じられる記念式を行おうとこの場に集まりました。
日帝強占時代には、毎年2600人余りが西大門刑務所に投獄されました。1945年8月15日の解放のその日まで、10万人近くがここに収監されました。10人中9人が思想犯と呼ばれた独立運動家でした。
10代の青少年から年配の方まで、南の済州島から北の咸鏡道まで、年齢や地域を問わず、祖国の独立運動を実践した方でした。母と息子、父と娘、兄弟姉妹が一緒に投獄されました。
多くの母親とご夫人がこの刑務所前の路地で、針仕事の内職や雑役をしながら、わが子と夫の差し入れをしました。収監者だけではなく、その家族もみな独立運動家でした。
国民の皆さん。
99年前の今日、村と市場に檄文が貼られました。独立宣言書が手から手に伝わりました。ソウルと平壌、鎭南浦、安州、義州、定州、宣川、元山など全国津々浦々で同時に独立宣言書が朗読され、万歳デモが始まりました。万歳運動は瞬く間に、地方都市と邑面まで拡大しました。
遠く、中国の間島やロシアの沿海州、米国のフィラデルフィアとハワイのホノルルの空にも、独立万歳の声が鳴り響きました。
その年の3月1日から5月末まで、国内だけでなんと1542回の万歳デモが起こり、当時の人口の10分の1を超える220万人が参加しました。
3・1運動の経験と記憶は日本植民地時代を通じて、熾烈だった抗日独立闘争の精神的土台となりました。
3・1運動以来、数百、数千人の独立軍が毎日のように鴨緑江と豆満江を渡りました。大韓国民会、北路軍政署、大韓独立軍、軍務都督府、西路軍政署、大韓独立団、光復軍総営を構成して、日本の軍警と血のにじむ戦闘を繰り広げました。1人が倒れると10人が立ち上がりました。
安重根義士の後に続き、姜宇奎、朴載赫、崔壽鳳、金益相、金相玉、羅錫疇、李奉昌、数え切れないほどの義士たちが義烈闘争を続けました。32年4月29日、尹奉吉義士の上海義拳がその頂点でした。
37年の1年だけで国内では、なんと3600件の大小の武装独立闘争がありました。40年には大韓民国臨時政府が、大韓民国初の正規軍である光復軍を創設しました。みな大韓民国建国の父たちです。
天安にあるアウネ市場で万歳デモを主導した、18歳の柳寛順烈士は、地下の独房で拷問と栄養失調により殉国しました。17歳という青春真っ盛りな董豊信烈士は、咸鏡北道・明川郡の万歳デモに参加し、ここ西大門刑務所で殉国しました。
夜を明かして太極旗を描いた釜山日新女学校の生徒たち、初の女性義兵である尹〓順義士、白凡・金九先生の母である郭樂園女史、3・1運動直後の3月9日、46歳で鴨緑江を渡り、西路軍政署に加わった独立軍の母、南慈賢女史、槿友会事件を主導した後、中国に亡命して義烈団の活動をした朴次貞烈士、大韓民国臨時政府の独立資金を調達するために、国境を6回も往復した鄭靖和義士。私たちには3・1運動の精神で大韓民国を創立した建国の母たちもいました。
私たちの先祖の独立闘争は世界のどの国よりも熾烈でした。光復は、決して外から与えられたものではありません。先祖たちが「最後の一角」まで死を賭けてともに戦い、成し遂げた結果です。
国民の皆さん。
3・1運動の最大の成果は、独立宣言書に基づく大韓民国臨時政府の樹立でした。
3・1運動で樹立された大韓民国臨時政府の憲法には、大韓民国が民主共和制であり、国の主権が国民にあると明らかになりました。それが、今の大韓民国憲法第1条になりました。
王政と植民地を乗り越え、私たちの先祖が民主共和国づくりに前進したた力が、まさに3・1運動でした。
3・1運動の力が弱まったとき、主権者である国民が再び立ち上がりました。独立運動は、愛国志士たちだけのものではありませんでした。商人は閉店運動を行いました。木こり、芸者、盲人、鉱夫、名も知れず生きていた私たちの父、母、姉、妹たちまで先頭に立ちました。
国民主権と自由と平等、平和への熱望が、一人ひとりの生活の中に入ってきました。階層、地域、性別、宗教の垣根を越えて、一人ひとりが立派な国民になりました。このように、大韓民国を国民が主人公となる民主共和国に作りあげたのが、まさに3・1運動です。
大韓民国臨時政府は、憲法第1条だけでなく、大韓民国という国号と太極旗と愛国歌という国家の象徴を伝承しました。大韓民国が、「臨時政府の法統を継いだ」と憲法が明らかにしている理由です。
昨年の冬、私たちは100年の時を超えました。3・1運動で始まった国民主権の歴史を蘇らせました。1700万個のキャンドルが、最も平和で美しい方法でこの歴史を繰り広げました。闇を明るく照らした一つひとつの光は、国民一人ひとりが大韓民国の主権者であることを再度宣言しました。新しい国民主権の歴史が大韓民国建国100周年に向けて、描かれ始めました。
私と政府は、キャンドルが再び照らしてくれた国民主権の国をしっかりと守っていきます。3・1運動の精神と独立運動家たちの生活を、大韓民国の歴史の主流に打ち建てることでしょう。
2020年に開館する、大韓民国臨時政府記念館には、大韓民国を樹立した数多くの先祖たちの物語が盛り込まれるでしょう。3・1運動に参加した木こりも、鉱夫も、芸者も誇らしい独立運動家の名として刻まれることでしょう。
国内外の随所で未発見の、独立運動の遺跡と独立運動家たちの痕跡も引き続き発掘していきます。重慶市の光復軍総司令部も臨時政府樹立100周年に合わせて復元されることでしょう。
国民の皆さん。
私たちには3・1運動という巨大な根があります。解放と国民主権をもたらした民族の根です。私たちには独立運動と民主共和国を建てた偉大な先祖がおり、絶対的貧困から脱し、経済発展と民主化を成し遂げた建国2世代と第3世代がいます。また、この時代にともに歩んでいく道を照らしてくれた多くのキャンドルもあります。
私たちは、これ以上自身を卑下する必要はありません。私たちの力で光復を作り上げた、誇りあふれる歴史があります。私たちは、自らの平和を創りあげる力があります。
私はこのような国民の力と自信感によって、3・1運動と大韓民国建国100周年を、恒久的な平和体制の構築と平和に基づく繁栄の新しいスタートラインにしていきます。
そのために、私たちは誤った歴史を私たちの力で正さなければなりません。
独島は日本の韓半島侵奪の過程で最初に占領された私たちの土地です。わが国固有の領土です。今、日本がその事実を否定するのは、帝国主義による侵略に対する反省を拒否することにほかなりません。
慰安婦問題の解決においても、加害者である日本政府が「終わった」と言ってはなりません。戦争中に起こった反人倫的な人権犯罪行為は、終わったという言葉で片づけてはいけません。
不幸な歴史ほど、その歴史を記憶し、その歴史から学ぶことだけが真の解決です。日本は人類普遍の良心を持って、歴史の真実と正義に向き合わねばなりません。
私は日本が、苦痛を与えた隣国と真に和解し、平和共存と繁栄の道をともに歩んでいくことを願っています。
私は日本に特別な待遇を要求しません。ただ、最も近い隣国らしく、真実の反省と和解の上で、ともに未来へ進んでいくことを願うだけです。
尊敬する国民の皆さん、海外同胞の皆さん。
私たちは、今日、3・1運動を鮮やかな記憶として蘇らせることにより、韓半島の平和が、国民の力で成せることを確認しています。私たちは、これから光復100年に向かう中、韓半島の平和共同体、経済共同体を完成させねばなりません。分断がこれ以上、私たちの平和と繁栄の障害になってはなりません。私は今日、国民の皆さんがこの目標をともに成し遂げていただくよう提案します。貧富、性別、学歴、地域の格差と差別がない国を創りましょう。
金九先生が夢を見た、世界の平和を主導する、文化強国へと進んでいきましょう。
3・1運動というこの巨大な根は決して枯れることはありません。公明正大な国は、すでに国民の心の隅々に99年前から育っていました。
この巨大な根が、韓半島で平和と繁栄の木として丈夫に育ててくれるでしょう。大韓民国は世界で最も偉大で美しい国になるでしょう。
ありがとうございました。
大韓民国大統領 文在寅
（2018.3.7 民団新聞）
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