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どうなる都庁任用差別訴訟最高裁判決(04.8.15)
最高裁判決の見通しについて語る金敬得弁護士
鄭香均さん
「違憲判断見直しは解放の流れに逆行」

 都の保健師、鄭香均さんによる都庁国籍任用差別訴訟を審理してきた最高裁第3小法廷(藤田宙靖裁判長)は9月28日に原告、被告双方から主張を聴く口頭弁論を開く。東京高裁判決がどのような形で見直されるのかは不透明だが、弁護団の金敬得弁護士は7日、支援団体主催の学習会で高裁の違憲判決を覆すのは難しいだろうとの見通しを述べた。

焦点は損害賠償見直しか

 書面審理中心の最高裁が下級審の判断を維持する場合には口頭弁論を開く必要はない。弁論を開催するということは、高裁判決を見直す場合が多いといわれる。

 これについて金弁護士は「都に命じた40万円の損害賠償を維持するかどうかが焦点となるのではないか」との考えを明らかにした。

 想定される第1は40万円についてだけ見直すというケースで、金弁護士は「いちばん可能性が高い」とみている。本質的な違憲判断はそのまま維持するというものだ。

 第2のケースとして国民主権の論理からして外国人が就任できるものとそうでないものを厳密に判断するよう高裁に審理を差し戻すというケースもありうるという。「最悪」なのは違憲判断そのものを認めないというケースだが、金弁護士は「高裁判決を覆せるような判決はいまの時代の流れからしてできないのでは」と希望的に観測している。

 その理由として金弁護士は、定住外国人の地方選挙権を許容した95年の最高裁判決との整合性をあげている。「地方選挙権について法律を作れば可能とした。選挙権と被選挙権は一体のもの。選挙権を認めた以上は被選挙権も法律で禁止されていないと読みとれる。もっと開かれてもいいという判決も期待できる」。

 東京地裁は「当然の法理」とのからみから間接的な統治作用に関わる公務就任権は憲法上、外国人には「保障されない」とした。ただし、「法律で明示的に禁止されているわけではない。立法がなされれば可能」と含みを持たせた。

 東京高裁も基本的には地裁判断を踏襲したが、国民主権の原理に照らして「できるもの」と「できないもの」があると踏み込んだ点では決定的に異なる。憲法上、禁止されていると例示したのは国会議員、内閣総理大臣、およびその他の国務大臣、裁判官など。これは法律の改正をもってしても不可能とした。

 ただし、このほかの公権力の行使や公の意思形成に参画する公務員については、職務の内容、権限と統治作用との関わりかたや程度を個々具体的に検討し、外国人の就任を認めていいものとそうでないものを区別しなければならないとした。これは外国人を一律、形式的に排除することは憲法違反になるとの画期的な判断だった。

 最高裁の判決は弁論を経て、年内にも出される見通し。

署名呼びかけ
支援団体、最高裁提出へ

 鄭香均さんの支援団体は最高裁に良識ある判断を求める要請署名を呼びかけている。

 要請書で支援団体は、国籍条項撤廃の流れがこの10年間で大きな潮流となったと指摘、その理由として地方参政権付与決議や住民投票条例をみても多くの自治体が永住外国人の参加を容認していることを挙げている。

 集約は第1次が9月10日、引き続き10月10日まで署名を集め最高裁第3小法廷の藤田宙靖裁判長にあてて提出する方針。

 連絡先は都庁国籍任用差別を許さない会(03・3809・0935)水野方。

都庁任用差別訴訟の経過

 在日外国人に門戸が開放された88年、看護師資格を持っていた鄭さんは都の保健師として採用された。

 採用から7年目、上司の薦めで管理職試験受験を決意。ところが翌日、外国籍は管理職試験は受けられないといわれた。理由は公権力の行使、公の意思形成をする仕事には外国人はつけないというものだった。

 この「当然の法理」は実施要項のどこにも書かれていなかった。都に問い合わせたところ、「書く必要のないことが当然の法理」という回答だった。思い悩んだ末、94年9月に提訴した。

 96年5月、東京地裁は鄭さんの請求を棄却。97年11月の高裁判決では逆転勝訴。鄭さんの受験を認めなかった都を憲法違反として40万円の賠償を命じた。これに対して都は上告していた。


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原告の鄭香均さん語る

日本の右傾化反映…厳しい判断も覚悟

 最高裁が弁論を開くということは予想していなかった。当然、勝つと思っていた。さんざん待たせたあげくこの時期を選んだということに関しては、相当厳しいものを覚悟しなければならないと考える。

 東京地裁判決に出てきている「忠誠心」という文言が憲法改正プロジェクトチームの論点整理案にも出ている。教育基本法の中間改正案にも「愛国心」という言葉があちらこちらで使われている。つまり天皇制を根底においた日本の伝統文化の尊重ということだ。

 いまは感染症対策係長だが、感染症というのは「公権力の行使」にあたる立場でもあるので、もしかすると自分はその部署には就かないのではないかと思っていた。

 感染症の視点からいまの社会を見てみると、感染症への対応よりも「不法就労者を入管や警察に通告せよ」というようないたるところで外国人を排除するための民間防衛というか民間の警備が張り巡らされている。日本国籍の人たちが気づかない排除の論理に、外国籍が声を出していく立場にあると思っている。

 しかし、私の後に続く同胞がいないという寂しさが非常にある。看護師や保健師の学校に通う学生が実習に来るが、本名を名のっている学生に出会うと「保健師にならないか」となるべく声をかけるようにしている。保健師というのは病院とは違い、地域に出て行き家庭の中を見ながら、その人たちが地域で生きていくのを手助けする存在であり、社会のひずみを知り得る立場にある。

 在日に限らず外国籍の人からの相談が、私を名指しして来るということがある。外国人なら分かってくれるだろうという思いがあるのだろう。相談内容は特に外国人だからどうこうというものではなく、日本人が相談してくるのとまったく同じような内容だが、外国籍の人にとって公務員というのは遠い存在であり、信用できない存在だと思っているのではないかと思う。

 一時は気落ちしたが、前向きに頑張りたい。


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「都庁国籍任用差別を許さない会」 寄稿
正念場迎えた国籍条項撤廃運動

積み上げた成果後戻りさせまい

提訴から10年

 在日韓国人の保健師、鄭香均(チョン・ヒャンギュン)さんが東京都の管理職試験を拒否されたことに端を発した裁判闘争は今年で10年になります。

 6月24日に報道されたように、最高裁判所は東京高裁の行った判決、東京都の国籍を理由とした受験拒否は「法の下の平等」「職業選択の自由」に抵触し憲法違反とされたものを見直そうとしています。

 外国人には「国家権力の行使」や「国家の意思の形成」に係わる仕事をさせることはできないという「当然の法理」なるものをでっちあげた政府。これに追随し、「国家」を「公権力」「公の意思」と読み替えたうえで外国人お断りで押し通してきた各自治体当局。

 この不当性に抗して阪神地域から始まった自治体の国籍条項撤廃の闘いは、80年代の指紋押捺拒否運動を経て、外国籍住民の自治への参画の問題としても積極的に展開されることとなりました。

 「公権力」とも「公の意思」とも関係のない現業にも国籍条項をつけていた自治省、看護婦などの職種には国籍条項を不要とする自治省の通達を「無視」して在日韓国・朝鮮人看護師らを排除してきた自治体病院、「富士山や桜の美しさは外国人の感性では生徒に教えられない」とする文部次官の発言に寄り添い公立学校の教員から排除したり、「教諭」ではなく「講師」でなら採用するとした教育委員会。選挙権がないから公務員にもしないと最高裁判決後もうそぶく自治体。

 断るためにねつ造された様々な理屈を一つひとつ打ち破りながら各市町村の門戸を開放した取り組みは、東京・杉並区での事務職への転職試験闘争や大阪市での採用試験闘争を軸として各地で展開され、90年代はじめには全国の約3割の市役所が一般事務職の受験を認めるにいたりました。

 しかしこの時点までの国籍条項の撤廃は一般市に限られ、県庁所在地・政令指定都市・都道府県庁での完全開放は皆無でした。政府・自治省の介入が、直接的なものから全国人事委員会におけるものまで様々な形で行われた結果でした。

 94年の鄭さんの提訴以降、高知県の橋本知事の「完全撤廃をめざす」動きをはじめとして自治体内部からも国籍条項の不当性が語られ始めました。

 東京地裁が「外国人お断り」の判決を出した10日後に川崎市が撤廃に踏み切ったことは、自治体が「国籍制限」を桎梏(しっこく)としてとらえていることを指し示すものでした。白川自治相が国籍による制限は「各自治体が判断すること」としたのはこうした自治体の声を集大成したものとしてもあったといえます。

 これに続く97年11月東京高裁判決は国籍を理由とした差別人事を憲法違反としました。多くの自治体にとっては自治相からも司法からも「外国人お断り」は通じないことを明確にされたのです。

 門戸開放はいまやすべての政令指定都市をはじめ主要自治体の半数以上になっています。最高裁判所の「見直し」や排外的風潮により自治体が再び扉を閉めないよう、この問題に多くの皆さんが注目されることを望みます。

(2004.8.15 民団新聞)
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