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<社説>自滅する「窮鼠」の姿
 北韓は「人工衛星打ち上げ」と称して、「テポドン2号」と目される長距離弾道ミサイルを4月4日から8日の間に発射する構えを崩していない。弾道ミサイルの軌道は、日本列島の上空を通過する計画とされ、韓・米・日の3国は、ミサイル撃墜の可能性も視野に緊迫の度を強めており、国際社会も「不測の事態」に懸念を広げている。

政権不安の証明

 核兵器の所有を宣言した北韓の、核弾頭搭載可能な弾道ミサイルの発射は、東アジアと太平洋地域の安全保障に深刻な脅威となり、その後の軍事的な緊張を一挙に高めるだけではない。日本の地で生活を営む私たち同胞にとって、何らかの要因でミサイルの一部が日本の領土・領海に落下する場合は言うまでもなく、上空を通過するだけでも深刻な打撃となる。

 それは北韓の公民であることを自認する朝総連同胞だけでなく、この地で多文化共生社会を実現する社会運動の先頭に立ち、多くの成果を積み重ねながら、東アジアの安定と平和に貢献しようとする私たち民団の努力をも破壊しかねない。さらには、同胞社会全体の日常生活にも直接的な被害をもたらそう。

 北韓は強硬な姿勢を貫くことで韓・米・日との緊張を煽り、自らをいっそうの窮地に追い込むことによって、国内の引き締めを図っているように見える。金正日国防委員長の重病・健康不安とそれにともなう後継問題との絡みも取りざたされている。無謀極まる軍事的緊張を造成することでしか、体制の維持が困難なほど政権基盤が揺らいでいる証と見るほかない。

 李明博政府が出帆した昨年2月以降、北韓は韓国に対する非難・中傷、撹乱工作を露骨に強めてきた。同年7月には金剛山を観光中の韓国人女性を「軍事地域に入った」という理由で警告もなく射殺した。南北関係はこれで一挙に悪化し、韓国側による金剛山観光の即時中止、北韓側による開城観光の中止、開城工業団地の韓国政府要員の追放、韓国人従業員の抑留・足止めと続いた。この17日には北・中国境で米国人記者2人と中国人ガイド1人を拘束、新たな火種に加えた。

 北韓のこれまでの「猫を咬む窮鼠」式の瀬戸際外交、崖っぷち政策などと呼ばれる戦略・戦術は、大量餓死を含む国民の疲弊以外、何を自らにもたらしたのか。何か得たものがあると思っているとすれば、大きな錯覚である。

脅しに屈しない

 最近の動きは、北韓が核不拡散条約(NPT)から脱退してノドン・ミサイルを発射し、北・米高位級会談を引き出したクリントン政府初期の時代と似通っているという。北韓に対して強硬路線をとっていた金泳三政府と、直接対話をいとわなかった米国の民主党政府との当時の組み合わせは、過去10年の対北融和政策を見直し、「非核・開放」を前面に出す李明博政府と、北韓との対話の可能性を開いているオバマ政府という現在の組み合わせと確かに類似性がある。

 今回のミサイル発射の狙いは、韓国に対しては軍事的圧迫の水位を高め、かつての融和政策への回帰を余儀なくさせようとする一方で、米国に向けてはオバマ新政府の関心を引きつけることにあろう。しかし、クリントン政府に対して、北韓に引きずり回されたあげく、ジュネーブ合意で軽水炉の提供だけを約束させられたとして批判が強い。韓国の過去10年に対しても、貢ぐだけ貢いだにもかかわらず、北韓の既定路線を幇助し、韓国内部に親北あるいは従北勢力を増殖させたに過ぎない、との評価が定まっている。

包囲網は狭まる

 北韓に直接的な脅威を受ける諸国をはじめ国際社会は、北韓の手法に対する学習を重ねており、揺さぶり効果は小さくなっている。核弾頭や長距離弾道ミサイルなど、大量破壊兵器の所持をもって「強盛大国」を自称し、関係国を威嚇したところで、もはや脅しに屈する国はない。「窮鼠」は「窮鼠」のままあり続け、やがて自滅する以外になかろう。

 大量破壊兵器の輸出封鎖や廃棄は当然のこと、麻薬や偽札の密輸など各種国家犯罪の中止、日本人や韓国人などの拉致問題解決、人道・人権を蹂躙する独裁体制の止揚など、国際社会の北韓に対する包囲網と圧力は、着実に広がり強まっていく。それは、北韓が自己を改革し、開放するまで止むことは決してない。

 在日同胞は、北韓が発射を計画するミサイルは、「私たちに向かって撃ち込むのと同じ」と受けとめている。韓半島と東アジアから戦乱の起きる可能性を取り除き、平和と安定を確かなものにするために、そして何よりも自らの生活を守るために、弾道ミサイルの発射を中止するよう断固として要求する。

(2009.3.25 民団新聞)
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