| | 北朝鮮帰国者の生命と人権を守る会、北朝鮮難民救援基金など5団体は14日、「日朝協議における日本人配偶者問題」を中心に、安倍晋三首相宛要請書を外務省に提出後、記者会見を行い、要請の趣旨を説明した。(東京・港区) |
9万余人「帰省」すら許さず 事実上「拉致」なお賛美する総連中央 北韓はさる4日、日本政府との合意に基づき、1,日本人遺骨問題2,残留日本人・日本人配偶者3,拉致被害者4,行方不明者の4分科委員会(1,〜4,の順は北側発表)からなる「特別調査委員会」を設置し、「すべての日本人に関する包括的かつ全面的な調査」を始めると発表した。「日本人配偶者」とは、「北送事業」(1959年〜84年)で在日同胞の日本人妻として北韓に渡った人たちである。日本人配偶者間題の解決推進は当然のことであり、この機会に、これまで一度も帰省や墓参りすら許されていない「北送同胞」の問題にも、強い光があてられることが求められている。 今、声あげないでどうする 「特別調査委員会」設置と同時に実施された日本の対北韓制裁一部解除(1,人の往来に関する規制2,送金や現金持ち出しの報告に関する規制3,人道目的の北韓籍船舶の入港禁止‐の解除・緩和)から2日後の6日、朝鮮労働党機関紙「労働新聞」は故金日成主席の朝鮮総連に対する「格別な思いを示すエピソード」を掲載、「在日同胞に対する熱い愛と恩情は今も変わることなく続いている」と主張し、孫の金正恩第1書記も身内に接するような熱い思いを在日に持っており、「愛の歴史は永遠に続く」と強調した。 だが、多くの在日同胞は、金第1書記に本当に「在日同胞に対する熱い愛と恩情」があるならば、「日本人配偶者」のみならず、「北送在日同胞」の生死・住所の確認と在日家族・親戚との自由な再会および相互訪問の速やかな実現を約束すべきだと強く思っている。 「衣食住の問題は完全に解決」「祖国は地上の楽園」とする北韓当局の意を受けた総連の虚偽宣伝および「人道的事業」だとする日本政府・政党の積極的協力と日本のマスコミあげての北韓体制賛美キャンペーンのもとで推進された「北送事業」開始(59年12月)から今年で55年になる。 同事業で北韓に渡った9万3340人(1831人の日本人妻含む)を待ち受けていたのは日本でよりもはるかに厳しい生活であった。ごく一部の総連幹部や有力幹部商工人家族などを除き、大部分は、山間僻地の炭鉱や農村・工場地帯に配置され、掘っ立て小屋に押し込まれた。 北韓の身分体制の最下層に置かれ、一般の北韓住民からは「帰胞」などと呼ばれ差別された。しかも日常的な監視対象に位置づけられ、「約束がちがう」「日本に帰りたい」と言えば、政治犯用の精神科病院へ強制入院させられ、不満を口にし、抗議しようものなら政治犯収容所に送られるか抹殺された。 「帰国同胞」は、「地上の楽園」であり、「南への帰郷も、日本との往来も遠からず可能になる」との総連組織をあげての宣伝を信じていた。「3年後には里帰りできる」と言われて夫に同行した日本人妻も少なくない。 しかし、北韓当局は、現在まで一貫して、国際法的原則である「出国の自由」および「居住地選択の自由」を保障していない。 総連では「(帰国船は)一時中断したが、71年に再開した(万景号就航)。また65年、日本再入国の権利を勝ち取り祖国往来の道も開かれ、79年からは、定期的な祖国訪問が実現している」と、あたかも在日同胞にとり大きな成果であるかのように喧伝。79年8月から始まった「在日同胞短期祖国訪問団事業」では大型旅客船が新潟を往来するようになり、家族や親族訪問の道が開かれたとしている。 だが、日本からの一方通行で、北韓当局は、「帰国同胞」の日本への自由往来はもとより、一時帰省や墓参りすら、いまだに認めていない。 そうしたなかでも、裕福な商工人親族が日本にいる者や総連大幹部の家族らは、巨額な寄付・補償によって監視人同伴で、あるいは訪日代表団のメンバーの一員として密かに帰省している。この場合も、家族ぐるみの帰省は許していない。「帰国同胞」を、在日家族をして総連の活動から離脱させないための「人質」にするとともに、在日家族・縁者からの巨額な送金や援助を促して利用するためだ。 総連中央では「祖国への自由往来は在日朝鮮人の権利である」と日本政府に要求してきた。しかし、肝心な「帰国同胞」家族の生死・住所の確認と在日家族・親戚との自由な再会・相互訪問の実現については、北韓当局に対して要求せず、口をつぐんだままである。 長年にわたる差別・抑圧と慢性的な食糧不足という過酷な状況に耐えられず、命がけで脱北した元北送同胞家族の一部が日本に戻ってきている。その数は200人を超えているという。 「北送事業」に全力をあげて取り組み「幻想」を振りまいてきた総連中央は、自らの責任を否定し、いまだに「帰国運動は共和国側から提起されたわけでもなく同胞の自主的な要求であった」などと強弁、「オボイ(親)首領様(金日成)」の温かい配慮、至上の同胞愛から実現したと、同事業を賛美してやまず、多くの同胞の怒りを買っている。 (2014.7.16 民団新聞) |