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<次世代母国研修>「助け合い、前に進もう」…何を得た!?中・高・大生
研修で国民儀礼
サムスンの広報施設を見学する高校生

 創団65周年記念事業「次世代育成1000人プログラム」の一環である夏季母国研修のうち、中学生(8月2〜5日。163人)、高校生(7月26〜29日。158人)、大学・短大生(8月16〜19日。221人)の各部が終わった。研修最終日には参加者全員が感想文(実名)を提出し、書面によるアンケート調査(匿名)にも応じた。これをもとに、今どきの中・高生や大学生らの意識の一端に迫ってみよう。日程・内容に不満を抱きつつも、同年代の「真の友」を渇望し、「在日」・「母国」・「統一」、そして「自分」への認識を新たにしていった姿が浮かんでくる。

■□
「真の友 見つけた」…歴史に誇り、高めた自意識

「日程がタイト」
 中学・高校・大学生を対象にした学習中心の夏季研修は前例がない。感想文には、「日程詰め過ぎ。自由時間がない」「観光も買い物もできないの=」「講義ばかりで眠くなる。消化不良になった」といった不満の書き込みも目についた。参加者の歓心を買わず、迎合もしない企画だけに、当然の反応だろう。

 講義内容についても数件、手厳しい指摘があった。「韓国の自慢をし過ぎる」(四国・中2)、「韓国の悪いところも教えて欲しかった」(中学生)との苦言もあれば、「21世紀にあって、想像を絶する理不尽で残酷な生活を強いられている北の人々を忘れてはいけないと改めて強く思った」と言う神奈川の大学生からは、「光州事態など都合の悪いことには触れず、ベトナム参戦を美化する考え方は肯けない」といった批判も出た。

厳しい指摘も
 特異なケースとしては、同じ参加者に対しての憤りや残念な思いの吐露もあった。「国歌ぐらいちゃんと歌えないのか。国民儀礼での態度やマナーの悪さに哀れみさえ覚えた」(北海道・大学生)。「兵役に行っていない自分が韓国を語るのは無責任だと思い、昨年、韓国を背負うために兵役に行く決意をしたが、家族親戚の反対で実現しなかった」という関西の大学4年生は、兵役について「自分と同じくらいの思いを持つやつ」に出会いたかったと書いた。

変わる「自分」
 参加理由について感想文では「オリニジャンボリーで友だちになった子とまた会えるから」「親に言われてしかたなく」もけっこう多く、「部活を休みたかったりという軽い気持ち」の高3もいた。なかには「サムスンを学びたくて」(中学生)、「朝鮮半島を揺さぶるあらゆる問題の本質を知るために」(大学生)、「今後日本で活動するうえで民団と関わりを持ちたい、そのきっかけとして」(愛知・大4)と目的を絞ったケースも。

 動機は複合的で、本人たちも特定しにくかったのではないか。ただ、平均値は「目的は2つ。在日の友人をつくる。自身のルーツである韓国を知る」(東京・大学1年)ことにあったと見ていい。「周りにいない、同じ韓国人の仲間に会える楽しみ」(沖縄・高3)など、設問にはなかった「在日の友人をつくるため」が、各人にほぼ共通していたことは押さえておきたい。

 自ら「一人で絵を描くのが好き」、「人見知りなので」と告白する中学生や高校生が、「でも、皆がすぐ話しかけてくれて、すごく嬉しかった。解散するときはメールアドレスの交換に忙しかった」「一生もんの友だちになれた」などとしたためた。

 「軽い気持ち」「嫌々ながら」「ある目的があって」と参加動機も多様ならば、問題意識の水準にも高低があったのは当然のこと。それでも、研修と同じ境遇の友人との出会いによって、自意識を一段高め、問題意識を新たにしていった姿がよく見える。

 「オリニジャンボリーと違って、今回、マジ勉強。バリしんどいけど、また来たる〜」(大阪・中2)。「格安ツアーがいつの間にか楽しい研修に変わった」(神奈川・大学4年)。「研修はいくらかんでも甘さの消えないガムのようだった」(東京・大学1年)。先述の、兵役問題を語った参加者も「大学生として将来への期待や不安を持ち、そこに『在日』というテーマをミックスさせた思いに、自分も大いに刺激を受けた」と総括した。

家族の温もり
 「父に勧められて何となく参加。自分の気持ちを、初めて知った皆に言えることができた。皆の話に共感できるし、何かがきゅんと来て胸が痛かった。日本の友達と違う、家族みたいな温かい時間だった」(高2)。

 「研修の満足度」について、「とても満足」と「おおむね満足」が中学生92・1%、高校生72・1%、大学生82・3%であり、「研修を毎年開く」についても、「賛成」と「どちらかと言えば賛成」が中学生94・9%、高校生87・8%、大学生93・6%となっている。

 研修を肯定的に受けとめ、継続を望んでいる。アンケートと感想文を見る限り、今回の企画は予想以上の成果を上げたと言えそうだ。

■□
「一生ものの体験」…悩み共有 胸キュンに

母国愛に感銘
 参加者の感想文からは、韓国籍や重国籍であること、アイデンティティが揺らいでいること、周囲に本音で語り合える友だちがいないことなどの悩みが率直に語られ、今後への決意が控えめに、あるいは力強く示されている。

 「韓国は楽しい国だと思っていた。興味と言ってもK‐POPくらいで。でも、現実は休戦中で、明日にも争いが起きるかもしれない状態とは。もっと勉強する」(和歌山・中2)。「日本、韓国、アジア全体の安全と平和のために役立ちたい」(北海道・中3)。

民族の心知る
 「韓国人や在日の心情、北韓の金日成への間違った忠誠心、身勝手な独裁政治、同じ民族で殺し合うことの苦しみを知った。血や国籍に誇りを覚える。国際的に活躍し、南北統一に少しでも協力できる人間になりたい」(神奈川・中1)。「つらい歴史を持ちながら、世界有数の経済大国になった国の血が流れていることに誇り」(東京・中1)。

 8月15日が誕生日の中学2年生(滋賀)は、「日本は敗戦の日なので微妙だったけど、韓国にとっては解放の日。この日で良かったと思うようになった」と述べ、「独島について日本の授業では『竹島は日本固有の領土』と習いましたが、今回の研修では韓国のものと教わり、少し混乱して」いる茨城の中学2年生は、「南北統一を願って、自分が日本でできることは、どんどんやっていきたい」と決意を込めた。

「帰化」やめた
 「父に、大人になったら帰化したい、とずっと訴えてきた。しかし、今回の研修で、戦争でボロボロになったのに、よくぞここまで来たものだ、と感心し、先祖が死に物狂いで努力したあかつきの大きな成功に、帰化したいと言ったことを後悔した。韓国人の誇りを持って精一杯努力したい」(高1)。

 「差別やイジメのことを真剣に討論した。自分たちの代でなくしたい。でも正直なくせないと思う。前に進むために、在日同士が手を取り合い、助け合えばいいと思った。その友だちを作るのが今回の研修の一つの目標だったと僕は思っている」(高2)。

 「支団長をしている父の勧めで参加した。在日の意識はなく、民団は、正直、在日同胞という単語で集まり、傷の舐め合いをする団体と考えていたほど。考えが変わった。社会人になるに当たり、俯瞰的思考を持ちたいと思う」(大阪・大4)。

Wの誇り持つ
 「韓国と日本の2つの血が混ざっているからこそ、今回の研修で学んだことを周りに伝えて行きたい」(高1)。研修には重国籍者の参加が少なくなかった。

 「自分はハーフであることを隠したことは一度もない。今回、母国のことを分かったので、自分の国に誇りを持って生きていきたい。また壁にぶつかると思うけど、何度でも乗り越えるようになりたい」(高1)。

 「韓国人と日本人のハーフなんて嫌だって思うことが何度もあったけど、たくさんの韓国人の友だちと話して、そんなのまったく気にする必要はないと思いました。むしろ、韓国人の愛国心や優しさなど誇りに思うべきだと思うようになった」(高3)。

 「在日韓国人にしかできないことがある。韓国人にも、日本人にも分からない、在日しか分からないことがある、と聞いたとき、その通りだと思った。(自分の半分である)韓国人を誇りに思えるようになった」(高2)。

同じ涙を流し
 「ディスカッションは内容が濃かった。まさか、同じ班の人たちがそんなつらい体験をしているとは。本当に泣けた。こんな深いところまで話し合うとは思わなかった。ほとんどの人が泣いていた」(高3)。

 今回の研修は、教える側と教わる側の関係に劣らず、参加者同士の濃密な関係が重要な意味を持った。

 「在日として同じ境遇なのに、英語も韓国語もとてもうまい人がたくさんいて、自分が小さく見え多くの刺激を受けた」「同世代でないと分かち合えないことがある。周りの友人とは話し合えないような深い部分の、アイデンティティを共有できる喜びを感じた」(ともに高校生)。

 「この体験は一生もの。在日の友だちと一生つながっていきたい」と語る若者たちがまぶしい。

■□
お疲れさま みっちり学習
 これまでの「楽しい観光系研修」とは違い、韓国の過去と現在、北韓の実態と南北統一ビジョン、韓日関係と在日同胞の歴史などについて長時間に及ぶ講義があり、これに合わせて、戦争記念館や北韓の魚雷によって撃沈された天安艦、サムスン電子広報施設の見学があった。かなりタイトな学習日程の中で、唯一の息抜きは韓流スターとの交流会。ファンもそうでない人も、握手やサインをもらい、記念写真も撮って大いに盛り上がった。

 なお、参加者は20人前後で1班を構成した。高校生たちは各班に分かれて独自にテーマを決め、突っ込んだ討論を交わしている。

■□アンケート…研修に8割超が満足

 アンケート調査の設問は中・高・大(短大含む)の各部同一で、ここではその一部のみを検証対象にした。設問によって回答者数自体にばらつきがあり、一部には複数回答もあったが、便宜上、複数回答を含む回答総数を分母にした。数字はパーセンテージ。

□参加した主な理由
韓国人としてのルーツを確かめたい
中=25・9
高=35・4
大=40・6

韓国の発展ぶりを直接見たい
中=28・2
高=10・2
大=15・8

夏休みに格安韓国旅行ができる
中=29・9
高=43・6
大=40・6

韓流スターに会える
中=16
高=10・8
大=3

□最もよかったこと
韓国人としての自負心が持てた
中=12
高=20・2
大=13・9

北韓の実情が理解できた
中=40・2
高=38・9
大=47・3

多くの友だちができた
中=33
高=27・9
大=26・6

韓流スターに会えた
中=14・8
高=13
大=12・2

□韓国に対する認識が変わったか
肯定的になった
中=74
高=67・7
大=49・5

あまり変わらない
中=26
高=29・9
大=47・3

否定的になった
中=0
高=2・4
大=3・2

□満足度は?
とても満足
中=44・5
高=27・2
大=22・7

おおむね満足
中=47・6
高=44・9
大=59・6

あまり満足していない
中=6・7
高=19・7
大=14・1

まったく満足していない
中=1・2
高=8・2
大=3・6

□今回のような研修を毎年開くことに
賛成
中=68・8
高=64・6
大=67

どちらかと言えば賛成
中=26・1
高=23・2
大=26・6

どちらかと言えば反対
中=4・5
高=6・1
大=2・7

反対
中=0・6
高=6・1
大=3・7

(2011.9.7 民団新聞)

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