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<寄稿>孫雅由の作品と生き様 河正雄
光州市立美術館で開催中の孫雅由作品展
孫雅由の作品と生き様 河正雄光州市立美術館名誉館長
回顧・遺作展に寄せて


 在日韓国人2世画家・孫雅由(1949〜2002年)の作品展が来年1月末まで、光州市立美術館で開催中だ。「芸術とは何か」「人間とは何か」を問い続けた彼の作品と生き様について、河正雄・光州市立美術館名誉館長に寄稿してもらった。

在日の特性見つめ続け
グローバルな音の協奏 自らの位置・存在探求

来年1月末まで光州で開催

 第6回2006光州ビエンナーレを記念し韓国光州市立美術館主催「孫雅由−魂の響き」河正雄コレクション展(会期2007年1月31日迄)が開催されている。

 孫は1949年在日韓国人二世として大阪に生を受けた。1966年、高山登(1944年、「もの派」作家、在日二世)の「地下動物園」の制作を手伝い表現活動を試みた。反体制的な「自分たちの美術世界」を志したことで、その後の孫の作品は郭仁植、李禹煥、文承根と受け継がれた表現様式「もの派」の作家たちと、相互に影響を与えあったことを窺うことができる。

 1968年多摩美大に入学するも退学し、「自らの表現様式」を模索し有為転変の「絵画の表現」を試みた。1975年ドイツ留学を試みるが挫折。1976年から京都に居を構え「静かな絵画」に「自らを表現」する作品活動を本格的に始めた。1997年から2年間スコットランドに留学し、ルドルフ・シュタイナーの「人智学」を研究。団体やグループに所属せずに40余回もの個展を開いた。

 在日作家の限界を超える国際的な活動を展開するが、2001年大腸ガンの手術を受け翌年2月に早逝した。

閉ざされた心の解放へ

 「記憶の奥底に動めく痕跡。日々日常の出来事が漂泊してゆく。自己の身体を通した作家の痕跡が、日常のフィルターを通してゆっくりと、無意識の底に眠る。まだ見たこともない、聞いたこともない記憶が浮上してくる。1つ、2つ、3つと幼かった時の思い出、生まれて来る前の出来事……。この地球に私たちの住みつく以前の記憶も」という孫の文がある。

 在日韓国人でありながら、母国語を知らぬまま生きた慙愧(ざんき)の想い。「在日作家」としてのアイデンティティに悩まされた心の軌跡がその文にはよく表われている。

 「在日の作家は事物を客観的に見ることができる。自分を発見する適切な位置にある。芸術という仕事に携わって、常に韓民族の血を受けた自身を見つめさせられる」と孫は私に語ったことがある。

 孫にとっての創作活動とは在日韓国人としての自分の位置、自らの存在探求であり在日韓国人としての自立であったと言える。

 孫の作品からはグローバルな音楽が協奏している。クラシックの厳粛、ラテンやジャズの陽気な軽快感、シャンソンのポエム、哀惜のパンソリの音色が共鳴しあっている。伸びやかでリズミカルな線が自由を、豊潤な色彩がハーモニーとなって歌っている。生前音楽のセンスを感ずることがなかったと夫人は語ったが、孤独を、閉ざした心を解放させ、孫は「協奏曲」を作曲していたのかもしれない。

独自の「身体性」・「物質性」

 孫の作品のテーマは身体(Body)物質(Matter)宇宙(Cosmos)である。孫の独自の精神は「身体性」と「物質性」であることは「絵画に身体性を持たせている」という自らの命題によってよく表されている。

 本展示は1960年代から2001年までの80余点の主要作品を時期、主題、形式別に、そして数多くの資料をも展示、孫雅由を回顧する遺作展である。「芸術家とは事物の内的な響きを感知し、それを芸術作品の中に具現することが出来る特殊な能力を持った者」だという、カンディンスキーの言葉を借りるならば孫雅由は真の芸術家である。

(2006.11.29 民団新聞)
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