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「対立から共生に転換を」李明博大統領・光復節慶祝辞(要約)
66周年光復節式典会場で大極旗を振って万歳をする李明博大統領夫妻ら

対立から共生に転換を「先進化」へ進展着々…希望持って手を携えよう


 尊敬する国民の皆さん、独立有功者と内外貴賓の皆さん、愛する北の同胞と700万在外同胞の皆さん!


 66周年光復節を皆さんとともに慶祝します。光復があったからこそ今日、私たちは自由の空気を満喫できます。光復があってこそ、民族の運命を私たちの手で開拓することができたのです。


 光復から60年余り、大韓民国は天地開闢と同じ変化を遂げました。私たちは世界の同情と憐憫の対象から、すべての国が友人になりたがる、注目される国になりました。世界に依存する国家が世界の責任国家に変貌しました。我が政府がスタートから掲げてきた成熟した世界国家、先進一流国家というビジョンは徐々に現実になっています。


 人々はそれを奇跡だと言いますが、私たちには汗と涙で成し遂げた歴史でした。この10年余りだけ見ても、苛酷だった1997年の外国為替危機を国民は途方もない犠牲を払い、団結力で克服しました。2008年、何の過ちもない私たちに押し寄せた世界金融危機も、国民皆が固く団結し、世界で最も成功裏に克服したとの評価を受けています。主要国の財政危機から始まった今回の危機にも、私たちは堂々と対抗するでしょう。


資本の「自由」を「責任」へ


 しかし、不確実性がいつよりも高まりました。普通ではない危機の症候群が広がっています。経済状況は一寸先を見通すのも大変です。グローバル財政危機で世界が揺れ、食糧危機とエネルギー危機の陰も深くなっています。多くの国が高い物価に苦しみ、貧富の格差と高い失業率に悩んでいます。地球の運命に関わる気候変化への対応はまだ緒についたばかりです。


 私たちを困惑させるのは、過去に私たちが学び、追いつこうとした国々が今は同じ困難に陥っているという事実です。私たちだけでなく全人類を不安にさせています。特に、未来を担う若い世代が未来に対する確信を持てずにいます。


 今日、地球村の問題を解決し、平和と繁栄の世界を開くには新しい発想と思考が要求されます。私はG7体制からG20体制に転換したことが非常に大きい歴史的意味を持っていると考えます。G7は富める国々だけの会議でした。「強者の論理が支配する世界」を代弁した体制でした。G20は先進国と新興国、低発展国、そして5大陸がすべて集まり、「ともに問題を解決する世界」を象徴したのです。


 G20は、今日の世界が直面した危機を既存の方式では解決しにくいという切迫した認識の産物です。世界的水準での調整と合意と実行、いわゆるグローバルガバナンスの重要性をそれ自体が雄弁に語っています。


 今日、明確に私たちが認識すべきは、既存の市場経済が新しい段階に進化しなければならないということです。「貪欲経営」から「倫理経営」に、「資本の自由」から「資本の責任」に、「富益富、貧益貧」から「共生繁栄」に進化する市場経済のモデルが必要です。


 これに伴い、政治も進化せねばなりません。「一国中心の政治」から「グローバル民主主義」に、「理念の政治」から「生活の政治」に変わるべきだとの共感が広がっています。破滅的危機を避けることができる「持続的成長」と格差を減らす「包容的成長」が世界の進むべき道です。


格差拡大の悪循環断つ


 わが政府もこのような時代的要求に応じようと努力してきました。私は私たちが考える方式、私たちが行動する方式を新しく確立することを強調しました。「緑色成長」、「親庶民・中道実用」、「公正社会」を掲げた理由もここにあります。「緑色成長」は世界の問題を私たちの問題としてとらえた我が歴史上初のビジョンです。「より大きい大韓民国」の中心ビジョンです。


 2008年、前代未聞のグローバル金融危機に際して私たちは、1997年IMF外国為替危機の時とは全く違う対応をしました。IMF危機の時は、強力な構造調整で2万社余りの企業が消え、200万人が職を失いました。08年グローバル金融危機の時、私たちは十匙一飯の精神で苦痛を分かち合いました。世界でも類例のない「仕事場の分け合い」と中小企業に対する集中支援を通じ、大量失業と企業の連鎖倒産なしに危機を乗り越えました。


 この過程で私たちは、危機の時、最も速く困難を経験する庶民に政策の中心を置くべきことを切実に悟りました。「庶民を温かく、中産層を厚く」を政策基調としたのもそのためです。昨年には、不正と特権を制御して、熱心に生きる人々に希望をあたえる「公正社会」を国政指標で提示しました。経済格差が社会格差を生み、機会の格差にまでつながる悪循環を断とうというものでした。


 このようなビジョンはまだ、確かな根を下ろしていません。しかし、私たちが世界史の変化を洞察し、大韓民国が先進一流国家を目標にするならば「緑色成長」、「親庶民・中道実用」、「公正社会」は、今後も一貫して推進されなければなりません。世界が求める解決法を私たちが先に探し出さねばなりません。政府はこのための転換の契機を用意し、その基礎を必ず整えます。


 尊敬する国民の皆さん!


 私たちが進むべき道は明らかです。地球の環境保全と経済繁栄、成長と生活の質向上、経済発展と社会統合、国家の発展と個人の発展が相伴う新しい発展体制をつくるのです。長くなった生涯を通して、自身の幸福を自由に追求できる社会にならなければなりません。これがまさに「共生発展」です。


 私たちには希望があります。今年上半期に、正規職の働き口が60万口増えました。私たちの失業率はOECDの最低水準であり、青年失業率は他の先進国よりはるかに低いのです。1人起業、ベンチャー起業、社会的起業を含み創業が歴代最高値を記録しました。8年ぶりに所得の両極化傾向が緩和され、中産層の比率も少しずつ増えています。


 政府もできることをすべてします。今年の福祉予算は全体の約30%、86兆ウォンで、歴代で最も大きい金額です。超高齢化社会を目前にした今、必要な人に必要な福祉を提供するためにも福祉予算は継続して増やすしかありません。


財政危機を他山の石に


 しかし、政界の競争的な福祉ポピュリズムによって、財政破綻事態を生んだ国家の前轍を踏んではなりません。国家財政が枯渇すれば福祉もありません。良い暮らしをする人々にまで福祉を提供し、困難な方たちに十分な手当てが行き届かなくなる愚を冒してもなりません。現在を楽にしようとする政策が将来、若者たちに耐えられない荷物を背負わせることを警戒すべきです。


 私たちは、グローバル財政危機を他山の石とすべきです。財政危機は他の危機とは違い、解決する的確な手段がないため最も危険な危機です。財政の健全性を維持してこそ、いかなる危機にも対応することができます。


 08年金融危機も私たちの財政が健全だったために他国より早く対応できました。私は任期が終わる2013年までに、可能ならば均衡財政を達成するよう最善を尽くします。均衡財政を推進する中でも適切な福祉と生活の質に関連した予算だけは増やしていきます。


 こういう観点から、企業が高校卒業生に就職の門戸を開いた最近の動きは非常に望ましいことです。これが公企業、金融機関、民間企業に広がるように努力します。マイスター高、特性化高校に対する全額学費支援と産学連携を土台に「先就業、後進学」の機会をより一層広めていきます。


 非正規職差別問題の合理的解消も政府が関心を傾ける重要な分野です。政府はまもなく総合的な非正規職改善対策をつくります。同じ労働をする非正規職が差別を受けることを最大限減らすのに焦点を置きます。


 政府はこの間、クレジットカードの手数料を下げる政策をはじめ、親庶民金融と伝統市場の商品圏拡大など、自営業の助けとなる事業に努力してきました。今後も内需活性化政策を通じて、自営業に恩恵がさらにもたらされるようにし、零細商圏を保護する対策をより一層強化します。


 物価を安定させることが今は大変重要な課題です。これは我が国の力だけで解決できる問題ではなく、私も苦心に苦心を重ねています。政府が持てるすべての政策手段を動員して物価安定に注力します。特に賃貸住居市場の安定と庶民の住居費軽減のために、小規模賃貸住宅の供給を長期的に増やすようにします。


 100年に一度起きる気象異変が今は日常になっています。国民が安心して暮らせるよう、災害対応基準を大幅に強化します。これを来年予算から積極的に反映します。


 国民の皆さん!


 「共生発展」のため重要な戦略が「同伴成長」です。「同伴成長」は究極的に、大企業と中小企業すべての生存基盤と競争力を強化する道です。大企業が韓国経済の発展に寄与した多大な功労を国民はみなよく知っています。


 今や、大企業に要求される役割も変わり、社会的責任もはるかに重くなりました。企業の生態系を健全化する責任、働き口をさらにつくる責任、生活の質を高めるための責任を積極的に遂行し、企業が国民から愛され、尊敬される環境をつくらねばなりません。


 世界が危機を迎えていても、私たちは自信を持ちましょう。「共生発展」のために、政府と市場、政界と市民社会、企業と勤労者が力を合わせ、ともに取り組まねばなりません。希望を持って手を携えましょう。世界が進まなければならない道を私たちが先にかき分けて行きましょう。


生きる道はFTA対米批准は急務


 私たちが生きる道は、世界への道です。その核心戦略がFTA(自由貿易協定)です。すでに私たちは、FTAを最も多く締結することで、世界で経済領土が最も広い国になりました。


 FTAの成果は私たちの予想以上です。7年前のFTAで対チリ交易量は3倍に増えました。4年前のASEAN(東南アジア諸国連合)とのFTAでも交易量は60%増えました。インドとのFTAでも1年で交易量が40%増加しました。


 7月1日から韓・EU(欧州連合)FTAが発効しており、米国とのFTAが批准されれば大韓民国は名実共にFTAのハブ国家になるでしょう。


 韓・米FTAがGDPの5・7%成長と35万の働き口をつくり出すとの分析も出ています。韓・米FTAは安保次元でも同盟を大幅に強化するでしょう。


 時間をのがしてはいけません。競争国に道を譲り渡すことになります。政府は補完対策も用意しました。大韓民国の未来のために韓・米FTAは早く批准されなければなりません。


平和確保と歴史認識


 愛する7000万同胞の皆さん!


 私たちはまだ、民族史の最も大きい課題を成し遂げていません。統一は民族の願いであり、光復の完成です。南北は対決の時代を乗り越え、「平和と協力の時代」を開かなければなりません。このためには責任ある行動と真正な姿勢で相互信頼を構築することが最も重要です。


 挑発によっては何も生まれません。南と北が信頼を土台に平和を導き、互いに協力して繁栄の道を歩まねばなりません。子どもたちに対する人道的支援と自然災害に対する人道的支援は引き続き行っていくでしょう。


 わが政府はこの間、成熟した韓日関係のために努力してきました。私たちは未来に向け、不幸だった過去にとらわれないでしょう。ですが、我が国民は歴史を決して忘れるのではありません。


 日本は未来世代に正しい歴史を教える責任があります。そうすることによって両国の若い世代は、明るい未来に向かってともに進むことができるでしょう。これを通じた韓日両国の協力は、東北アジアだけでなく世界の平和と繁栄にも大きく寄与できるでしょう。


 尊敬する国民の皆さん!


 大韓民国の国民は危機には非常に強いのです。危機がくるたびに私たちは、一つになって克服してきました。大韓民国で生まれたのが誇らしく、大韓民国で生きることが楽しく、大韓民国で子どもを育てることに生き甲斐を感じる、そのような国をつくらなければなりません。


 不屈の挑戦が今日の大韓民国を創造したように、「共生発展」に向かう私たちの努力は幸せな大韓民国を必ず創造するでしょう。私たち国民の幸福時代を開き、世界の中の「より大きい大韓民国」をつくりましょう。


■□ <解説>「生活の質」向上へ苦吟


 歴代韓国大統領の光復節慶祝辞は原則的に、韓国が抱える内外の課題を確認し、それに対する政策と決意を明らかにするものだ。それだけに、来年4月の国会議員選挙、12月の大統領選挙から在外国民投票権を行使する在日同胞は、今日の韓国が抱える諸問題を集約した慶祝辞をこれまで以上に吟味しておく必要がある。


 李明博大統領は66周年光復節の慶祝辞で、日本に対して独島領有権と歪曲歴史教科書の問題が再燃していることを背景に、韓日が明るい未来にともに向かい、東北アジアだけでなく世界の平和と繁栄に寄与するために、未来世代に正しい歴史を教える責務があることを強調した。


 北韓に対しては祖国統一が「はらからの願い」であり、「光復の完成」であるとして、信頼関係を築くための責任ある行動を求める程度にとどめた。北韓に対する言及は過去3回の慶祝辞とは違い、異例とも言えるほどの少なさだ。天安艦撃沈、延坪島砲撃事件についてさえ誠意ある態度を一貫して回避する北韓に対し、核兵器開発と軍事挑発の放棄があってこそ、包括的な交流・協力を通じて画期的な北韓支援を行える、との基本的な立場を言外に再確認したと言えよう。


 今回、李大統領が最も強調したのは、貿易依存度が極めて高い韓国にとって深刻な、国際社会の混迷だ。世界がグローバル財政危機によって揺れ、食糧危機とエネルギー危機、貧富の格差と高い失業率に悩み、100年に一度の気象異変が日常化しているにもかかわらず、国際社会にはいまだ明確な対処指針がなく、不確実性がいつになく高まっていると指摘した。


 こうした国際社会に臨んで李大統領は、韓国が世界に先駆けて提唱した緑色成長路線の実行と、議長国として昨年のソウル首脳会議を成功させたG20(主要20カ国・地域)の枠組み定着化を柱にする姿勢を明確にした。


 緑色成長とは、地球環境を保全しつつ経済成長を図ることであり、環境保全そのものをビジネス化することだ。G20とは富める国家だけのG7とは違い、世界的規模での調整と合意と実行を可能にするグローバルガバナンスの推進体である。


 一方で李大統領は、非正規職差別の解消、クレジットカード手数料の引き下げ、自営業保護、物価安定、庶民賃貸住宅の供給など、親庶民政策について多くを語った。


 保守と進歩の対立、頻繁な不正集会やデモ、ネットに溢れる悪質な書き込み、OECD(経済協力開発機構)で最高水準の自殺率と高齢者の貧困率、膨らむ一方の家計負債などが象徴するように、韓国はこの20年で所得を急増させながらも、理念・年代・所得階層間の対立をむしろ激化させ、生活の質に対する満足度が停滞する現実を踏まえたものだ。


 しかし、李大統領は「必要な人に必要な福祉を提供する」ための福祉予算は継続して増やすとしながらも、給食・保育・医療の無料化と大学授業料半額化など、無償福祉を求める「政界の競争的福祉ポピュリズム」に対しては厳しい警告を発した。


 「財政危機は他の危機とは違い、解決する的確な手段がなく最も危険」であり、「国家財政が破綻すれば福祉もない」とし、「財政破綻事態を招いた国家の前轍を踏んではならない」と訴え、自身の任期終了までに均衡財政を達成する意欲を強く示した。


 李大統領は、韓国が世界に依存しなければ生きられない同情と憐憫の対象から、世界に責任を負う国家に変貌したと語ったうえで、危機をチャンスに換えてきた国民の歴史を想起させ、政府と市場、政界と市民社会、企業と勤労者が力を合わせ、国民的な団結によって世界が進むべき道を韓国自らが開拓しようと呼びかけた。


 モデルなき時代の韓国の針路が「地球の環境保全と経済繁栄、成長と生活の質向上、経済発展と社会統合、国家の発展と個人の発展が相伴う新しい発展体制の構築」にこそあると強調し、そのための内外政策のキーワードとして「共生発展」を新たに掲げている。


(2011.8.31 民団新聞)  

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