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<社説>全国民団に新事業挑戦の息吹き
啓発し合って相乗効果

 永住外国人への地方参政権付与を求め続けて15年余になる民団は、日一日と近づく総選挙に照準を合わせ、婦人会や青年会など傘下団体とともに、各種研修会や集会を通じて「必ず獲得する」との意欲を高めるだけでなく、付与推進派議員が一人でも多く国会に進出するよう、支援運動の具体策を煮詰めてきた。

身近な要求吸収

 民団は近く、この運動に総力を注ぐことになる。そのような緊迫した状況のなかでも、同胞と地域住民に密着した生活者団体として、そのアイデンティティをより確かなものにする日常活動を忘れていない。これこそが組織力量を強化し、高度で困難な課題の追求を担保するからだ。

 団員の組織離れが言われ、財政と活動家の不足が嘆かれて久しい。そうしたなかでも弱気に流れず、むしろ負の条件をバネにして、新たな試みや事業の拡大に取り組む地方本部・支部の存在は私たちを勇気づける。いずれも、身近な関心や要求に応えることで、民団を同胞と地域に親しみやすい存在にし、人が集まりやすい組織にしようとする意欲がにじむ。

 民団岡山本部と同会館内にあるアジア国際センターが協同で設けた「多文化総合講座」は、韓国語をはじめ英語・中国語・華道・ピアノの5教科を週1回提供する異例の企画といっていい。同胞と地域住民がともに学ぶ場として、充実したスタートを切った。

 長野本部とNPO法人民団長野国際センターの共催による「ハンサモ民族大学」のハンサモとは、〈韓国を愛する集い〉の略称だ。大学教授や民団幹部、市民団体役員などを講師に、「もっと知りたい韓国」「韓流と韓国の人物史」「中高年のスポーツ医学‐体を鍛えて韓国へ行こう」など年内7講座を予定する。

 宮城本部の「オリニ文化スクール」は、子どもの目線で楽しく民族文化を学ぶ場として、昨年に続いての実施である。だが、子どもたちの意欲を途切れさせず、講座通いを生活化させるため、負担増を覚悟で昨年の月1回から月2回に拡充し、1回当たりの参加者数を大幅に増やしたことが嬉しい。

新規定住者策も

 変わったところでは、川崎支部(神奈川)の「民謡教室」を挙げていいだろう。花見などで多くの同胞が集まっても、韓国民謡をまともに歌える同胞が少なく、このままでは文化継承どころか民族的な素地までが消えかねないとの危機意識が火をつけた。最低でも10曲をマスターするのが当面の目標だ。

 茨城本部の「オリニ土曜学校」、山梨本部の「ポジャギ教室」、西東京本部の「テコンドー教室」なども地域初の取り組みとして意義深い。民団主導による福島・滋賀の青年会本部の再建、婦人会による若いオモニを対象とした料理教室の充実などもそうだ。鼓舞的な兆しは広がっている。また、民団がこれまで手をつけかねていた分野に進出する動きも見逃せない。

 いわゆる新規定住者は、大都市部に限らずいくつかの地方で独自のコミュニティーをつくってきた。この新規定住者の社会でも2世世代が増えており、かつての2世が経験したと同様に、アイデンティティの形成を含む教育問題が深刻化している。こうした状況に民団が積極的にコミットし、2世の民族教育に既存の施設とノウハウを提供するなど、新規定住者の関心を引きつけることで、疎遠になりがちだった新・旧定住者の融合を進めようとする試みが一部地域で具体化し始めた。

地力の強さ映す

 新規事業に挑む本部・支部は必ずしも、力があるとかまとまりがよいところだけではない。同胞数の少なさへの悩み、組織運営をめぐっての紛糾、活動の長期停滞など、さまざまな事情を抱えてきたところも散見される。企画段階においても、組織内部でじっくりと合意を積み上げるだけでなく、強い意欲をもった個人が周囲を引っ張ったケースもある。

 全国各地の民団で共通するのは、次世代育成と組織基盤の開拓を見据え、新たなコミュニケーションのチャンネルをつくり、同胞を核とする共生のフレームを確かなものにしようとする姿勢だ。地域単位の個々の活動ではあっても、各主体が相互に啓発し合うことで、全国的には有機的な関連をもって相乗効果を生み出している。

 各地域と主体それぞれの内的なジレンマの止揚が、活性化に向かわせているといって過言ではない。危機意識をもつ現場から湧き上がる地力の強さと言えるだろう。

(2009.6.17 民団新聞)
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