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金九義士愛の物語 来年に向け映画化決定
祖国解放後、1948年ごろの金九義士
実話を素材にした原作の夏輦生著「船月」韓国版
独立運動支えた恋 日帝の追跡かわした日々

 大韓独立の魂、白凡・金九義士と中国人女性との愛の物語が映画化される。中国の女性作家・夏輦生さんと韓国の映画制作者・徐世元さんが上海でこのほど映画制作の契約を交わした。金九義士の生誕130周年となる来年には制作が始まる。(金裕哲記者)

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 夏輦生さんが5年前、韓国で「金九先生の嘉興避乱記」のサブタイトルをつけて出版した小説『船月』(凡友社刊)は、『白凡逸志』に記された実話をもとにしたもの。

 大韓民国臨時政府の国務領などを歴任した金九義士は、李奉昌義挙(1932年1月東京、天皇爆殺未遂事件)、尹奉吉義挙(同年4月上海、日本軍司令官・白川義則ほか10余人を殺傷)を指揮したとして、日帝に懸賞金60万円をかけられ、執拗な追跡を受けた。この年から中日戦争が勃発した1937年までの金九義士が、歴史的背景とともに描かれている。中国の嘉興日報で文芸編集者として活躍した夏さんだけに、ルポを思わせるほど現場描写が生々しい。

 日帝に追われていた金九は、広東出身の商人・張震球という偽名を名乗り、32年4月29日、中国上海法学大学総長・秋風清の助けで、秋総長の故郷・浙江省嘉興に隠棲する。そこで57歳の独立運動家と20歳の船頭娘・周愛寶との運命的な出会いがあった。

 その8年前に上海で妻を亡くした金九は、秋総長に「安全な活動のためには家庭という隠蔽装置が必要だ」と勧められ、周愛寶と船上生活を始める。

 金九は熱病にかかって死境を行き来しながらも、李東鈴などの同志と臨時政府の仕事に取り組んだ。彼女は日帝の捜索の目をかわし、時に昏睡状態に陥る金九を看護し続けた。二人の間には本当の夫婦のような愛が芽生える。

 メロドラマの要素がたっぷりのこの作品からは、緊迫した日々のなかで咲いた恋と温かい人間愛が、大運河に浮かぶ「月と船」のように美しく立ち現れる。

 金九と周愛寶は南京にたどり着くが、1937年、日本軍の攻撃激化で別れることになる。それまで彼女は金九が大韓民国臨時政府の要人であることを知らなかった。張震球を忘れられない周愛寶は1949年暮れ、臨時政府の門衛をしていた中国人の老人と偶然会い、「金九暗殺」の事実を知る。

 夢にも会いたかった恋人の死を信じ切れない周愛寶は、吹雪のなかをさまよう。周愛寶は小さな舟を河に出す。「あなたが来ることを私はすでに知っていました」と言いながら、その舟の上で再び『男』と出会う−−。

 独立運動家や革命家の愛の物語は多い。愛というものが独立運動家を避けて通るわけではない。人を愛せない者が民族を、人類を愛せるはずもない。金九は『白凡逸誌』で、「夫婦と似たような関係だったので、実に私に対する功労は少なくない…。私が南京を離れる時に、世話になった周愛寶を故郷の嘉興に帰らせたが、その後に後悔したのは、その時に旅費として100円しか与えられなかったことだ」と回顧している。

 金九の歴史的な存在感がゆえに、忘れ去るところだった愛の物語を作家は、『周愛寶の水の上で書いた日記』という虚構の装置を通じて生き返らせた。夏さんは「この作品を映画化するのは、文化交流にととどまらず、世界平和と歴史的正義を叫ぶことになる」と強調した。

 夏さんは『船月』以外にも、金九義士の中国内での独立運動を描いた『虎歩流亡』や尹奉吉義士の義挙を描写した『回歸天堂』を著述するなど、中国での韓国独立運動をシリーズで小説化してきた。夏さんは「白凡の警護員をしたある方の息子が私の義兄」と述べ、「強い因縁がこの小説を書かせた」と語っている。

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解放後、志半ばで暗殺

 金九(キム・グ=1876〜1949) 独立運動家、政治家。号は白凡。黄海道海州出身。17歳で東学農民革命に参加。1895年、閔妃暗殺の仇を討つべく日本軍中尉・土田譲亮を刺殺、死刑宣告を受けたが減刑され、98年に脱獄。その後も投獄・出獄を繰り返し、1919年3・1独立運動後、中国に亡命。大韓民国臨時政府の要職を務め、28年、韓国独立党を組織、党首に。

 また、韓人愛国党を結成して李奉昌・尹奉吉らの抗日テロを指揮。40年に臨時政府が重慶に移ると韓国光復軍を組織、44年、臨時政府主席。45年、特殊部隊を訓練し本土作戦を準備中に日本の敗戦により韓半島解放。

 帰国後、韓国独立党を率いて統一自主独立を掲げ、李承晩の単独政府樹立路線と対立。南だけの単独総選挙に反対し、南北協商を進めたが頓挫。49年6月、自宅で陸軍歩兵少尉・安斗煕によって暗殺される。国民葬が営まれ、ソウルの孝昌公園に李奉昌、尹奉吉とともに埋葬されている。著書に『白凡逸誌』がある。

(2005.12.21 民団新聞)
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