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<第61回定期中央委採択>06年度の活動総括
「財政自立化元年」を打ち出した第61回中央委員会
5・17事態を克服 民団の健全性示す

【はじめに】
組織存亡の危機招き 活動空白の後遺症も


 創団60周年の節目であった2006年度は、本来であれば60年間の同胞の苦難の歴史に思いを馳せ、本団が推進してきたこの間の各種活動を総括し、21世紀の時代の大きな変化に対応すべく、新たな次元での同胞社会と組織作りに向け飛躍を期すべき重要な年でありました。

 新たな時代にふさわしい確固とした組織基盤を構築するため、昨年の中央委員会においてわれわれは「新たな飛躍を期する120日間運動」を方針として打ち出し、ほかにも60周年を記念して全同胞がともに参画できる様々な事業、祝祭の実施も準備しました。

60周年事業 地方は開催

 しかし、5月17日に行われた「民団・総連共同声明」発表以降の組織的混乱によって、一部事業を除きほとんどの事業推進が困難な状況に陥りました。5・17事態により本団は貴重な人力や財力を消耗させ、在日同胞の指導団体としての権威や共生基盤を固めるべき日本社会との信頼関係を著しく損ね、組織存亡の危機に追いやられたのです。幸いにも全国から湧き上がった挙団的な声と行動によって前団長の辞任、臨時中央大会の開催という形で危機的状況は回避されました。

 そのような困難な状況の中にありながらも、創団60周年の記念事業として実施した「オリニソウルジャンボリー」は、地方本部や関係者の努力と各界の支援によって大成功を収めました。地方本部、傘下団体においては創団60周年事業をはじめ独自の活動を着実に進めてきたことも言い添えねばなりません。

 鄭進新体制の出帆によって組織再生へ乗り出そうという矢先、在外国民補助金(以下、補助金という)の使用指針の改善に取り組まねばならなくなりました。03年度から05年度分の補助金の監査結果報告によって、中央本部は思いがけず厳格な指摘と会計処理についての是正要求を受けたのです。

 1977年以来、30年間にわたって支給されてきた民団に対する補助金が、民団組織の強化と同胞社会の発展に大きく寄与してきたことに異議を挟む者はいません。その点、われわれはこの間の政府の民団に対する配慮に改めて感謝の念を表します。

補助金使用 改善を推進

 われわれは今後、反省すべきことは反省し、改善すべき部分は改善するという姿勢で臨まなければなりません。現執行部は監査結果報告に示された指摘を深刻に受け止め、今後、会計処理の透明性をより高めるとともに、財政の自立度を高めるために真摯に取り組んでいきます。このことは既に政府に提出した文書で約束している事項であります。

 ただ、その後に追加通報のあった「管轄公館の直接配定」指針については、実施時期を含めその再検討を政府に要請しているところであります。たとえ一部であっても中央本部を通さず公館から地方本部への直接配定が実施されると、組織活動の全国的な統一性に支障をきたし、ひいては本来、組織の強化に資すべき補助金が意に反して組織の弱体化を招く恐れがあるためです。そしてなによりも、新執行部の改善努力の結果をまず見守ってほしいとの要望を上げております。

 就任早々、補助金に対する監査結果への対応に追われながらも、対内外の信頼回復を付託された鄭進新執行部は体制整備を急ぎました。

 新執行部の発足1カ月後には、政府に対し補助金問題に関する本団の今後の基本姿勢を示す一方、5・17事態については全国地方団長・傘下団体長会議を開き見解統一を示して組織的なけじめをつけました。

 この4カ月の間に、関係者の信頼を完全に失っていた脱北者支援事業を元の軌道に乗せたのをはじめ、特別委員会はすべての委員会が2回の会議を開催して同胞社会の将来について議論を開始しました。

 議決機関は研修を含めて規約委員会を2回開き、本格的な論議に入りました。監察委員会は補助金問題に対する監査を進めるなど、三機関がそれぞれの立場で一致協力して与えられた任務を着実に進めてきました。

 2006年度は前執行部が残した5・17事態の事後処理と補助金の監査結果への対応に力量を割かれたものの、本団に対する信頼回復に最大限の努力を傾けると同時に、2007年度に展開すべき事業に向けた新たな準備を始めた1年でもありました。


■□
「5・17事態」 民団の自主性を放棄

 北の核実験実施が取りざたされる中、地方本部への事前連絡はもちろん、わずか2日前に行われた中央執行委員会での議論もなく、5・17共同声明の発表は突如として行われました。新聞、テレビがトップニュースとして報道したように、組織内外に大きな衝撃を与えました。

 中央本部のごく一部の幹部の手で進められた朝鮮総連との共同声明によって、その内容に対する反発はもとより、報道機関その他に対する対応が後手に回り、組織的に大混乱を招いてしまいました。

 共同声明に対しては、その発表に至る過程でいくつかの重大な問題点が指摘されました。ひとつは、在日社会や特に朝鮮総連を取り巻く情勢をあまりにも考慮しないで安易に対処をしたことです。ふたつには、脱北者に対する支援事業を留保するなど、民団の自主性を放棄してしまったことです。さらに、日本人との共生基盤を大きく損傷させたこととあわせて、組織運営の上で本団のよき伝統である規約遵守の精神から大きく外れてしまったことも見逃せません。

 特に指摘しなければならないのは、本団が敵性団体と規定し、除名処分した人物が実質的な最高責任者となっている韓統連への対処についてです。敵性団体の規定解除など、なんらの組織決定も経ずに公然と共同行動を起こそうとした行為は、組織決定の手続きと規約に明白に反するものであります。

 幸いにも、全国の幹部らによって展開された民団を救おうとの自発的な運動により、組織的な危機は正常化ヘ転換させました。5・17事態に対して取られた地方幹部らの行動は、本団の底流に脈々と流れている良識を示したものといって良いでしょう。

 5・17事態に対する組織的な収拾は、9月21日に行われた第50回臨時大会における新三機関役員の選出と、10月30日の全国地方団長及び中央傘下団体長会議で示された統一見解によって一応の決着を見ました。しかし今なお、日本社会における対外的な信頼回復が十分にできているとは言い難いのが実情であり、今後更なる努力が必要です。

 昨年の第50回臨時中央大会での決議によって設置された「4・24及び5・17事態調査委員会」により、共同声明発表に至る経緯については調査が行われました。今後2度とこのような混乱事態を引き起こさないためにも、中央委員をはじめ全国の組織幹部が今回の事態を冷静に総括し、今後、研修会などを通じ確固とした姿勢を確立していく必要があります。

■□
北韓のミサイル発射・核実験と在日同胞社会
平和の脅威 黙過せず


 本団が5・17事態による組織混乱の最中、北韓は国際社会の反対を無視し、7月のミサイル発射実験に続き10月には核実験を強行しました。これによって東北アジアのみならず、世界的に緊張が一気に高まりました。

 本団は前執行部が引き起こした5・17事態の組織混乱の中にあっても、北韓のミサイル連射を深刻に受け止め、5・17共同声明の白紙撤回を発表しました。

 核実験強行の際には、北韓に対する国連での制裁決議が行われたのにあわせ、朝鮮総連に対し核開発を阻止するため共に立ち上がることを提議しました。

 北韓の核開発は、7000万全民族の生存に関わる重大事であり、同時に、多数の被爆同胞を持つ在日同胞の立場からも到底受け入れることが出来ないことを、われわれは繰り返し表明してきました。

 朝鮮総連との交流について、ミサイル連射と核実験の強行に対する本団の姿勢を明確に示すため、状況の変化があるまで中央本部次元では当分間冷却期間を置くこととし、地方本部では新規の交流計画を自粛することを決めました。今後、組織の内外に本団の姿勢を周知させていくことが重要であります。

 昨年11月には民主平和統一諮問会議の日本地域協議会の主催で、愛知県本部会館において「平和統一フォーラム」を開催しました。

 北韓の核実験が南北関係の今後に及ぼす影響と韓半島の平和と安全について真摯な討論を行いました。

■□
地方参政権獲得運動 絶好の機会生かせず

 運動開始から13年目を迎えた昨年、地方参政権運動にとってわれわれに有利な条件となる画期的な動きがありました。

 2005年に法制定された韓国での永住外国人に対する地方選挙権が、昨年5月に行われた統一地方選挙において初めて実施されたのです。

 アジアでは初の快挙であり、外国人の人権に配慮した画期的な決断として、本団はこの法案を成立、実施させた韓国国会と政府に対し深甚なる敬意を表するものであります。

 地方参政権付与に反対する日本の一部のあいだで、理由のひとつに挙げていたのがまさしく「相互主義」でした。韓国が日本に先駆けて永住外国人に選挙権を付与したことで、反対理由の大きな柱の一つは完全にその根拠を失ったのです。

 韓国では昨年5月に行われた地方選挙で永住外国人の選挙権が行使されました。本団としてはこれを追い風として日本世論に訴える絶好の機会でした。残念ながら、5・17事態への対応に追われ、有利な条件を生かすことができなかったことが悔やまれてなりません。

 地方本部では昨年も継続して地道な努力を続けました。全国的に運動が小康状態の中にありながらも、石川県本部が全自治体での決議を取り、100%の採択となったのをはじめ、この1年間、地方本部が行ってきた地道な活動に敬意を表する次第です。また、地方自治体の統合による影響とはいえ、採択率は自治体の過半数を超え51・27%になったことを併せて報告いたします。

【最後に】
一致団結で危機打開を


 2006年度は本団の歴史上、かつて経験したことがないほど危機的な状況を呈した1年でした。

 5・17事態による組織混乱は、本団組織の行く末を憂い、同胞社会を真に愛する大多数の幹部と同胞らの熱誠的な行動によって、幸いにも危機を脱することが出来ました。

 在外国民補助金に対する政府監査によってもたらされている困難に対しても、全組織が一致して対応すれば必ずや道は開かれるでしょう。

 韓国がIMF事態を見事に克服し、それを機にIT大国になったように、本団は今年経験した危機を組織再生への大きな契機にしていくことを誓い総括報告とします。

(2007.2.28 民団新聞)
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