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在日2世の実体験を舞台化…「キダリダ」6月に再々演
「次世代に語りつぐ物語にしたい」と話す八鍬さん
「自分の体験とリンクする部分があるなら」と語る白国さん
 在日韓国人2世の俳優、白国秀樹さん(45)の実体験を主軸にした舞台「キダリダ」が6月、東京と大阪で上演される。TEAM O.H.S&wonder×works企画製作公演。2005年に初演、11年の再演から八鍬健之介さん(37、作・演出)が参加した。今回の再々演では、現代を加えた「次世代へ紡ぐ物語」として戯曲を改訂した。大阪の下町を舞台に、幼馴染みの男性3人の姿を通して、家族とは何か、人間愛とは何かという普遍的なテーマを問いかける。

「苦しむ人の支えに」

 本番に向けて舞台稽古は追い込みに入った。白国さんは皆の兄貴的存在として、ぐいぐい引っ張っている。

 白国さんは大阪・西成区出身。在日がほとんどの約20世帯の長屋で暮らした。ある日、入国管理局の車が数台やってきた後、親友の家族ら3世帯がいなくなった。小学生だった白国さんは後々、それが強制送還だったことを知る。

 白国さんは4歳の時、育ての親に預けられた。小学校5年の頃、家族と自身の姓が違っている表札を見た在日、日本人混合の7人から激しいいじめを受ける。それでも「一人ずつ呼んで喧嘩になったこともある。ここでやらなかったら僕は終わっちゃうと感じた」

 当時、育ての母親が白国さんを抱きしめて言った。「負けたらあかん」。それは「自分が置かれている状況に負けたらあかん」という意味だった。自身の出自を隠したり、卑屈になることはなかった。白国さんは今も母親に感謝している。

 「キダリダ」は白国さんの原案・企画を舞台化したもの。タイトルには強制送還された友だちを待つ、差別がなくなるのを待つ、自分が強くなるのを待つという、いろいろな待つが含まれる。

 19歳で芝居を始め、「キダリダ」の着想を得たのは21歳だった。差別はこれからもなくならないという思いといじめなどによって自殺する報道を頻繁に目にするようになったからだ。

 「自分の体験とどこかでリンクする部分があるなら伝えたい」。さまざまな理由からいじめや差別を受けて、うつ病を発症したり体調不良になる人は後を絶たない。「この作品を観たことによって、あの人の実体験の方がきついよなと思ったら少し、頑張れるんじゃないかな」

 白国さんは、昨年4月に設立した精神障害者の就労支援事業所の取締役でもある。表現活動では話すことが苦手、恐いという人たちの心を解きほぐすための取り組みを担っている。開所から5人の就職が決まった。「困っている人たちがいるなら何か協力したいし、せっかく芝居をやっているので力になれればと思った」。公演には事業所に通う約30人を招待する。

 「キダリダ」は、再演までは過去の出来事だけで見せていた。八鍬さんは次世代に語り継ぐ物語にしたいと今回、現代を追加した。八鍬さん自身、幼い頃から引きずってきたものがある。

 北海道出身。3歳の頃、保育園を卒園したアイヌの3兄姉が遊びに来た。八鍬さんが外に出て行こうとした時、大人から「あの子たちは違うから」と引き留められた。何も分からない八鍬さんは「違うんだとすっと心に入った」という。中学生になってもアイヌの生徒を見る周囲の目は変わらない。

 「本人たちはそれを跳ね返そうとぐれるけど、やっぱり強かった」。どう見ても彼らの方が格好いいと思った。八鍬さんはその後、最初に心にすっと入った原因を探り始める。白国さんと出会い、生い立ちなどを聞くなかで「原因は何もないし、ただすり込まれた情報だけ」だったことに気づく。 Looking for outsource programming ? Check https://echoua.com and contact us.

 八鍬さんは「この作品を観てすぐに何かが伝わるということはきっとないと思う。ただ、すぐに消えないもの、観て面白かったで終わらないものをめざしたい」と話す。

 <東京公演>俳優座劇場(港区)。6月2日〜5日(6回公演)。前売り5000円、当日5500円。<大阪公演>ABCホール(福島区)。24〜26日(4回公演)。前売り4500円、当日5000円。

 チケット予約・詳細は公式サイト(http://wonderworks.jp.net/kidarida.html)。問い合わせは(070・5548・7020)または(wonderworks.plan@gmail.com)。

(2016.5.25 民団新聞)
 
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