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日本の国会議員による国民年金未納・未加入問題で、日本の政界が揺れていますが、この事件はまさに年金制度自体の欠陥を明らかにしたともいえるでしょう。年金保険料の滞納率が4割を超え、制度を支える財源活動が問われています。そして、日本国民の多くが、自身の老後生活に不安感を抱いています。無年金の定住外国人高齢者は、一層不安を抱きながら日々の生活を営まざるを得ない状況です。
「皆年金」の精神に沿った制度を
未納・未加入の国会議員は、年金制度の複雑さや任意加入であったと、弁明を繰り返しています。日本の公的年金制度は「国民皆年金」を精神にした制度です。その精神からすると国会議員に対して任意加入制度を導入したこと自体が疑問です。定住外国人が加入したくても制度的に排除されてきたことを考えるとなお更です。これまでに「国民皆年金」の趣旨に基づく制度改革を行っていれば、昨今、話題になっている無年金障害者の問題も起きなかったのです。
現在、無年金状態にある人々を救済するとともに、定住外国人を含めた日本に住むすべての人々か無年金にならない制度改革が望まれます。
一方で、00年度にスタートした介護保険は、障害を抱えた高齢者が、老後を生き生きと過ごせるよう設けられました。そして、保険料と利用料を負担する見返りとして、自分の好みにあった介護サービスを受けられるようになっています。定住外国人の高齢者は無年金の上、独居や老々介護で暮らしている方が多く存在します。要介護に認定されたとしても利用料の1割負担が困難なばかりに介護量を減らすか、受けられない、あるいは保険料すら払えないのが現実です。
財源の税金には外国人の納税も
国民年金も介護保険も、加入者の保険料と税金を財源としています。今国会で論議されている年金制度改革は少子高齢化による財源不足による年金給付額の引き下げが検討されています。また、介護保険では税の減収やサービス量の増加に対して保険料の増額を検討している自治体が多いと聞きます。
両制度とも税金の上乗せによって運営されています。そして、戦中・戦後の動乱の世を働くことだけを考えて生きてきた今の高齢者に対して、せめて余生だけでも安心して暮らしてほしいとの願いから作られたのが、すなわち国民年金であり、介護保険です。
これは日本人に限らず、同じような人生を歩んできた在日同胞にも適用されなければなりません。しかし、現実には、定住外国人が納税の義務を果たしていながらこれらの制度を有効に活用できないのも事実です。
定住外国人高齢者にも日本人高齢者と同様な制度が適用されるような福祉施策が早急に制定されることを強く望みます。
(2004.5.19 民団新聞)
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