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<寄稿>師岡康子(弁護士)
人種(国籍・在留資格)差別撤廃

急がれる条例制定…積み上げ、国動かそう

■□

まだ深刻な日本

 日本は、人種差別撤廃条約を批准または加盟している170カ国のうち、人種差別禁止法制度が存在しない稀有な国である。差別禁止法が存在しないことは、社会的に差別が違法との明確な共通認識がなく、全国で頻発した在日コリアンの子どもたちへの嫌がらせや、インターネット上の「朝鮮人を根絶しよう」などの民族差別書き込みなど、日本社会において差別が蔓延していることの一要因となっている。

 また、石原都知事の「三国人」発言に代表される差別発言は、対象が朝鮮人一般など、不特定多数に向けられている場合、現行法制ではなんら規制することができない。「外国人入店お断り」との差別ポスターも、現行法ではポスターをはがさせることはできない。

 さらに、自治体による各種実態調査によると外国籍者の概ね7割が体験している入居差別、就職差別などは、現行法上でも民法上の不法行為などにあたることが多いが、裁判は被害者にとって時間も費用もかかり、精神的にも大変な負担となり、救済手段としてはきわめて不十分である。

 よって、人種差別撤廃のためには、民族差別をはじめとする人種差別を違法と宣言し、悪質なものは犯罪とし、かつ、裁判によらない、迅速で安価な人種差別救済制度をつくるなど、人種差別撤廃法制度を制定することが必要である。

 そこで、私たち東京弁護士会外国人の権利に関する委員会人種差別禁止法制検討プロジェクト・チームでは、今回その一助として、人種差別撤廃条例要綱試案(近日中に東京弁護士会HPに掲載の予定)をたたき台としてまとめ、去る6月30日の当委員会主催のシンポジウムで発表した。

集団と個人対象

 まず、差別の事由となる「人種等」には、国籍、在留資格を入れた。日本において民族差別は外国人差別として行われることが多く、さらに、在留資格のない人が、人間としての存在自体否定され、一括して犯罪の温床として扱われている現在、差別を撤廃するためにはこれらを入れることは不可欠だからである。

 また、禁止される差別は、日本における少数者の立場にある集団およびそこに属する個人を対象とする場合に限定した。これは、イギリスなどにおいて、人種差別禁止法が、民族的少数者の権利獲得運動への弾圧に悪用された事例があったこと、未だ就職における民族差別が根強く残る現状において、民族企業が同胞のみを採用することは禁止すべきでない等と考えたからである。

 差別が禁止される分野としては、労働・公務就任、医療・社会保障、教育、団体加入、不動産の賃貸・売買、施設利用などをあげ、原則としてこれらの分野における人種差別は犯罪として罰則の対象とした。

 一番悩んだのは、差別表現禁止についてであるが、結論としては、発言主体は公務員に限定し、行為も脅迫・侮辱など一定の行為に限定したうえで、不特定を対象とする場合も含め、犯罪として刑罰の対象とした。公務員による発言の社会的影響力の大きさ、表現の自由への警察による不当な介入を防止する必要性などを考慮した。

要綱試案参考に

 そして、救済手続としては、地方自治体の首長の直轄機関として、15人の委員からなる人種差別撤廃委員会をもうけ、委員には民族的少数者等の当事者団体から推薦を受けた者などをいれることとした。

 また、自治体には、別途、人種差別総合施策室を設け、撤廃施策立案・実施を義務付けた。

 要綱試案作成にあたり、東京都の全自治体に対し、差別撤廃条例についてのアンケートを行ったが、差別撤廃条例そのものはまだ存在しないものの、住民からの問題提起があれば検討するとの前向きな姿勢を示したところがいくつもあり、勇気付けられた。

 差別撤廃に取り組む当事者、住民、地方自治体行政、議員の方たちに、要綱試案を条例策定のためのたたき台として活用してもらうこと、さらに、全国各地から人種差別撤廃条例制定の取り組みから、国レベルでの人種差別撤廃法制定へとつなげていくことが私たちの願いである。

(2005.07.13 民団新聞)
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