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フラッシュ同胞企業人(11) 「一点集中」で生き抜く |
| 1943年大阪生まれ。近畿大学商経学部卒。61年に高山化成(大阪・八尾市)を設立、76年に法人化。大阪韓商副会長。1男4女、孫2人。 | 車両用遮音シートをトヨタに納品する 高山化成の高英寛社長
会社設立当時から環境ビジネス、リサイクル事業に取り組み、トヨタに自動車の遮音・吸音部品を納入する一方、木造住宅用制振合板などを生産してきた。
「トヨタの仕事を30年間やってきたこと自体、看板になる。なんでもできると評価され、注文がくる。今ではプライスリーダーになった」
ここまで成長するには大変な道のりだった。大学を出て就職が決まった矢先、父の営む店舗が火災にあい丸裸になった。父が「閉めようか」と言ったとき、「もう一度頑張ろう」と一緒にやることを決意した。
大手相手に奮闘
父親はゴムを材料にチューブや長ぐつをつくり、ビニル関係の仕事を細々と続けてきた。「私自身現場に入り、モノを作ることが好きだった。どこかで親の生きざまを見ていたにちがいない」。感謝しているのは、全てを25歳の自分に任せてくれたこと。「親の信用がなければ、カネの工面は難しかっただろう」と振り返る。
中小企業が生き残るため、ひとつに特化する「一点集中」に注力した。76年の法人化と同時に、車両用遮音シートの生産に着手。材料であるシートの原反を供給し、受け入れ先が加工してトヨタに納めた。
原反の競合先はいずれも上場の大会社ばかり。勝ち抜くためには高品質商品を作る以外にない。「大手は多品種の中のひとつ。こちらは1品種に勝負を賭け、遮音シートに特化した」。その結果、大手の独占に風穴をあけることができた。
当時、車両用内装部品の会社が名古屋に3社あったが、そのうち1社が高山化成の製品を使い始め、数年で3社とも購入するようになった。「技術とコストが決め手。信用力がなければ使ってくれない。絶対的な信頼と、トヨタが要求する品質を創り出せる能力がなければならない」
「カンバン方式」と称されるトヨタの生産方式は、徹底的にムダを省くシステム。「納期を守るのは当然で、徹夜は当たり前。何か1枚足りないと言われれば、それこそ走り回って確保した」
01年に伊賀工場(三重県上野)、そして青島に合弁工場を設立した。06年度売上額は約30億円、社員は約150人。
初のブランド品
朝4時半に起きて1時間ほど周囲の山を歩くのが日課。8時前には出社する。「まず健康でなければ、時代の変化に対応できない。歩きながら考えるのが好きで、散歩中に考えを整理する」。
「新しい発想が大切」と強調する。地球温暖化により木材がどんどん減少する中で、床材のフローリングに代わる素材はないだろうかと考えた末、これまでのホモジニアスビニルタイルの接着床材に代わり、粘着材で軽く押さえるだけの置き敷きを開発した。施工も簡単なので、リフォームにもうってつけだ。自社ブランド「アトラクア」で売り出したばかりだ。
「これからは、OEM生産から脱皮し、みずから企画し、道を切り開いていく時代になった。材料の原油価格が安定しないので、生き抜くには販売力が必要だ」
厳しい中でも、企業として王道を歩くことが信条。「社会の公器ということを意識すべきだ。社会に貢献しない企業は存続しない」。資金も公的機関から調達するのが基本だ。「在日だから、そういう意識がより強いのかも知れない」。
(2007.9.5 民団新聞) |
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