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大韓民国が建国60周年を迎える。国内の一部市民団体の間で祝賀行事の準備が進められていると伝えられるが、政府としてどう臨むかはまだ明らかになっていない。いずれにせよ、建国記念日の8月15日に向けて、60年の軌跡が多角的に検証されよう。
その韓国で2月25日、李明博氏が第17代大統領に就任し、金大中氏、盧武鉉氏と2代10年続いたいわゆる進歩派政権時代に終止符を打つ。続いて4月9日には、大統領選挙以上の激しい闘いが予想される総選挙がある。与野党の勢力図がどう変貌するのか。大統領選挙の後遺症を温床に、政界再編の動きがあるのか。政治的にも目が離せない状況が続き、李明博新大統領のリーダーシップが問われる局面が続く。なかでも対北政策のあり方は、米・中・日3国と韓国の関係をも規定し、韓半島を軸とした東北アジアの安全保障に密接にかかわるだけに、とくに注目を集めずにはおかない。
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周辺諸国では3月に、再びの大国化に突き進むロシアの大統領選挙、経済・軍事の両面で台頭著しい中国が神経を尖らせる台湾総統選挙がある。あまりに急速な成長を続けてきた中国について言えば、ポスト北京オリンピック(8月)にも関心が向いている。日本では7月上旬に李明博大統領が出席する予定の主要国首脳会談(洞爺湖サミット)がある。その一方では、衆院解散総選挙がいつあってもおかしくない状況だ。11月には国際社会に大きな影響を与える米国の大統領選挙が控えている。北韓による核無能力化の実質的な推進と対米・対日関係の進展はあるのか。6者協議と韓半島を取り巻く情勢には変数が多い。
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在日同胞社会は経済面で苦境の度を深めている。1昨年の道路交通法の改正で郊外型飲食業は打撃を受けたままであり、遊技業は昨年後半から廃業・休業が相次ぐ本格的な冬の時代に入った。遊技業が苦境にある要因は業界体質に起因するものにとどまらない。北韓の核・ミサイル問題や日本人拉致事件などが抜きがたく関連しているとされる。遊技業は同胞経済の基幹であり、その衰退は同胞社会全体に深刻な影響をもたらす。その意味でも在日同胞は、北韓の軍事的な脅威や国家犯罪から無縁ではない。
財政自立化を焦眉の課題としている民団にとって、遊技業などサービス業を中心とする同胞経済の苦境は打撃である。在日韓国人信用組合協会の加盟信組にもボディブローになりかねない。今年の民団はやや異例ながら民団本来の主要事業とは別に、民団の存立基盤を守るべく同胞経済活性化に力を入れる方針だ。1月10日に関係諸団体と協力して「レジャー産業健全化推進協会」を結成し、経営環境と業界体質の改善をバックアップする態勢を整える。
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民団の存在意義と活動目的を象徴的に示し、多文化共生社会実現への踏み台となる地方参政権獲得は、今年を天王山と見て全力を集中することになろう。各政党の推進姿勢もさることながら、3月にも開催される可能性のある李明博大統領と福田首相による韓日首脳会談が大きなインパクトになる。政治的な分野でも韓日連携を強化する要として、地方参政権が重要な意味をもつことになろう。
今年の民団は各種恒例事業以外にも大規模行事が多く、例年以上に多忙を極めそうだ。2月25日の新大統領就任式には民団から約1000人が参加する。その関係で定期中央委員会の開催を2月15日に早める。8月初旬には2年ごとに開かれる母国でのオリニ・ジャンボリーに500人が参集する。63回光復節は建国60周年記念日と重なるだけに、特別な対応が求められそうだ。10月1日には5年に1回の国軍の日行事があり、500人規模の参観団を派遣する予定だ。4年に1回の目途で開催されてきた全国支団長交流会の開催年でもある。
また今年は、23の民団地方本部が60周年の節目を迎え、まさに記念行事のラッシュになる。民団が韓国政府から在日同胞社会で唯一の民主団体と公認(9月8日)され、名称を「在日朝鮮居留民団」から「在日大韓民国居留民団」に改称(10月4日)したのもちょうど60年前である。韓国と一心同体であった民団にとって今年は、祖国と自身との関係を再整理し、より双務的な協力態勢へと発展させる始発点ともなろう。
(2008.1.1 民団新聞)
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