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<第71回定期中央委員会>次世代はぐくみ韓日友好アピール…16年度活動報告案(要旨)
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はじめに
未来創造メッセージで開放拍車


 昨年、本団は創団70周年を迎え各種の記念事業を成功裏に終えることができた。草創期から今日まで幾多の困難を乗り越え本団が綿々と継承されてきたのは、命がけで守って来られた先輩諸氏と全国の団員の皆さん、そして支援をし続けてくれた祖国大韓民国、さらには韓日友好増進と在日韓国人との共生推進に尽力された日本の方々のおかげであり、ここに改めて感謝申し上げます。

 「創団70周年」の大きなキーワードを掲げた2016年。本団は記念事業を単なる祝祭で終わらせるのでなく、同胞とともに歩んできた70年の歴史を振り返り、改めて本団の存在意義を確認するとともに、将来の同胞社会を展望した上で本団組織のあるべき姿と推進すべき事業の基盤を構築するため多角的な活動を展開してきた。

 具体的には次世代育成を最重点事業に掲げる一方、本団と在日同胞の歴史、特に祖国への貢献を本国国民にアピールした。また、未来を見つめた組織のあり方を模索するため未来創造フォーラムを継続し、10月の記念式典で「未来創造メッセージ」を発信した。

 次世代の発掘を目的とした「次世代母国訪問」事業は、次世代の育成が本団にとって最重要の課題であることに鑑み、1500人という近年にない大きな規模で実施され、成功裏に終えることができた。小学生、中学・高校・大学生と一般青年ら若い世代に対し、母国の現状を肌で感じ、安保意識を身につけ、民族主体性を維持させる契機とすることができた。今後は同世代の仲間と連帯させながら同胞社会への参与を強めさせることに繋げていきたい。

 また、本団や在日の存在自体を知らない本国の世代が増えている昨今の状況を重く受け止め、創団70年の足跡を写真で伝える「在日同胞本国写真展」もソウルをはじめ全国主要8都市と大学などで開催した。その結果、多くの本国国民が観覧し、本団の歴史と活動の評価に繋がった。このほか、韓国の放送局2社が在日同胞の特番ドキュメンタリーを放映したのをはじめ、大手紙が特集企画を組んだほか、ネットでの紹介が拡散したことも大きな効果をもたらした。

 本団はそれらの実績に甘んじることなく、韓国戦争への在日学徒義勇軍の参戦や、日本にある韓国大使館や総領事館を在日同胞が寄贈した事実など、本国に対する在日同胞の貢献を歴史教科書に掲載するよう積極的に当局に働きかけているところだ。

 未来創造フォーラムは、組織関係者のみならず在日同胞政策などを研究する専門家からも幅広く意見を求めるなど1年近くの論議を経て、「民団はより開放的な」組織に変わるべきだなどとする「未来創造メッセージ」を発表するに至った。

 未来創造メッセージを具体化するため「提言」の取りまとめ作業を行い、地方本部の三機関長就任に際する要件緩和(日本国籍同胞の登用)、韓人会との統合に向けた「協議会」の設置、同胞の経済活動を支援していく方策などについて早急な対応を求めている。

 一方、在日同胞の人権を侵害し、韓日友好を阻害してきたヘイトスピーチ(差別扇動表現)の根絶については、本団が進めてきた地方議会への陳情活動や、国会や市民運動の方々の助力を得て、「対策法」が制定、施行された。私たちは自らの力で法律の制定を勝ち取ったのであり、誇るべき大きな成果だといえる。支援していただいた関係者の皆さんに改めて感謝を申し上げる。

 しかし、「対策法」に罰則規定がないことや、選挙運動に名を借りてヘイトスピーチを仕掛ける者が現れるなど新たな事態が生じており、今後の課題として提起されている。

 核実験やミサイル発射など度重なる北韓の軍事挑発に対し、本団は朝総連中央本部前で緊急抗議活動を行った。また、9月9日に開かれた全国地方団長・中央傘下団体長会議では、この日強行された北韓の核実験に対して、核実験に強く抗議し、これまで以上に強力な制裁に世界各国が共同歩調を取るよう求めるなど、参加者一同が決議文を満場一致で採択した。

 民主平和統一諮問会議

 (民主平統)日本地域協議会では平和統一に向けたフォーラムを行い、最近の北韓動向と韓国政府の統一政策を周知し、また民団脱北者支援センターは脱北者を講師として各地で同胞対象の講演会を開くなど、在日同胞社会全体が北韓の軍事挑発を容認しないとの意思確認を行った。

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韓日友好・共生促進
ヘイト根絶に向け一歩


 本団は早期立法化を求める地方自治体での意見書採択の陳情活動を持続的に展開してきたのと同時に日本国会に対する要望活動を引き続き進めるなど、人権擁護委員会を中心に全団的なヘイトスピーチ根絶運動を行ってきた結果、ヘイトスピーチ対策法が6月3日、施行された。罰則規定のない理念法とはいえ、ヘイトスピーチの暴力が野放しであった状況を変えていく重要な起点であり、根絶に向けての大きな一歩として評価できる。

朝鮮通信使の世界遺産化

 朝鮮通信使に関する韓日の史料111件を世界記憶遺産に登録するよう、両国の民間団体が3月30日、国連教育科学文化機関(ユネスコ)に申請した。韓日の団体が世界記憶遺産に共同申請するのは初めて。

 早ければ今年7月に予定される審査において好結果を出させるため朝鮮通信使縁地連絡協議会(縁地連)に関連する22地方本部・支部が縁地連に加入し、市民レベルで関連行事に積極的に参与するなど雰囲気づくりに力を入れた。

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同胞生活支援
相談センター11カ所に


 みんだん生活相談センターは、16年度に2地方本部で開設され合わせて11地方となり、本国の関係機関(大法院、大韓法律救助公団など)との連携を強化しており、同胞社会に完全に定着したものといえる。

 同胞学生の就職支援

 同胞学生らの就職を支援する一環として6月18日、韓国系・在日同胞系を中心に20社を集め就職フェアを実施し、在日同胞学生や留学生らが参加した。

 韓国人旅行者支援

 訪日韓国人は15年に400万人を初めて突破したのに続き、昨年は500万人を超えた。本団では各地の地方本部、支部で不慮の事故・事件に対応しており、訪日者数の増加傾向は続きそうなので、今後も対応していくことになろう。

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組織改革・強化
地方と連携 団員と接点


 静岡で集中戸別訪問

 静岡県全域の団員宅を対象とする戸別訪問を実施した。東日本大震災のような自然災害に備えた緊急連絡網が必要と考えていた静岡県本部の危機感に応え、中央と9地方本部から実務者と幹部が現地入りした。新定住者、日本国籍同胞、総連離脱同胞などすべての在日同胞を対象に訪問し、団員と新定住者、日本国籍同胞との接点拡大に大きな成果を残した。

 支部の活性化

 支部組織をより活性化させるため支部が主体となり団員・同胞たちがより多く参与する事業に対し昨年も支援金を交付した。この事業は4年前から実施してきたが、マンネリ化している状況も散見されるため、今後は支援する事業を指定するなどなんらかの対策が必要となる。

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熊本地震被災者支援
義援金で県本部後押し


 4月14日、16日に激震が相次いだ熊本地方の被災同胞を支援するため中央本部は15日に「熊本地震被災者支援韓国民団対策本部」を設置、中央本部や近隣地方本部の職員を熊本県本部に派遣して本格的な救援活動に入った。

 一方、全国からは約4800万円の義援金が寄せられた。

 幸い団員・同胞に大きな人的被害はなかったものの、自宅や店舗の損壊は多く、避難所生活や営業不能を余儀なくされた同胞も多くいた。熊本県本部会館は「大規模半壊」と認定され、県本部は新会館の建設を計画している。

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民団創立70周年事業
多角的に活動展開


未来創造フォーラム

 2015年12月に実施した「未来創造シンポジウム」を起点とし、内外の専門家を集め将来の在日同胞社会を展望した中長期的な課題を研究、本団の組織改革の方向性を政策検討委員会で論議し、10月21日におこなわれた創団70周年記念式典でその結果として「未来創造メッセージ」を発表した。

 未来創造メッセージを受け、中央常任委員を中心に当面実践が可能な事項から実現化するため、次の通り措置事項を提言した。

 1,地方本部三機関長の就任要件の緩和(日本国籍同胞の登用)推進2,組織強化のため過疎地方本部を統括する「統括局長」を派遣3,組織強化のため役員、実務者の実践学習体系の構築4,韓人会との統合を進めるための協議会の構成5,民団の財政自律と財産保全の促進6,民団は経済活動を重要事業と位置づけ、青年商工人の育成に尽力7,韓国の各種制度上、在日同胞の除外制度の是正要望を推進。

次世代続々母国訪問

 創団70周年を記念し次世代育成事業の規模を大幅に拡大して実施した。小学生(4〜6学年)を対象としたオリニジャンボリーをはじめ、中・高・大学生を対象とした次世代サマースクール、青年世代の青年母国訪問団まで1500人の在日同胞次世代が母国を訪れ韓民族としての意識を高めた。

オリニジャンボリー

 過去最多のオリニが参加した。企画内容に関しては、例年実施してきた本国学校を訪問する代わりに体育館で在日同胞オリニと本国のオリニの計約1000人がひとつに集まる企画(我らはひとつ!KOREANキッズ交流運動会)を行い、スタンプラリーは地下鉄を利用してソウル市内を移動、オリニらに母国の大衆交通文化に接する貴重な体験をさせた。

 また、国内大学生まで対象を広げボランティアを募集。このような試みは韓国学生らに在日同胞社会を広く知らせる契機となり、韓国・在日・日本の橋渡し的リーダーとなる人材として今後の活躍が期待される。

次世代サマースクール

 定員を拡大し中・高・大学生406人が参加した。在日同胞の歴史、韓国の近代史、北韓情勢などを学び、伝統文化の体験、先端企業の見学などを通じて母国を直接、肌で感じる貴重な日程を過ごした結果、「韓民族として生きていきたい」との感想が多くあった。

青年会主催でも

 青年会が主催した在日同胞青年母国訪問が9月22日から25日、ソウル市内を中心に実施され、全国から集まった290人が南北非武装地帯(DMZ)の視察、三星弘報館の見学、母国青年とのフィールドワーク、交流パーティーなどにより参加者同士の連帯を確認しあった。

本国との連帯事業

1,在日同胞本国写真展

 「民団は同胞とともに、大韓民国とともに」とのスローガンの下、本団と在外同胞財団が共同主催した「創団70周年記念写真展」が5月から10月にかけ韓国国内主要8都市とソウル大学、高麗大学、国会議員会館で開催された。

 主要都市の庁舎を使用したことで自治体公務員らをはじめ多くの市民が在日同胞の権益擁護運動や祖国発展への寄与など、本団の70年の歴史を写真で理解する機会となった。

 また、写真展の開幕式には韓国の国会議員、来賓と併せソウル市では駐韓日本大使が、済州道では駐済州日本総領事が参席したことは本団が両国間の懸け橋の役割を充分果たしたことの証だ。

2,在日同胞社会ドキュメンタリー

 在日同胞の歴史と本国に対する貢献を特集したドキュメンタリー番組が国内で相次いで放送された。「在日同胞が本国発展に寄与した事実を初めて知った」との反応が多くあった。

 KBSは10月23日、特集「在日民団70年…希望を謳う」(50分)を放送、YTNは11月、1部・2部として、特集「玄海灘の架け橋・在日」を放送。

3,在日同胞史の韓国教科書への掲載要望

 在日韓国人の足跡を祖国に対する貢献を広く本国社会に知らせる一環として小学校または中学校の教科書に掲載を求める署名運動を進めており、国史編纂委員会に対する要望活動を実施した。また、民主平和統一諮問会議が本団の要望に賛同し政府宛に独自に要望書を提出した。

記念式典に1000人

 「駆けてきた70年…創ろう新たな歴史」とのタイトルで10月21日に開催した記念式典と祝賀会には全国の組織関係者と韓日両国の国会議員をはじめ各界各層から1000人を超す人々が参加し、祖国と在日同胞社会の発展に寄与してきた本団の70年間の足跡を確認するとともに、未来創造メッセージの発表を通じ今後のビジョンを提示し、共感する意義深い場となった。

民団70年史の編纂

 10月24日、編纂委員会を構成し、17年5月の発刊を目指し作業を進めている。言語は韓国語と日本語を別冊で発刊することとし、日本語版は一般書店での市販を前提としている。

 この間、内部に蓄積された貴重な写真、映像をデジタル化し、在日同胞史の編纂に活用する同時に今後、資料として保管していく。

特別表彰

 創団70周年を記念し、組織の一線で長年活動してきた功績ある活動家を各地方本部からの推薦を受け特別政府褒賞と団長表彰を実施した。

 ▽政府褒賞=大統領表彰2人、国務総理表彰4人、外交部長官表彰10人、駐日大使表彰18人▽団長表彰172人▽功労章1人。

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むすび
提言の早期実現めざし


 旧日本軍の慰安婦問題による韓日関係の悪化は、在日同胞の生活に深刻な影響を与えてきたが、両国関係はようやく最悪期を脱し改善の兆しを見せ始めたことを実感した1年であった。

 しかしながら、駐釜山日本総領事館前に少女像が設置されたことを巡り、日本政府は駐韓大使らを一時帰国させるなど強い措置を取るに至った。被害者の名誉と尊厳を回復することが最優先されるのは当然のことだが、だからこそ合意の迅速な履行が望まれるのである。国家間の約束事が簡単に反故にされるようなことになってはならないというのが在日同胞としての心情だ。

 本団は創団70周年記念事業を成功裏に終えることができた。

 本団の最重要課題である次世代育成事業では、1500人もの青少年が本国で一堂に会した事実は、今後の本人たちの民族意識の覚醒、本団組織の次世代育成に大きな糧となるであろう。

 これまで本国に対する弘報力に問題があると一部で指摘されてきたが、昨年はこの点でも大きな成果を挙げたと言える。

 一方でいくつかの課題が残っていることも指摘しておかねばならない。未来創造メッセージを受けた提言は2017年以降、早期に実現化していかねばならないだろう。本国教科書への在日歴史掲載を求める署名活動については、多くの地方本部で署名数が伸びていないなど取り組みに問題を残したと言わざるを得ない。

 数年の間、組織的な懸案事項となっていた韓商連が5月27日、総会を開き統合韓商連が出帆した。当分間は共同代表制で運営していくことを決め、またその後開催された理事会で民団の傘下団体として活動していくことを決定した。民団中央委員会の承認を受け正式に傘下団体として活動していくことになる。

 韓国中央選挙管理委員会の発表によると、3月に実施された第20代国会議員選挙の在外投票における日本地域での投票率は27・6%となり、これは前回の投票率(12年、52・6%)だけでなく、米国36・8%、中国38・3%をも大幅に下回った。日本地域の投票所は10カ所から16カ所に増え、利便性が向上したが、険悪な状態が長びいた韓日関係や韓国政界の内紛・混迷を反映した可能性がある。

 昨年は創団70周年記念事業以外にも着実に各種活動を進めた1年であった。

 2015年に提起された政府支援金の運営については、一昨年末に設立した「一般社団法人民団中央」の社員総会、理事会などに外部人士を参与させ、併せて本団の活動状況と政府支援金の使用状況を知らしめる「年次報告書」を製作、配布することで、従来より一層公開性を増しつつ運用・管理している。

 在日韓国人信用組合協会(韓信協)が昨年、創立60周年を迎えた。60年前、5組合を母体に産声を上げた韓信協は、82年には会員39組合を数えたがバブル崩壊後の統廃合で現在は6組合で運営している。昨今の異次元的な金融緩和やマイナス金利政策の逆風の中、在日同胞経済や地域経済を支えていく使命を再確認した。

 この間、多種多様な事業を推進してきた全国各級組織と傘下団体の幹部及び活動者の皆さんに心より感謝申し上げたい。

(2017.2.8 民団新聞)
 
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