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新千年紀に地方参政権実現を



 新1000年紀を迎え、成人の日を迎えたばかりの2000年新年早々、私たち在日同胞にとって大きな希望の年となることを予感させています。

 20日に召集される、日本の通常国会の冒頭で、民団がかねてから要望してきた、「永住外国人への地方参政権付与法案」を与党の公明、自由が共同で提出することになったからです。

 同法案の成立については、昨年10月の自自公3党連立与党合意書の中で「3党合同で法案を提出・成立させる」と明記されていましたが、自民党内の一部で慎重論が根強いため、2党での見切り発車となりました。ただ、自民党の森喜朗幹事長は3党でなく自由・公明での法案提出については「やむを得ない」と了解しました。

 民団が全組織を挙げて取り組んできた運動の実を結ぼうとしているのです。


■日本議員らの熱いエール

 11日に都内で開かれた民団中央と東京本部合同の新年会に参加した、日本の各政党代表は、それぞれあいさつの中で「20世紀のうちに片付ける代表的な一つにしたい」と、今国会での地方参政権付与法案成立に全面支援すると、熱いエールを送ってくれました。

 とくに、公明党の冬柴鐵三幹事長は「国家、国力、国威、国益、国境、国権、そして国籍と、20世紀は国家という抽象概念があまりにも前に出過ぎた世紀だった。21世紀はそうであってはならない。そこに住む構成員一人ひとりが、ゆとりと豊かさを実感できる社会を作っていくべきだ」と、今後の日本社会のあり方を述べました。

 自由党の藤井裕久幹事長も「3党合意は韓国に対する約束であると共に日本国民全体に対する約束。この法案は通常国会冒頭に提出し、多くの方々の理解を得て成立を図っていく」と実現への意欲を示しました。

 また、一昨年秋に公明党と合同で法案提出した、民主党の中野寛成副代表も「与党によって地方参政権付与法案が提出されれば、野党の立場でも賛成する」と成立への熱意を伝えました。


■共に生き、地域に貢献する構成員

 5年前の阪神大震災を思い出して下さい。未曾有の被害が出た被災地に対し、民団では全国の同胞から救援物資を寄せ、炊き出しを行い、義援金を集めました。その物資や義援金は同胞だけでなく、日本社会にも贈りました。同じ地域住民の立場から国境を越えた救援活動を行ったのです。この一連の救援活動に対し兵庫県知事は在日同胞のことを「外国人県民」と呼び、地域社会構成員として認識したのです。

 私たち在日韓国人は日本の地で根を下ろし、生活基盤を日本に置く地域住民です。そして、日本社会の発展へ共に貢献していく構成員なのです。これら日本議員の在日同胞に対するエールは、まさしく、そうした認識を示したものです。

 1993年9月9日、大阪府岸和田市が全国で初めて、「定住外国人への参政権付与を認める決議」(国に対する意見書)を採択しました。以来、千四百を超える地方自治体が同様の決議を採択し、国に対して意見書を提出しています。人口比率で計算すると七割以上の住民が「付与すべき」と示しているのです。もはや、国民の同意は得られているのです。

 今世紀最後の年である2000年。私たちの切実な願いである地方参政権が必ず実現し、私たち在日韓国人と日本社会が真の共生社会を切り開いていく来世紀への布石の年になることを願います。

(2000.01.19 民団新聞)



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