| 6カ国11人で構成された 奈良市の「外国籍市民懇談会」 の初会合 |
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外国籍でも市政に声を反映へ
【奈良】奈良市(大川靖則市長)は、外国籍市民の声を広く市政に反映していくため、「外国籍市民懇談会」を18日、奈良市生涯学習センターで開催した。同様の取り組みは川崎市、京都市、大阪市などで行われているが、奈良市では初めての試み。第1回会合には、市内に外国人登録している2766人の中から韓国籍をはじめとする六カ国11人が参加した。
参加者は市内の外国人登録人口30人以上の国籍保持者の中から2人ずつ選ばれた。内訳は韓国、朝鮮のほか中国、フィリピン、イギリス(1人欠席)、アメリカの六カ国。
冒頭、大川市長は「国籍はなくても行政と関わりを持っていってほしい。同じ市民の立場から住みやすい街づくりに向けた要望を出してください」と述べた。これに対して参加者からも日常、教育や社会生活で感じている支障、市政に対する活発な意見が出された。
全守東さん(72)は、在日韓国人の子弟が学校で本名ではきちんと呼んでもらえない例を挙げ、改善を促した。同じく李秉柱さん(72)=民団奈良支部支団長=も「公立小・中学校でも韓国語を学べる民族学級を設けることを考えていただきたい」と注文した。
このほか、渡日歴の浅い欧米系住民からは、「市役所に英語の話せるスタッフを増やしてほしい」「公文書にひらがなやローマ字を併記してほしい」といった細やかな心遣いを望む声が目立った。
最後に大川市長は「今度はもっと多くの人に参加していただき、意見を聞きながら施策の参考にしていきたい」と締めくくった。今後は1年に1回をめどに開催するという。
同市の人口は36万8000人。外国人登録している市民は2766人(2000年1月1日現在)で韓国が1293人で最も多い。
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慶州との交流追い風に奈良市
奈良市は韓国慶州市との間で1970年、姉妹都市の関係を結んだ。以来、両市は、一般市民はもとより行政職員や市議会議員なども相互訪問を繰り返し、信頼関係を築いてきた。
こうしたことが「外国籍市民懇談会」の実現に結びついた。
98年12月の奈良市議会定例会席上、外国籍市民の市政参加の道を開いてほしい」との松石聖一市議会議員の要望に応えた大川市長は、「私もかねてから外国人の市政参加、市民として提言、意見などをいただきたいと思っていた。早期に進めていきたい」と積極的な答弁をしている。
当時を振り返って松石市議会議員は、「なんといっても慶州市との交流の積み重ねが市長や議員を動かした」と話す。
松石市議会議員は、民団奈良県本部の金吉龍団長から「奈良市にも外国人市民施策懇談会を設置してほしい」との要請を受け、全国に先駆けて取り組みを始めている川崎市に何度も足を運ぶなどして実現に努力してきた。
松石市議会議員は「在日韓国人一世は、高齢になるに従って、母国語しか話せなくなっている。今後の介護者の問題も重要になっいる」と述べた。
(2000.01.19 民団新聞)
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