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第122回芥川賞に玄月氏

在日では4人目の受賞



■大阪市の在日2世、「蔭の棲みか」で

 第122回芥川賞・直木賞(日本文学振興会主催)の選考委員会が14日夜、東京・築地の「新喜楽」で開かれ、芥川賞に在日韓国人2世、玄月氏(34・本名=玄峰豪)の「蔭(かげ)の棲(す)みか」(文学界11月号)が選ばれた。

 在日同胞の芥川賞受賞は、李恢成氏の「砧をうつ女」、故李良枝さんの「由煕(ユヒ)」、柳美里さんの「家族シネマ」につづいて4人目。

 玄月氏の作品は在日同胞が暮らす大阪のバラックを舞台に、戦争で右手首を失った老人の、時代の変化に取り残されてゆく思いを描いた。

 選考委員の宮本輝氏は「戦後50年の間に在日の人たちの間にも2世、3世、4世が出てきて、一つの過渡期になってきた。世代交代によるスタンスの微妙な違いがうまく表現されている」と評した。贈呈式は2月18日、東京・丸の内の東京会館で行われ、正賞の時計と副賞各百万円が贈られる。


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玄月氏の略歴と受賞作

 玄月氏(本名、玄峰豪=ヒョン・ボンホ)1965年大阪市生まれ。大阪市立南高卒。作品に「おっぱい」「悪い噂」など。大阪市在住。

 受賞作は、在日の人々が暮らす大阪の同胞集落を舞台に、その盛衰とともに生きてきた老人ソバンの日常を描いた作品。集落の出身者たちでつくる草野球チームの観戦と、ボランティアで訪れる女性との語らいに生きがいを見いだす日々。しかし集落は、不法滞在の出稼ぎ韓国人や中国人が増えてきて徐々に変わってゆく。

(2000.01.19 民団新聞)



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