民団新聞 MINDAN
在日本大韓民国民団 民団新聞バックナンバー
韓国系日本人家庭のルーツたどる

映画「アンニョン・キムチ」
29日に東京で上映



松江哲明監督

 日本国籍を持つ在日韓国人三世による自分探しの旅を映像化した「あんにょんキムチ」(松江哲明監督、ビデオ五十二分)が29日、午後3時から東京国際フォーラム「PFFシアター」で上映される。同映画は昨年10月、山形国際映画祭で注目を集め、ソウルでの第3回ソウル・ドキュメンタリー映画祭でもいちばん評判になった話題作の一つ。

 主人公は松江哲明監督自身。韓国人の血を引きながら日本人として生きる自らのアイデンティティを確認しようと、韓国系日本人の家族のルーツをたどっていく。松江監督が自分のルーツに真剣に向かい合おうとすればするほど家族との間にギャップが生じ、観客の笑いを誘う。しかし、一方では、自らはどう生きてきたのか、これからどう生きようとするのかを鋭く突きつけてくる。

 松江監督の祖父、劉忠植さんは日本統治下の忠清南道から出稼ぎのため14歳で渡日した。日本人らしく生きることを処世術とこころえ、地域での信頼も得た。しかし、4人の娘には同胞との結婚を奨励し、正月の祭祀も欠かさない。たとえ外出先でも、食卓にキムチを欠かさなかった。

 そうした祖父の実像と虚像を一致させたいとの思いから、母親、叔母、親戚とたどり、証言を集めていく。最後は祖父の生まれ育った韓国の郷里まで足を伸ばす。

 映画は20日、川崎市ふれあい館(「重度館長)で開かれた人権講演会でも上映された。李仁夏牧師は「歴史の不条理にもまれた人々の正直な物語。アイデンティティ構築の虚構性、在日の新世代の葛藤がよく表現されていた」と感想を述べた。

 日本国籍の尹チョジャさんも「私自身、父が死ななければ尹にはならなかった。おじいちゃんもしかけとして祭祀とキムチを残し、子どもたちにルーツを考えさせるきっかけを残したのでは」と感心した表情だった。

 川崎市ふれあい館でのこの日の講演の模様は2月2日午後6時からのNHK首都圏ネットワーク「クローズアップ現代」で放映の予定。

(2000.01.26 民団新聞)



この号のインデックスページへBackNumberインデックスページへ


民団に対するお問い合わせはこちらへ