民団新聞 MINDAN
在日本大韓民国民団 民団新聞バックナンバー
正しい韓国語普及めざし

指導者要請へ着々



毎回60〜70人が参加する韓国語研究会

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日本韓国語研究会発足から1周年

 正しい韓国語普及をめざすためには、まず韓国語教師(講師)たち自身が教授方法など語学の専門教育者としての資質を磨かなければ、と昨年2月に発足した日本韓国語研究会(金東俊会長)がこのほど1周年を迎える。開設早々、日本全国から韓国語指導に当たる同胞や日本人講師らが駆けつけるなど反響は大きかった。会員も現在は100人を超えるなど着実に発展している。

 同研究会に所属する会員は現在、北は北海道から南は九州まで100人を超す。2カ月に一度の研究会には、首都圏ばかりでなく日帰りができる名古屋、大阪からも会員が参加するなど六、70人が足を運んでいる。


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増える「講座」に対応

 これまで6回にわたって開かれた研究会は、「外国語習得と母語の干渉」「韓国語教育と文法」「漢字による語彙増加方策と留意点」「現代韓国語の待遇法―日本語の待遇法と比較対照しながら」「韓国語の助詞について」「中級外国語の習得過程」など専門的な授業がほとんど。会員の大半が何らかの形で韓国語を指導する立場にあるため、教授するために知っておかなければならない知識を中心にしている。

 毎回午後1時から5時までの4時間にわたって行われる研究会の終了後は、自由質問の時間に当てられている。各自が韓国語の指導に当たる中で抱く様々な問題やどのように教授するのが効果的かなど、実践的な質問が相次ぐという。不規則発音、外来語表記の規則性、語用論などの時間内に終わらない場合も多く、会では自由質問の時間を増やす計画だ。

 またこの間の研究会を通じて、より専門的な知識を身につけたいとする大学の講師らを対象に月に2回の金会長の私的ゼミナールも構成されるなど内容も深化している。

 日本の大学で韓国語教育を実施しているのは200校余り。高校では171校(昨年6月、財団法人国際文化フォーラム調査)で、高校における韓国語講師は100人を超えている。特に高校では、76校しかなかった95年に比べ4年間で二・五倍にもなっている。

 このような状況の中で、指導に当たる韓国語講師も不足している。指導に当たる多くが本国留学などで韓国語を体得しているが、指導側の教育を受けている人材は少ないのが現状。韓国語が持つ不規則発音についても体験的に知ってはいるが、文法的になぜそうなるのかなど、教える側の知識が不足しているのは否めない。

 韓国語教育が進化しつつあるだけに、より高度な知識と体験を持った指導教授を育てようと発足したのが同会だ。また、学校における韓国語担当の教師はほとんどが1校に1人の場合が多く、カリキュラム編成やテキストまで全て1人で解決していかなければならない状況下にある。それら教師のネットワークづくりも同会の目的だ。


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北海道から九州まで会員100人

 また昨年8月に研究発表をまとめた研究会報を創刊したが、地域的に遠くて参加できない会員のために年に4回発刊したいと意欲を燃やす。それ以外にもより広範な韓国語普及をめざすために、将来はインターネットで情報発信を行いたいという。

 金会長は「日本での正しい韓国語の普及のために、今後も様々な手法を取り入れながら発展させていきたい」と語っている。

 様々な計画を持っている同会だが、現状では研究会開催を維持するだけの財政しかないため、韓国語普及に理解ある層の支援を呼びかけている。

 第7回目にあたる2月の研究会は13日に東京・水道橋の在日韓国YMCAで午後1時から開催される。また4月には同会顧問でもある韓国の国語学者、金敏洙・高麗大学名誉教授と日本語学の奥津敬一郎・東京大学名誉教授による特別講演も予定されている。

(2000.02.09 民団新聞)



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