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「悪夢を解き放て」



 金浦空港で日本行きの飛行機を待っていた。ゆったりした気分で、あわただしかった数日を振り返っていると、一目でその筋の者とわかる連中がドカドカとやって来て、周囲の空気が一気に息苦しいものに変わった。

 「悪貨が良貨を駆逐する」とは、このことだ。

 ソウルで何をしてきたかは知らないが、品性のかけらもないパンチパーマの男と蓮っ葉な女の脇には、「類は友」さながらの取り巻きがいた。さらに本国の青年2人が、携帯電話片手にかいがいしく世話をやいている。親分が何かを命令すると、青年は体を直角に折り曲げ、まるで軍隊のようにきびきびした動きを見せた。

 やくざな「商売」で韓国を利用したいだけの連中と、いくばくかの日本円と引き換えに良心を売り飛ばし、そういう手合いに群がる「韓国男児」。そうとしか見えない構図に、一瞬、植民地時代の日本の権力者と、彼らに民族の自尊心を骨抜きにされ、あごで使われた親日派の姿が重なる。

 年間220万人の日本人が韓国を訪れるとはいえ、中には韓国にとって迷惑千万の連中もいる。「入国拒否にすべきだ」と言い放つと、日本人の友人からは、「だったら、スリ集団や宗教に名を借りたいかがわしい教団、それに北朝鮮のスパイも出国させるなよ」と切り返された。

 韓国と日本、そして北朝鮮の21世紀は、ぼくらの子どもたちが主人公になっていく時代である。支配、被支配の悪夢から解放され、人間同士の平等な関係を基盤に新しい世紀を築いてやりたいと思う。

 そのためには、ぼくら自ら襟を正し、在日同胞の知的集団として南北韓と日本に「在日」からのメッセージを叫び続けるしかない。(C)

(2000.03.15 民団新聞)



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