民団新聞 MINDAN
在日本大韓民国民団 民団新聞バックナンバー
KOREAN SOCCER REPORT・アジアの虎の鼓動

「Kリーグに行こう」
慎武宏(スポーツライター)



■□
10チームが競い合う
若きスター台頭で人気絶頂

 魂を揺さぶるそのサッカースタイルから、"アジアの虎"と称される韓国。日本とともに共同開催する2002年FIFAワールドカップ(W杯)の成功的開催を目指し、国内でのサッカー熱も日に日に高まっている。

 そんな韓国サッカーの現状を、今月から毎月1回定期的にレポートしたい。さぁ、21世紀への飛躍を誓う"アジアの虎"の鼓動に耳を傾けてみよう。


◆◇◆◇

サッカーこそわが国の自尊心

 アジア最強を自認する韓国サッカー。86年から98年までの4大会連続出場を含む過去5回のW杯出場歴や、今年のシドニー大会で4大会連続五輪出場を数えるという事実が、その自信の裏付けになっている。韓国が"アジアの虎"ともされる所以も、そこにある。

 そして、それら数々の実績は、83年にアジア初のプロサッカー・リーグとして設立されたKリーグの存在なしにはありえなかった。日本サッカーの急成長がJリーグ効果であると同じように、今日の韓国サッカーの躍進もKリーグなしでは語れないのだ。

 そのKリーグは、長らく人気低迷に苦しんできたが、ここ数年は人気絶頂。年間観客動員200万人を超える、空前絶後の活況の最中にある。

 その理由としては、李東国、高宗秀、安貞桓などの若き新世代スターたちの台頭、ファンサービスに力を入れはじめた各チームの経営改革、自主的に自然発生したサポータークラブなどの相乗効果が挙げられるが、もっとも大きいのは韓国人のセン在意識の中にあるサッカーに対する愛情が目覚めたこと。

 現在、代表チームの指揮官を務める許丁茂監督も、「"サッカーこそわが国の自尊心"とするサッカー観が、Kリーグにも注がれるようになった」と目を細めている。

 そうした熱視線が集まる中で、Kリーグが18年目の戦いをスタートさせる。ファン待望の新シーズンが開幕するのだ。


■□
まず大韓火災杯が開幕
正規リーグは5月から

 今年のKリーグは昨年同様、3つの大会が開かれる。

 まず、3月19日から5月5日まで行われる(大韓火災杯)カップ戦。全10チームが、5チームずつA、B組に分けれてリーグ戦を行い、上位2チームがクロストーナメントを戦って、優勝を決める。

 このカップ戦後の5月14日からは、Kリーグの本道とも言うべき、正規リーグ戦(昨年の名称は「バイ・コリアン・カップ」)がスタートする。11月19日まで、各チームが3回戦総当たりで合計135試合の長期戦を繰り広げる。

 Jリーグとの大きな違いは、リーグ戦上位4チームがプレーオフを戦うこと。韓国では、よりスリリングな展開が期待できるポストシーズン制がプロ野球やプロバスケでも採用されているが、Kリーグ人気も例外に漏れず、プレーオフで最高潮を迎える。

 なお、今年はシドニー五輪がある関係上、五輪開催中はリーグ戦を中断。代わって、昨年から実施されている十チーム参加のトーナメント戦(アディダズ杯)が、9月16日から24日まで行われる。また、8月15日にはKリーグ・オールスターが実施される予定だ。

 昨年はチーム創設4年目の水原三星ブルーウィングスが、充実した選手層を駆使した圧倒的強さで、カップ戦、トーナメント戦、リーグ戦の3タイトルを総ナメにした。Jリーグ得点王の黄善洪も加わっただけに、今年も水原三星の快進撃は続きそうだが、何が起こるかわからないのがサッカーでもある。


■□
帰化したロシア選手や
在日同胞初のKりーがーも

 特に今年は、各チームが積極的な戦力補強を実施。これまで少なかった高卒Kリーガーが急増し、韓国籍に帰化したロシア人選手や、在日同胞初のKリーガーも誕生した。

 それだけに、機会がある方にはせび一度、Kリーグ観戦をお勧めしたい。今年は白熱の優勝争いが期待できそうだし、Kリーグには日本とは違った独特の雰囲気がある。何よりも、韓国人のサッカーに対する愛情を肌で実感できるのだ。それを体験すれば、祖国がグーンと身近な存在になることは、間違いないだろう。

(2000.03.15 民団新聞)



この号のインデックスページへBackNumberインデックスページへ


民団に対するお問い合わせはこちらへ