民団新聞 MINDAN
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活力ある在日同胞社会の創造を



 在日同胞社会の繁栄を願い、将来の方向性を決める中央委員会と中央大会が目前に迫ってきました。在日同胞の求心体として半世紀以上、同胞社会を牽引してきた民団が、21世紀に何を志向し、誰を首班にして、どこに向かって進もうとしているのか、在日同胞のみならず本国社会も日本社会も注視しています。

 民団の歴史を紐解くと、解放直後の1946年に創立された頃は、本国への「帰国志向」が一世の大勢を占めていました。ところが、50年の「6・25動乱」の勃発で帰国が足止めされ、二世の誕生などで生活基盤が日本に確立され始めると、徐々に日本への「定住志向」へと様変わりしてきました。

 この価値観の変化を受けて民団は、60年代の韓日国交正常化にともなう協定永住申請運動、70年代の権益擁護運動、そして80年代の外国人登録法改正運動を経て、90年代の地方参政権獲得運動へと、常に在日同胞の生活に密着した運動を展開してきました。同胞とともに地道に歩んできた歴史が、そのまま民団の伝統となり、今日の同胞社会に受け継がれています。


■方針の要は地方参政権獲得

 しかし、日本生まれの二・三世以降の世代が九割を超える現在、若い世代の組織離れが指摘されているのも事実です。それは「本国志向」だけではくくれない多様化した価値観と様々なライフスタイルが、世代交代にともない同胞社会の中で一般化したことを意味するものです。彼らのエネルギーを活用しない限り、同胞社会の先細りは避けられません。

 一世が血と汗と涙を流し、絶え間ない運動の実践で築いた民団の流れを断ち切ることなく次世代に継承するには、在日同胞の要求を反映した方針策定が必要です。方針の要は言うまでもなく、地方参政権の獲得です。第一段階としての地方選挙権は、あと一歩のところまで進んできました。21世紀の同胞社会を担う三・四世が、在日同胞として堂々と日本社会で生き抜くために、在日同胞社会の基礎を築いた一世と責任世代の二世が、民団に結集して力を合わせ、立法化を勝ち取りましょう。

■50余年の実績土台に

 さらに2002年の韓日共催サッカーワールドカップ(W杯)成功に向けた推進では、今年はW杯の実質的な始動元年という共通認識を同胞社会に深く浸透させる年になります。W杯史上初の共催事業の成功のためには、韓半島にルーツをもつ帰化同胞や「朝鮮籍」同胞とのネットワークをも積極的に広げていく柔軟性も求められます。

 それらの課題を実現するために、運動の現場にあっては率先垂範の姿勢で誠実に方針を履行し、同胞から全幅の信頼を寄せられるリーダーが必要なのは言うまでもありません。在日同胞として韓日両国に「民族・人権・共生」の崇高な理想を掲げ、両国に対して是々非々の立場を堅持できる指導性も重要な資質です。

 これまでの50年を超える実績を土台に、同胞一人ひとりに活力ある人生を提示する奉仕団体、生活者団体としてのより大きな責任が、今後の民団には求められています。民団運動の伝統を守りつつ、時代の要求にあった運動方針を決める中央委員会と、「韓日の架け橋」にふさわしい新しいリーダーを選出する中央大会には、厳粛かつ権威ある議事運営が強く求められます。全国70万余の同胞をはじめ、民団を継承する次世代に誇ることのできる中央委員、代議員の英知を期待してやみません。

(2000.03.15 民団新聞)



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