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民族文化で地域の架け橋

20日にアリラン祭り



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同胞と日本人生徒、力をひとつに
"共生の音"こだま

 川崎市南部地域の県立高校3校の朝鮮問題研究会や朝鮮文化研究会が中心になり、在日韓国・朝鮮人が暮らす地域との関係を深めようと3校合同で始まった民族文化祭「アリラン祭」が今年7年目を迎える。

 同地域から出発したアリラン祭も県下に広がり、今年は16校から七十余人の生徒が参加する。在日の生徒同士や在日と日本人生徒をはじめ、地域住民との交流の輪が着実に広がっている。今月20日の本番を前に、生徒たちの練習も追い込みに入った。先月20日には神奈川県立大師高校で事前練習が行われた。

 生徒主体で行われるアリラン祭は、農楽や民族舞踊をはじめ、創作劇、体験発表など多彩なプログラムで構成される。今年は新たに生徒の希望により、テコンドが加わった。

 今年1月から土・日曜日を利用して始まった練習も最終段階に入った。この日、朝から冷たい雨が降る中、農楽の練習に集まった生徒は11人。

 仲間とチャンゴを叩いていた市立川崎高校の池田愛さん(1年)は、小学1年から川崎市ふれあい館の子どもチャンゴクラブで練習を続けてきたというキャリア組。本番では「楽器の中で一番好きなケンガリを叩きます」と満面の笑顔が返ってきた。

 ふれあい館職員の林慶一さんの指導のもと、チャンゴやプクなどの楽器を手にした生徒たちがウォーミングアップを開始。楽器を叩きながら円を作っていく。「足並みをそろえて」「綺麗に円をイメージして」など林さんのきめ細かな基本動作の説明が体育館に響き渡った。

 練習に付き添っていた大師高校の鈴木市朗教諭から「もっと楽しそうに」とかけ声がかかるほど、全員が真剣そのもの。

 一、2年の時、プクを担当した県立川崎高校の〓求永さん(3年)は、今年初めてケンガリを叩くため「緊張している」とちょっぴり不安そうな顔。先輩に誘われたのがきっかけと話す県立多摩高校の河野麻衣子さん(2年)は、「アリラン祭に参加して初めて在日のことを知りました」と話したうえでとても有意義だという。

 休憩後の練習は気迫さえ感じられる緊張感の中、ケンガリを中心に、皆を引っ張っていく。本番さながらの練習は続いたが、多少、余裕が出てきたのか、生徒の顔にも笑顔が見えた。

 「アリラン祭」事務局の県立川崎北高校の福本修教諭は「アリラン祭の原点は日常的に在日の生徒を参加させたいということ。3月20日が最終目的ではなく、その過程が目的であり、出会いが重要です。この出会いを大事にしてほしい」と話す。また、福本教諭は昨年の同祭の舞台あいさつに立った在日の生徒が「本名宣言」したことも大きな成果だと付け足した。

 今年は在日以外に、中国、ブラジル、チリの生徒たちも参加するなど、出会いの場が広がっている。

(2000.03.15 民団新聞)



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