民団新聞 MINDAN
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第53回中央委員会

辛容祥団長のあいさつ



参政権の前進、団結の賜
次世代たちが誇れる民団を

 組織一線で苦労されている中央委員の皆さん。このたびの中央委員会は本当に歴史的な中央委員会です。新しい1000年を迎え、21世紀を見通しながら過去1年を振り返り、前途に向けて方針を決定しなければならない重要な会議です。

 昨年は本当に多難な1年でした。いわゆる「手形問題」と朝鮮総連による地方参政権運動の妨害で、私たちの組織活動に大きな支障があったことも事実です。


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参政権運動が着実に前進

 そのような渦中にあっても各支部および地方本部、中央本部は揺さぶられることなく、参政権運動を着実に前進させてきました。昨年10月、自民党、自由党、公明党の三党連立政府が発足した時、「三党合意」で私たちの参政権問題を議員立法で制定するとの公約をしました。

 続いて、今年1月21日には、自由党と公明党が法律案を提出し、審議日程の調整だけを残す段階となりました。ここまできたのは、再言するまでもなく、本日お集まりの中央委員の皆さんと各地方の幹部や団員の多くの苦痛と努力の結果と言えます。ここに深甚なる敬意と感謝の意を心から表する次第です。

 また、金大中大統領を中心とした本国政府が在日同胞の参政権獲得のために、首脳会談、閣僚会議など、機会があるたびに日本政府や政治家に要請して下さいました。それだけでなく、本国にいる外国人に地方選挙権を付与する法律まで制定された努力に対し、衷心より感謝いたします。

 私が1994年に第四十四期の中央団長に就任してから本格的に開始した地方参政権運動が現在、日本国会で立法化を目前にした段階に達しました。私たちは力を合わせ、今年中には必ず参政権を獲得するよう全力を尽くしましょう。


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同胞全体の求心体として成長

 過去6年間は私なりに参政権運動を中心に全力を傾注したと自負しています。その間、「阪神大震災」が起きたときは、全国の同胞が自発的に救援活動を展開しました。また、民団の半世紀にわたる歴史を総括し、次の50年に力強く前進するために「創団50周年」行事も皆さんと共に執り行いました。さらに、機関紙の題字を「民団新聞」に変えると同時に全世帯に直送する体制を実施し、今では十万部の発送態勢となりました。民団は情報化時代に呼応し、在日同胞全ての家庭にまで情報網を完備して在日同胞全体の求心的な役割を果たすことのできる存在として発展しました。

 私たち執行部は過去6年間の少ない実績とはいえ、この実績を土台に、近づいてくる21世紀を開く民団の方針を真摯に検討していただくのが、第53回定期中央委員会の歴史的な任務だと思います。

 もちろん、翌日の第46回定期中央大会で新しい執行部が選出されますが、誰が当選しても民団としてなさねばならない持続的な方針と事業は確定しなければなりません。まず、地方参政権獲得に関しては、当面する最重要課題としてこれ以上強調する必要がないと思います。

 次に、私たちの信用組合の問題です。これは韓信協が主導となり、自主的に統合再編を成し遂げなければなりません。私の任期中にこの問題の先頭に立ち、手助けすることができず、非常に心苦しく思います。

 しかし、次期執行部は次世代の経済活動において後ろ盾となる民族金融機関の健全育成に、民団と韓信協、商工会が一体となり、統合再編を一日も早く成し遂げ、無限競争時代を克服することができるよう優先していただくようお願いするものです。それ以外にも組織の今後の方針、民族教育、文化活動、そして団員の福祉問題等など持続的な課題が山積しています。

 尊敬する中央委員の皆さん。最後に、団長職を離れる者として皆さんに切なるお願いがあります。私の任期6年中に昨年1年ほど苦痛に満ちた年はありませんでした。辛容祥執行部時に起きたものでもない、いわゆる「手形問題」による組織の混乱と組織に対する不信、そして権威が大きく損傷したことについて、本当に心苦しく骨身にしみて反省をしました。


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民団を守る基本立場

 しかし皆さん。民団に実損もなく、実利もない問題で他人を誹謗、中傷する謀略行為だけは、とうてい容認することはできません。今後も絶対に許してはなりません。

 少なくとも在日同胞の組織のために、かつても今も仕事をしている人間ならば、まず民団を守るという基本立場に立ち、組織内部の問題はどこまでも組織内部で解決しなければなりません。今後は二度とこのようなことがあってはなりません。次の団長に誰がなっても失った組織に対する信頼、毀損された権威を正しく打ち立てるために全力を尽くし、民団を愛し、大切にし、三・四世に引き継ぐ時には、誇ることのできる民団を作り上げましょう。

 尊敬する中央委員の皆さん。この6年間、皆さんと一緒に仕事をすることができたということを、誇らしく思います。皆さんが私を信じ、力を補っていただいたことに対しても終生忘れることのできない恩恵だと感謝いたします。

 このたびの中央委員会が多くの任務を果たすものとなることを祈りながら、私の挨拶に代えます。

(2000.03.22 民団新聞)



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