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光州ビエンナーレ、3月29日に開幕

新千年の文化、世界へ発信



◆テーマは「人+間」
 6月まで71日間

 アジアで最大の100万人規模の現代美術展、2000光州ビエンナーレが、いよいよ29日から始まる。3回目となる今回の展示主題は「人+間(Man+Space)」。人間本来の姿に立ち返り、新しい1000年に文化と芸術、個人と地域社会など、美術を通じた文化ビジョンを、アジアから世界に向けて発信しようというものだ。光州市内の仲外公園一帯で開かれる展示・映像・祝祭行事の調和は、6月7日まで71日間にわたり開催される。

 今年のビエンナーレの特徴は、前2回よりもさらに「アジア色」を鮮明に出し、日本との関係や交流も広がりを見せていることだ。

 ビエンナーレホールの本展示では、ヨーロッパと北米の作家の作品がそれぞれ17%であるのに比べ、アジアの作家の作品が22%で一番多く、地元韓国の作家の作品と合わせると37%を占めている。特別展と合わせた216作品を見ると、韓国が65、日本が27、北韓が15など、アジアの作品は120を数え、全体の約56%にもなっている。

 また、展示構想や作家を選ぶコミッショナー、キュレーター役に今回初めて日本人2人を登用した。光州市立美術館での特別展では、「韓日現代美術の断面」と題して、70年代の両国の作品を対照する。


◆世界の216作品展示
 さらに"アジア色"鮮明に

 主題の「人+間」では、普遍的に人権を備えた人間と人間を取り巻く環境などのスペースへの問いかけを行い、その答えを模索する。1995年から2年おきに秋に開催されてきたビエンナーレを、今回は時期をずらして開催するようになったのは、今年が80年5月18日に起きた「光州民主化運動」の20周年に当たることから、人間性や人権を焦点化しようとした意図が伝わる。

 特別展の「芸術と人権」では、人権を軸に芸術を考えてきたキュレーターの針生一郎・岡山県立大学教授(日本美術家評論家連盟会長)が、「一人の命は地球よりも重い」との思想を展示する。針生教授は獄中にあった金大中氏、金芝河氏の救出運動など、70年代から韓国の民主化運動に関わってきた。

 このほか、ビエンナーレに最初から携わってきた在日韓国人文化芸術協会の河正雄会長が、人権をテーマに生涯かけて集めた683点の作品を寄贈した光州市立美術館で特別展「在日の人権展―宋英玉とソウ良奎そして在日の作家たち」を開催する。ここでは現在活躍中の在日作家をはじめ、21人の作品が資料を含め約150点が公開される。

 ビエンナーレ期間中は様々な文化行事が目白押しだが、日本関係のイベントを紹介すると、4月3、4日には埼玉県・秩父の「秩父屋台囃子」が披露される。4月15日から23日までは「韓日親善交流」で、両国の伝統文化が競演する。5月5日は福岡県の「玄海古賀太鼓」と現代の電子音楽が合体する。いずれも仲外公園野外公演場で鑑賞できる。

 光州市では昨年5月から日本文化を紹介する企画「日本週間」を始めているが、ビエンナーレ閉幕後には谷新コミッショナー(宇都宮美術館館長)が選んだアジア部門の作品が、7月29日から8月20日まで新潟県民ギャラリー、9月2日から10月22日まで宇都宮美術館で公開される予定。ビエンナーレ作品が巡回するのは、初めてのことで、韓日文化の相互交流が大きく広がりそうだ。

(2000.03.22 民団新聞)



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