民団新聞 MINDAN
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不法入国は3年で時効

不法在留処罪を新規定



一、はじめに

 99年8月13日に成立し同年8月18日に公布された「出入国管理及び難民認定法」(以下、入管法と略称)の改正法が、2000年2月18日から施行されました。

 この改正法については、さまざまな議論が今回の各議院で行われました。特筆すべきは、2人の在日韓国人が参議院と衆議院の法務委員会で参考人として意見を求められたことです。が、改正案は日本に在留する外国人に対して抑圧的内容を含むため、「改正」ではなく「改定」にすぎないと評価されているところでもあります。

 いずれにしても、その変更点には重要な内容が含まれているので、そのポイントと問題点について解説いたします。

 また、改定法では特に、5万人以上在留するといわれる不法入国、不法残留の韓国人に対して、極めて厳しい処遇を規定しておりますので、その処遇に関する退去強制手続と特別在留許可の実際について解説していきます。


二、改定の概要

 今回の入管法の改定点のポイントは三点あります。第一は、不法在留罪の新設、第二は、不法残留者等の上陸拒否期間の伸長(1年から5年へ)、第三に、再入国許可有効期間の伸長(1年から3年へ)です。


三、不法在留罪新設

 今回、不法入国や不法上陸した外国人がそのまま日本に在留している場合には、不法入国罪の他に不法在留罪を新設し、その不法入国以外にも不法在留も処罰されるようになりました。この立法趣旨については以下のように説明されております。

 従来、不法入国や不法上陸した場合には不法入国罪だけが成立し不法残留罪が成立しなくなるのは不当であり、特に不法入国罪の公訴時効が成立した後は全く犯罪が成立しなくなってしまうので、その不都合を解消するために不法入国罪を新設する必要があると説明されております。

 これに対して、従来の不法残留罪のみで足りるのではないか、犯罪構成要件として曖昧ではないかとの批判があります。

 ただ、この不法在留罪については誤解をしないように注意しなければなりません。これは、単に不法滞在(オーバーステイ)をした者を処罰するために新設されたものではないのです。

 旧来の入管法でも、第70条第5号で在留期間を変更・更新なくして超過して在留する、いわゆるオーバーステイの外国人についても懲役又は禁固3年以下、罰金三十万円以下という不法残留罪が定められているのです。

 今回の改定法は、不法入国して不法滞在した者は、旧来の入管法では、不法入国の点でしか処罰されず、不法滞在の点はそもそも在留期間がないので不法残留罪としては処罰されないという問題を解決するために用意されたものなのです。

 現在、不法入国者の長期滞在化が問題とされる中で、不法入国罪は不法入国から3年経過すると時効が成立して処罰できなくなるので、さらに、不法入国後の不法滞在を処罰するための規定を設けたのです。


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崔国際行政事務所(東京都渋谷区代々木2-23-1-856)電話03(3320)7260

(2000.04.05 民団新聞)



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