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兵庫県が入居差別解消へ統一カード

本籍・国籍の記入欄をなくす



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民団兵庫の働きかけ実る
県内全宅建業者に使用指導

 【兵庫】兵庫県は在日外国人に対する入居差別を解消するため、「賃貸入居申込統一カード」の使用を業界団体へ働きかけている。この統一カードには本籍や国籍の記載欄はなく、使用が徹底されれば出自を理由にした門前払いは少なくなるものと期待されている。98年から始まった民団兵庫県本部(李且守団長)の働きかけが実った。

 「入居申込カード」は兵庫県建築指導課が考案、6300の業者が加盟する県宅建業協会など県内2団体と、団体に加盟していない117の業者に対して2月28日付けで通知した。通知では入居差別解消への理解を求め、カードの利用を求める文書を添えた。

 従来、入居希望者が記入する申込書の様式は、不動産仲介業者が独自に定めてきた。この中には入居希望者の本籍や国籍を記入する欄が設けられていたが、新しいカードでは削除されている。また、これまで日本人が一般的だった保証人についても、国籍を問わないことにしている。身分を明らかにする書類としては、住民票の代わりに登録原票記載事項証明書なども使えるようにした。

 県では「(本籍など)日本人では書けることが、外国人には書けないのはおかしい。誰が来ても書けるようにしたかった」という。ただし、県としても「入居差別を解消するための啓発の一環」と話すなど、行政指導の枠内にとどまっているだけに、「どこまで浸透するか」が今後の課題となっている。このため、年に2回は抜き打ち検査を実施することで使用の徹底を促していく考えだ。

 在日外国人への入居差別解消に取り組んでいる民団兵庫県本部でも「きちっと業者の中で徹底されるのかどうかが課題。統一的に使用されれば、これまで巧妙に行われてきた入居差別も少なくなる。これからも県の行政指導、働きかけが欠かせない」(金相英国際副部長)と話している。

 同本部権益擁護委員会が98年10月、県内の在日韓国人322人を対象に「入居差別実態調査」したところ、外国人であることを理由に仲介業者や家主から何らかの入居差別を体験した回答者は約四割に達していた。

 事実を重く見た民団側では、県の都市住宅部や宅建協会、法務局人権擁護課との懇談の席で入居差別の是正を要望してきた。また、全日本不動産協会兵庫県本部が主催する講演会に民団側から担当者が招かれ、啓発する場面も見られた。

 金国際副部長は「この間、協会、行政、民団との間で一定限の連携ができてきたのが大きい」と述べた。

(2000.04.19 民団新聞)



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