民団新聞 MINDAN
在日本大韓民国民団 民団新聞バックナンバー
済州「4・3事件」の特別法施行

同胞有志が歓迎集会



共同記者会見に臨んだ
在日同胞有志。左から金石範、金時鐘
1人置いて梁石日、金重明の各氏

■□
「歴史の闇に光を」

 韓国政府による「済州4・3事件真相究明と犠牲者名誉回復に関する特別法」が近く施行されることになったのを受けて、在日同胞有志が15日、東京・千代田区のスペースY文化センターでの共同記者会見に臨み、歓迎と期待の声明を発表した。

 「4・3事件」をテーマにした長編小説『火山島』を発表してきた作家の金石範氏は「歴史の闇が半世紀ぶりによみがえる。こんなにも早く法律ができるとは夢にも思わなかった」と感慨無量の面もちだった。

 「4・3事件」の忌まわしい記憶を引きずっている当事者でもある詩人の金時鐘氏は、「生野区では済州道を原籍とする在日は4月から夏にかけて法事をするが、自ら遺族とは言い出せず、声も出せないできた。深閑としたものだ。特別法が制定されれば、隣り同士寄りあえる本来の法事ができるのでは」と喜んだ。

 また、作家の梁石日さんは「60歳以下の世代には事件そのものを知らないという人も多い。若い世代にどう理解してもらうかが課題」と述べた。

 この後、記念講演会が行われ、金時鐘氏ら3人が52年前の事件を振り返った。このうち、韓国で12年間にわたり事件の掘り起こしに努めてきたジャーナリストの梁祚勲氏(済民日報前編集局長)は、「真相究明のためには在日同胞の証言が重要になる」と強調した。


◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


済州「4・3事件」とは

 東西冷戦下の1948年、済州で起きた武装ほう起事件。

 警察や本土から来た反共組織の横暴に不満を募らせた島民の一部が全域でゲリラ化した。韓半島の南半分だけで1948年5月10日に実施される選挙を「祖国を分断するもの」と反発、4月3日に島内の警察署を一斉に襲撃した。

 軍や警察による鎮圧は1957年ごろまで続き、当時の島民八万人のうち約3万人が虐殺されたといわれる。事件のあおりで、多くの島民が日本に逃れた。

 韓国国内ではこれまで長い間、事件を語ることさえタブー視されてきたが、金大中大統領は大統領選前から事件の真相解明と「共産主義者」としてひとくくりにされてきた犠牲者の名誉回復を約束していた。

(2000.04.19 民団新聞)



この号のインデックスページへBackNumberインデックスページへ


民団に対するお問い合わせはこちらへ