民団新聞 MINDAN
在日本大韓民国民団 民団新聞バックナンバー
辛野乃の短期母国修学記<10>

「ソウル交通事情」



 私は二十歳過ぎに交通事故に遭ったため、今でも少し足が不自由だ。特に坂道や階段を下る時には神経を使う。が、エスカレーターのある地下鉄駅は少ない。韓国内の道路は私のような体には不向きに出来ていると感じることがままある。

 横断歩道の青信号が短いのは有名だが、その横断歩道も大きな道ではあまりない。地下道や歩道橋まで大きく迂回しなければならないのだ。歩道にも突然大きな穴があいていたりするので油断できない。とにかく道を歩くだけで疲れてしまう。

 そして、ソウルでバスに乗れたら一人前だと聞いたが、たしかにこの複雑で危険な乗り物に乗るのは勇気がいる。市内バスだけで千本以上の路線があるのに、路線図案内の本(街角の店で買えます。千ウオン)の役に立たないこと!また、バス停の前後二十メートル位に適当にバスが止まるため、目が離せない。やっと乗り込めば急停車、無謀な路線変更とジェットコースターにも負けないスリルを味わわされる。

 自家用車やタクシーもまた同じ。人の有無関係なしに右左折、バック、中には歩道を走る車もある。地下鉄やバス内で席を譲る光景は日本よりも多く見かける。なのにその精神がどうして車に乗るとなくなってしまうのだろう?

 「それが韓国さ」と言う人もいるが、私はそうは思わない。弱者が住みやすいと思える街が、本当の「人間が生きる街」のはず。韓国は早く車優先社会をやめるべきだ。

 二〇〇二年には、世界中から来た人たちが、日本と韓国を比べることだろう。しかし、道路や交通事情は文化の違いとは関係がない。

 一日でも早く改善されることを望む。まずは意識改革から!

(2000.04.26 民団新聞)



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