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民族金融機関の早期銀行化を



 先日、在日韓国人信用組合協会(韓信協)が全国の会員組合を統合して新銀行を設立する(普通銀行転換)方針を発表しました。

 発表のなかで、従来の全国6ブロックの統合を進めてきたこれまでの方針を、金融の自由化、国際化の進展等を考慮して更なる経営基盤の強化と在日韓国人社会全体に質の高い金融サービス・資金供給機能の拡充を図るため、新銀行設立することで基本合意に達したことを表明しました。


■優先される経営基盤の強化

 民団はこれまで、会員組合の出資者や預金者のほとんどが私たち同胞であることを踏まえて、彼らの代弁者として、昨今の厳しい金融情勢のなかで民族金融機関が存続するためには早期の統合・再編を進める必要があると訴えてきました。

 今回の銀行化の発表は遅すぎた感は免れませんが、紆余曲折を経て打ち出された最終方針であり、歓迎するとともに今後の推移を見守りたいと思います。

 そもそも、3年前の韓信協総会で出された「全国六ブロックの統合・再編」の背景は、日本政府の金融機関再編・淘汰を図る政策への対応と、これまでの民族帰属意識に依存した経営体制から脱皮するには経営基盤の強化しかないとの認識からでした。

 4月から信用組合の検査・監督権限が都道府県から金融監督庁に移管され、7月から一斉検査が実施されます。算定方式がこれまで以上に厳しくなると伝えられている金融監督庁の検査に耐えられるだけの体力、即ち自己資本の確保が信用組合に求められています。

 日本の信用組合は総じてバブル期の不動産融資の拡大が響き、また長期化した不況による取引先である中小・零細企業の業績悪化で、不良債権処理に苦悩しているのが現実です。ですから、韓信協のブロックごとの再編が遅々として進まなかったことも理解できないわけではありません。


■健全な金融機関を残すために

 しかしここ数年、日本の銀行の貸し渋りから、倒産した多くの同胞企業が存在します。本来、こうした状況で、手を差し伸べるのが民族金融機関の役割であるはずです。このような状況を鑑みれば再編の速度を上げなければなりません。

 世界的な金融自由化による激動のなかで、生き残るためには同胞社会の力を分散せず、結集すべきです。

 金融機関が淘汰されるこの時期、弱者消滅、強者存続の厳しい時代や経済不況が継続している現実を直視する時、民族金融機関の再編は時代のすう勢です。

 2002年4月からのペイオフ、その兆候は遅くても1年前に始まります。また、再編に向けた実務処理を考えれば残された時間は僅かです。

 民団はここ数年、重要活動として、地方参政権獲得運動とともに、民族金融機関の育成を掲げています。なぜならば、ともに21世紀を見据えた在同胞社会を語るうえで重要な問題だからです。

 来る21世に向けて子々孫々が在日同胞として日本社会の地域住民として安住するためには同胞社会の経済安定が必要であり、民族金融機関は不可欠です。

 6月に開催される各会員組合の総代会では民族金融機関の存続に向けてその真価が問われています。

 同胞社会の未来のために健全な民族金融機関を残そうとする使命感に立ち、一刻も早い銀行化を求めるものです。

(2000.05.24 民団新聞)



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