民団新聞 MINDAN
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辛野乃の短期母国修学記<12>

不思議の国の私



 切れ長の眼と一重瞼。高い頬骨とえらの張った輪郭。これは私の顔の特徴である。同時に韓国人の特徴でもあるだろう。日本生まれの三世といっても血というのは受け継がれるモノ。もちろん食生活の違いなどによって少しずつ変わることもあるかもしれないけれど。

 ある日のこと。テレビをつけると、日本から来た2人の男女にタレント6人ほどがインタビューをしている。要所要所で韓国人と日本人の顔立ちの違いや、日本の文化を紹介するビデオが流れ、その点について2人が詳しく説明をしている。しばらく見ていてやっと分かった。題して「どちらが在日?」である。

 結果は3対3で票が割れてしまうのだが、私は気分が悪かった。日本で生まれても、その他のどこで生まれようとも、同じ「人間」である。しかし在日に対して、動物園の珍しい生き物を見るような目線を、この番組を創った人に感じた。

 街に出れば、何故在日は韓国語を話せないのかとエイリアン扱いする人もいる。アメリカ僑胞は云々と言う人もいるが、語学堂の西洋人クラスの半分近くは海外僑胞である。また、中途半端に在日を知っている人は「金持ち」とみるか「同情」するかどちらかだ。ある人に「普通の在日は帰化するのに、何故お前はしないのか」と言われて大喧嘩をしてしまった。

 無知ゆえの無邪気な一言ほど人を傷つけるものはない。中にはこんな体験に耐えられずに帰る人もいると聞いた。しかし、息をひそめて生きてきた側にも責任の一端はあるのではないだろうか。もう隠れて生きることはしたくない。

 だから私は何があろうと堂々と言うことにしている。

 「私は在日です」。

(2000.05.24 民団新聞)



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