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独居老人宅中心に戸別訪問

横浜の「鶴見韓国人無窮花会」



月1回の定例会でくつろぐ「鶴見韓国人無窮花会」
メンバー。右端が鄭南徳会長
(21日、綱島ラジウム温泉で)

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国境を越えて福祉サービス
NPO法人認証で家事援助

 【神奈川】横浜市内の在日同胞老人会「鶴見韓国人無窮花会」(鄭南徳会長)が特定非営利法人(NPO)資格を取得、鶴見区とその周辺を中心に国籍・民族を超えた保険・医療・福祉サービスに取り組み始めた。高齢化が急ピッチで進むなか、地域共生の新しいモデルケースとして今後の活動の広がりが期待されている。

 同老人会は民団鶴見支部団員を中心に構成されている。会員相互の親睦と相互扶助を旗印に6年前から活動を始めた。会員は現在82人を数える。

 毎月1回、鶴見区内の健康ランドで開く定例会にはメンバーが韓国料理を持ち込み、食事をしながら交流を深めている。このほか、一週間に3回程度練習を行うゲートボールもメンバーの楽しみの一つ。

 しかし、なかには体の不調を訴え、親睦会に参加したくても思うようにいかないという会員も出ている。そうした会員には役員自ら週2、3回、家庭訪問して身の回りの世話にあたっているが、任意団体のままでは、県や市の協力を取り付けようにも限界があった。

 このため、介護保険制度がスタートするのに合わせてNPO法人資格を申請、今年2月に県から「福祉法人無窮花会」(設立代表者、鄭南徳)として正式に認証を受けた。定款に記載された「目的」には、「在日韓国人を始めとした全ての県民に対して、老後の安定と福祉事業を行い、高齢化社会に寄与する」とうたった。これからは行政とタイアップした事業も可能になり、実績次第では補助金を受けられそうだ。

 鄭さんは親睦会としての「鶴見韓国人無窮花会」の運営に携わりながら、一方ではNPO法人として独居の独居老人、障害者、病弱者を対象に今年から生活支援サービスを始めた。スタッフ8人のうち3人はホームヘルパーの有資格者。寝たきり老人を中心に家事援助、食事の世話、介護などの仕事に携わっている。

 スタッフの1人、朴順徳さん(法人福祉無窮花会理事)はホームヘルパー2級の資格を持つ。同胞高齢者宅では韓国語で会話し、手作りの韓国料理で家事援助に励んでいる。

 鄭さんは、社会福祉法人青丘社(李仁夏理事長)が川崎市桜本町で運営している同胞高齢者サークル「トラヂ会」を目標としているという。李理事長も、青丘社が培ってきた経験とノウハウの提供を約束、「一緒に交流を」と呼びかけている。国籍を超えた社会福祉の輪はこれからさらに広がりそうだ。

(2000.05.24 民団新聞)



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