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在日へのメッセージ

氷室興一(日本テレビ政治部記者)



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議論を尽くすのは誰か

 私たちが昼間、情報収集にまわる国会議員会館に今、議員の姿はほとんどない。1票でも多くかき集めようと議員は勿論、秘書たちまでも地元に戻ったきりだ。細々と開かれている委員会は、与野党問わず欠席が多いため国会運営担当の議員が同僚に出席を呼びかける有り様。この「選挙モード」のせいで定住外国人への地方参政権付与法案は、あっさり廃案になることが決まった。

 永年の運動や金大中大統領の度重なる要請により気運も盛り上がってきたのに「議論が尽くされていない」という廃案の説明が果たして説得力を持つだろうか。同様に青少年犯罪者への罰則強化なども「議論が尽くされていない」との理由で選挙後まで放置されることになる。先ず議論をしなくてはならないのは議員でなくして誰なのか?

 週初に行われた日韓首脳会談も日帰り出張。法案審議や外交日程よりも選挙日程が優先されすぎてはいないか。一方で自民党各派の資金集めパーティーは盛大に開催され、全てに森首相が出席しているのである。

 こうしたダレた雰囲気を引き締めるのが「落選運動」、投票予定日の来月25日に向け今後、盛り上がってくるはずだ。本場では金大統領が政権与党に有利になると見て運動を制止しなかったと伝えられる。その結果、名指しされた候補の7割が落選の憂き目にあったが、日本では自治省などの「指導」も予想される。期待を持って見守りたい。それにしても、(こう書くとお叱りを受けるかも知れないが)10数年前まで軍人出身の大統領がいた韓国から、こうしたシステムが輸入されるとは。日本が遅れているのか韓国が進んでいるのか。いずれにせよ画期的だと思う。

 さて文末に私事を書くがお許し願いたい。先週、北京支局への7月赴任を言い渡された。今後、中国から「在日へのメッセージ」をお送りできるのか。いつも締切ギリギリの私に、海を挟んでの原稿催促では民団の局長さんも御不安だろう。今後どうなるかは数カ月後に分かります。

(2000.05.31 民団新聞)



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