民団新聞 MINDAN
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辛野乃の短期母国修学記<13>

「美しければそれだけでいいですか」



 ある日の特別授業で映画鑑賞が行われた。上映された映画は「ピョンジ(手紙)」。大恋愛で結ばれた二人だが、夫は病に倒れ、死んでしまう。悲しみのどん底にいる彼女宛に、亡くなった彼からの手紙が届く。

 ありきたりといえばそうなのだが涙腺を刺激され、今にも涙がこぼれそうになったその時、大画面に映る主人公の顔を見て興ざめしてしまった。それは彼女の鼻が不自然だったから。隣では友人がため息をついていた。

 韓国では美容整形に対する考え方が日本とは随分違うように思える。どちらかというと韓国の方が積極的だ。大学の合格祝いに、両親からプレゼントされることもあると聞いた。

 整形の理由を聞くと「美しくなりたい」、「就職試験の時に有利」などなど。外見よりも、人前での大あくびやラーメンを食べながらレジをするといった行動の方が問題だと思うのは日本的な考え方なのかしら。

 気になったのは、女性を選ぶ基準という男子学生の間にある言葉。「10代は顔、20代はスタイル、30代では性格」なんだって!

 日本も似たようなものかもしれない。ただ、女性の反応が違う。

 韓国の会社ではいまだに女性が昇進していくことは難しい。そのため、「美しい女」になって旦那様を探す。そうすれば幸せになれる、そんな考え方が根強くあるのだ。

 幸せには自分の力でなるものだし、ものごとの基準が偏った社会はゆがんでいくと私は思う。どこかの国が陥ってしまった道に韓国も進んでいるのだろうか?

 美しくなければ女ではない、勉強ができなければエライ人ではない、日本人でなければ人間ではない…。

(2000.05.31 民団新聞)



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