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「三国人発言」で石原知事が民団に陳謝

金宰淑団長「2度とないよう」と要請



石原都知事(左)から釈明を聞く金団長
(左から2番目)ら民団幹部

 4月9日に陸上自衛隊練馬駐屯地での創隊記念式典の「三国人」発言で在日韓国人をはじめ、内外から批判を受けていた石原東京都知事は24日、民団中央本部の金宰淑団長に対して、本意ではなくご迷惑をかけたと陳謝した。

 金宰淑中央団長は同日、都庁で石原東京都知事と面談し「三国人」発言等の真意について知事から直接釈明を聞いた。

 石原知事は「三国人」発言について「これは私の本意ではない。皆さんにご迷惑をかけた」「三国人とは皆さんのことを言っているのではない。書いた記者が誤って伝えたものだ」と釈明した。

 これに対し金団長は「日本の社会で生活している私たちは過去つらい思いをしてきたので、ちょっとした言葉でも敏感である。今後、知事として二度とこのようなことがないよう慎重にやっていただきたい」と要請した。

 また金団長は、「阪神大震災の時は、日本人、外国人の分けへだてなく住民としてお互いに助け合った」と当時の状況を述べたのに対し、石原知事は「私は関東大震災のことは言っていない。(当時のようなことは)決して起きないことだ」と言明した。

 さらに石原知事は「日本は単一民族ではない。私は韓国にも友人知己がたくさんいる。今後とも在日の皆さん、市民、都民として力を貸していただきたい」と述べた。

 民団では4月9日の陸上自衛隊練馬駐屯地での創隊記念式典の石原都知事発言以降、知事が自らの発言の真意を直接、当事者の在日韓国人を代表する民団の代表に会って釈明することを要請してきた。

 この間、具文浩副団長が数度にわたり副知事等と会い、知事の陳謝の言葉を間接的に聞いてきた。この日の懇談は、石原知事がむしろ自ら誤解を解くために望んだもの。

 金団長は懇談の中で、「都政の中で外国人の人権を尊重する具体的な施策をとってほしい」と要請したのに対し、知事も「口だけの友好でなく、具体的なプロジェクトを考えてみたい」と答えた。

 懇談には、都側から、福永副知事、青山副知事、浜渦特別秘書、中村知事室長、本団から具文浩中央副団長、夫昇培東京本部団長、徐元テツ国際局長が同席した。


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これまでの経緯

▼4/9 陸上自衛隊練馬駐屯地での創隊記念式典で石原知事が「不法入国した三国人、外国人の凶悪な犯罪が繰り返されており、大きな災害が起きたら騒擾事件が予想される。警察には限度があり、災害でなく治安の維持も遂行してもらいたい」と暴言

▼4/10 民団、「東京都知事の妄言をただす声明文」を内外に発表

▼4/12 石原都知事、記者会見。「三国人」撤回せず、治安出動発言も抑止力と強調

▽太田房江大阪府知事コメント発表「『第三国人』という表現は、歴史的経過から見て差別感を伴って使われたものであり、極めて不適切な言葉だ」

▼4/14日 都知事が再度記者会見をもち、公式談話発表

◇談話文(全文)「不法入国した外国人のことを『不法入国した三国人』と表現しました。このことが在日韓国・朝鮮人をはじめとする一般の外国人の皆さんの心を不用意に傷つけたとしたら、それは私の本意ではなく、遺憾です。一般の外国人の皆さんを傷つけるつもりはないので、今後は、その言葉を一切使わぬようにします」

▼4/19 都知事、都議会民主党に一歩踏み込んだ遺憾の意の文書提出

▼4/20 民団、副知事と面談

▼4/28 民団、副知事および政策特別秘書と面談

(2000.05.31 民団新聞)



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