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南北首脳会談にかける期待



 南北韓首脳による歴史的な会談が6月12日に平壌で行われようとしています。会談合意以降、在日同胞の韓半島の冷戦終結と平和定着への期待は高まるばかりです。


■南北関係一段階昇華の転機に

 南北韓は、互いの誤解と不信、葛藤と反目を重ねながら対立的関係を維持して半世紀が過ぎました。その間、南北韓は痛恨の分断状態を解消するため、少なからず自主的な努力を傾注してきました。すなわち南北当局間の公式対話と会談は400余回を超え、民間次元でも、主に韓国住民を中心に1万2000余人の南北住民が互いの地域を訪問する実績を見せています。72年には「7・4南北共同声明」により自主・平和・民族大団結という「祖国統一三大原則」に合意し、85年には分断史上初の離散家族の故郷訪問団および芸術公演団がソウルと平壌を同時訪問する凱歌をあげました。

 続いて92年には「南北間の和解と不可侵及び交流に関する合意書」および「韓半島の非核化に関する共同宣言」が採択・発表されました。これ以外にも決して少なくない接触と交流があり、94年には当時の金泳三大統領と金日成主席間で初の頂上会談が開かれる直前まで行きましたが、金主席の突然の死亡で結実しませんでした。

 このような状況下で合意に至った首脳会談は、半世紀の間足踏み状態にとどまっていた南北関係を一段階昇華させる決定的転機として大きな関心を集めているのです。

 しかし、このたびの首脳会談で活目すべき成果を得ようとすれば、いくつか前提条件が必要となるでしょう。

 何よりもまず慎重な議題選択がなければならないでしょう。すなわち、南北双方が共感し、実行に移せることから接近する姿勢が必要です。南北双方に政治的に負担を与える問題よりは、非政治的な次元の経済交流・協力問題と人道主義的次元の問題が優先されなければならないでしょう。例をあげれば、これ以上座視することのできない離散家族の面会・故郷訪問問題、そして体育・芸術・学術など社会文化的部分の交流・協力を活性化させることのできる問題になるでしょう。


■平和共存新時代築く共同声明を

 もう一つは、南北のトップが過去55年間継続してきた敵対と反目の関係を清算し、和解と協力、平和共存の新時代を開く共同声明が発表されなくてはなりません。声明には早期の平和統一達成のための努力と92年の「基本合意書」と「韓半島非核化宣言」の根本精神が含まれなければならならないでしょう。

 次いで南北関係の懸案解決と交流・協力促進のための長期的かつ巨視的次元での当局間会談の定例化が定められなければならないでしょう。この問題は現在のような南北当局を排除した状態での交流・協力は、その規模や範囲が制限されざるをえないために、今後の交流協力活性化のため、南北トップが「特段の処置」に合意するのは、非常に重要だと思います。そして経済交流・協力を活性化させるためには投資保証協定や二重課税防止協定などに関連する原則的な合意も必要となってくるでしょう。

 一方、南北分断と同様に、在日同胞社会も半世紀にわたって分裂と抗争を繰り返し、対峙してきました。このような状況を打開できる機会になるか否かと、在日同胞も今回の首脳会談の行方を固唾をのんで見守っているのです。

 会談が成功すれば、民団も在日同胞社会の和解と統一に向けて一層の努力をしていかなければなりません。

(2000.06.07 民団新聞)



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