民団新聞 MINDAN
在日本大韓民国民団 民団新聞バックナンバー
辛野乃の短期母国修学記<14>

未来を開く鍵



 語学堂に通う学生の約半数が日本から来た人達で、そのまた半数くらいが在日である。日本人の中には仕事で来ている人もいるし、韓国料理を学ぶために来た、といったような確たる目標がある人もいる。が、韓国に旅行で来てみて楽しかったから語学堂に入学したという人が意外に多い。

 日本からの旅行者が増えたことで、韓国に興味を持つ人が出てきたのはいいが、この人達のほとんどが「在日」について知らない。存在すら知らなかった人もいる。そのために失言・暴言の類がよく出てくる。その度にあなたの暮らしていた街にも韓国人はいるのよ、と叫びたくなるのを耐えて少しずつ説明したりはしたが、話にもならないばかばかしい発言は無視して、人間関係そのものに幕を下ろしてしまったこともあった。今思うと忍耐と根気が足りなかったかもしれないと反省の念もないではない。

 日本名で生活していたから気付かなかったかもしれない、その人は韓国のことは何も知らないかもしれない。それでも、あなたが興味を持った韓国に根を持つ人々が、日本で暮らしていることを知って欲しい。これは贅沢な望みなのかしら?

 友人の中にはアメリカ軍人もいたが、ある時彼に「在日は視野が狭い」と言われてハッとした。地球上に韓国と日本の二つしか国がないわけではない。だけどその二つの国の狭間で在日は揺れ動いてきた。これからの時代、この二つの国はどんどん近づいて、良い関係を結んでいくだろう。その狭間の在日はどこに向かうのだろう。波に乗り遅れないように、なんて甘いと思う。

 出来る事なら、波を起こす風になりたい。韓国や日本はもちろん、世界を行く風に。

(2000.06.07 民団新聞)



この号のインデックスページへBackNumberインデックスページへ


民団に対するお問い合わせはこちらへ