民団新聞 MINDAN
在日本大韓民国民団 民団新聞バックナンバー
婦人会大阪が介護員養成講座

「同胞社会から介護担い手を」



■□
高齢化に対応、当面100人目標

 【大阪】婦人会大阪府本部(余玉善会長)は、在日同胞社会から介護の担い手を育てていこうと、独自の「ホームヘルパー養成講座」を今月からスタートさせた。婦人会としては全国初の試み。8月までの計132時間の全講習を修了すれば、ホームヘルパー2級の資格が得られる。同婦人会では当面、100人の有資格者を送り出したい考えだ。

 開講式は、婦人会大阪の本・支部役員30人の受講生を迎えて5月31日、民団大阪本部会館で行われた。

 受講生の年齢は、30歳から63歳まで幅広い。このなかには、家族に介護を必要としているお年寄りがいるという切実な受講生も見られた。また、ボランティアとして在日同胞社会の役に立ちたいと思って参加したケースもあった。

 自らも一受講生として参加登録した余会長は、「日本人と違う在日一世の言葉、食事、風習には、私たちオモニがボランティア精神で対応しなければならない。大阪は在日同胞高齢者の数も多い。一人も脱落することなく、8月の修了式に臨んでほしい」と激励した。

 大阪府からは健康福祉部高齢介護室介護保険課・計画調整グループ(企画調整総括)の福山善彦主査と、地域保険福祉室地域福祉課地域福祉・人材育成グループの横田恵子総括主査の2人が激励にかけつけた。

 それぞれ、あいさつのなかで「婦人会からのサービス提供は心強いし、期待しています。ヘルパーは人と制度が支え。在日韓国人の介護を支える担い手になってください」と期待の言葉をかけた。

 講師陣20人余りの確保にあたっては、大阪・堺市で特別養護老人ホーム「故郷の家」を運営している社会福祉法人「こころの家族」(尹基理事長)の全面的な協力を得た。

 開講式に続いて、さっそく第1回目の講習が行われ、大阪市の嘱託職員で在日同胞高齢者のための相談窓口を担当している鄭貴美子さんが、「介護概論」について講義した。7月14日に予定されている実技研修は、「故郷の家」で行うことも決まっている。

 講座は、講義、実技、実習を含めて全33日間132時間。毎回、講座の前に10分間の韓国語学習をはさんでいるのも、婦人会ならではのもの。修了書授与式は8月10日に行う。

 婦人会では8月以降も引き続き第2期、第3期と継続しながら、まず100人のホームヘルパー2級資格者を送り出していきたい考えだ。


■□
「一世の役に立ちたい」
参加者ら意気込み見せる

 大阪市から参加した宋成子さん(41)は4人の子どもがいて、3番目の息子が脳性麻痺の障害者。介護について勉強したいと参加を申し込んだという。大阪市の金美代子さん(56)も参加の動機は入院中の実の父親を介護したいため。大阪市の金春子さん(56)は、「88歳のシオモニの役に立ちたい」という。

 朴元根さん(63)も「身内、隣近所に年寄りが多い」ことから、いずれは一世高齢者の介護の役に立ちたいと話している。

 将来は不特定多数の在日同胞高齢者のために、ボランティアとして働きたいという参加者も目立った。

 美濃市から参加した申美智子さん(59)は、「日本のヘルパー講習を受けようかどうか迷っていたが、開講式に参加して『在日』として何をすればよいのかが少し見えてきました」とふっきれた表情で語った。また、大阪市の安明淑さん(44)も「自分に何ができるか分からないが、役に立つことをしたいので頑張ります」と決意を述べた。

(2000.06.07 民団新聞)



この号のインデックスページへBackNumberインデックスページへ


民団に対するお問い合わせはこちらへ