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南北統一への大道開く

両首脳が共同宣言に署名



南北共同宣言に署名した後
手を取り合って万歳する金大統領(左)
と金国防委員長

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離散家族、光復節に相互訪問
金正日国防委員長、ソウル訪問受託

 金大中大統領と金正日国防委員長は14日深夜、平壌の百花園迎賓館で@統一問題の自主的解決A連合制案と連邦制案との共通性認定B離散家族訪問団の交換C経済協力や社会、スポーツ、体育などでの協力交流D早期の当局者対話―の5項目からなる南北共同宣言に合意、署名した。注目されていた金国防委員長のソウル訪問について宣言は「適切な時期」に行われると明記している。分断(1945年)後初の南北首脳会談を成功させた金大統領は15日午後、130人の代表団(随行員)および50人の韓国記者団と共に、2泊3日の平壌滞在を終え、大統領専用機でソウルに戻った。

 南北首脳会談後に署名された共同宣言は、「分断史上初めて行われた今回の対面と会談が、互いの理解を増進して南北関係を発展させ、平和統一を実現するのに重大な意義を持つ」と評価。統一問題について、「自主的解決」を確認し、南北双方がそれぞれ提案している統一方案に共通性のあることを認め、「今後、この方向で統一をめざしていく」としている。

 韓国側が強く求めていた離散家族の再会問題では、解放記念日である8月15日(光復節)を期して離散家族・親族の訪問団を相互交換することに合意。南北間の交流協力問題では、経済協力を通じた経済の均衡発展と、社会・文化・スポーツ・保健・環境など幅広い分野での交流を活性化、互いの信頼を固めていくことにした。

 このような合意事項を「早急に実践に移す」ため、「早期に当局間対話を開催する」と明言。さらに共同宣言は、金総書記が金大統領の招請に応え「適切な時期にソウルを訪問する」と明らかにしている。

 この日の首脳会談は韓国側宿舎の百花園迎賓館で午後3時に始まったが、休憩をはさんで3時間余りにおよんだ。韓国側主催の夕食会には金国防委員長も出席、このあと午後11時半前、共同宣言に署名した。

 金大統領と金国防委員長は、双方の高官らが見守るなか、宣言文書に署名したのち両手でがっちりと握手を交わした。笑顔で手を取り合って高々と掲げ、南北の和解と協力を確かめあった。双方の高官も加わり全員がシャンパンのグラスを掲げて乾杯。両首脳は最後の記念撮影でも手をつないで臨むなど、終始友好ムードの中で会談は進行した。


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「合意」実践へ当局間対話再開

 南北共同宣言後に平壌市内のホテルで記者会見を行った青瓦台スポークスマンは、金国防委員長のソウル訪問について「具体的な時期については今後北側の意見を尊重し、協議を経て決めたい」と述べた。同スポークスマンによると金大統領は、この日の首脳会談で「南北は7・4共同声明(72年)や南北基本合意書(91年)など多くの合意を達成したが、これからは合意を実践し行動に移すことが重要だ」と指摘した。さらに「(現代は)情報技術(IT)時代で、民族の力を合わせれば一流国家になれる。統一は絶対命題だ」と協調した。

 また首脳会談について「2人の指導者は会談を通じてすべての分野で共感を形成することができた」と述べ、「金国防委員長は積極的、肯定的な姿勢で会談に臨んだ」と説明。金大統領は北韓との国交正常化へ強い意欲を示した森喜朗首相のメッセージを金国防委員長に伝えたという。


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南北共同宣言全文

 金大中大統領と金正日国防委員長が14日、平壌で署名した南北共同宣言の全文は次の通り。


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 祖国の平和的統一を熱望する全民族同胞の崇高な意思によって金大中大統領と金正日国防委員長は2000年6月13日から6月15日まで平壌で歴史的な出会いをし、首脳会談を行った。

 南北首脳は分断の歴史上初めて開かれた今回の出会いと会談が、互いの理解を深め、南北関係を発展させ、平和統一を実現する重要な意義を持っていると評価し、次のように宣言する。

 一、南と北は国の統一問題をその主人であるわが民族のみで、お互いに力を合わせ自主的に解決していくこととした。

 二、南と北は国の統一のために、南側の連合制案と北側の緩やかな連邦制案に共通性があると認定し、今後この方向で統一を志向していくこととした。

 三、南と北は今年8月15日に合わせ、離れ離れになった家族と親せきの訪問団を交換し、非転向長期囚問題を解決するなど人道的問題を解決していくこととした。

 四、南と北は経済協力を通じ民族経済を均衡的に発展させ、社会、文化、体育、保健、環境など、さまざまな分野の協力と交流を活性化させ、互いの信頼を確かめることにした。

 五、南と北は以上のような合意事項を速やかに実行に移すため早期に当局者間の対話を開催する。

 金大中大統領は金正日国防委員長がソウルを訪問するよう丁重に招請し、金国防委員長は今後、適切な時期にソウルを訪問することとした。


2000年6月15日

大韓民国大統領 金大中

朝鮮民主主義人民共和国・国防委員長 金正日

(2000.06.16 民団新聞)



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